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2007年06月の日記
2007年6月30日(土)

 先日、訳あってある金融機関に初めて行ったのである。で、カウンターで用件を告げたら「担当者を呼ぶのでしばらく待っててください」と言われたので、カウンターに座って待ってたのである。そしたら、外回りの営業に行くらしいおっさん(年配のたぶん社員)が出がけに私を見つけて、「あ、田尾さんやな。うどんのな、田尾さんやろ?」と、その辺に聞こえる声で言ってきた。そしたらその辺の女子社員や男子社員が振り向いて、何か小さな声で「田尾さんや…」とか言って指さしているのである。

 しばらくしたら担当の若い社員が出てきて、何やら書類を書かされて、彼はそれを持って奥の上司らしきところへ行った。そして、しばらくして帰ってきて、私にこう言ったのである。

社員「すみません、田尾さんだと知らずに。さっき向こうで上司に言われて」

 あのな、俺のことなんか知らんでええし、知ったからと言って謝ることなんか何もない。それより、この会社はいったい個人のプライバシーに関して、どんな教育をしとんじゃ。見たことある人が来たら、よってたかってみんなに言いふらすんか。仮にも金融機関だろうが。

 私は個人情報の漏洩については、どうせ住民票から預金から免許証からカードから職場から、いろんなところで住所も名前も家族構成もさらしてるので、別にしかるべき機関や人に知られたって仕方がないと覚悟している。けど、あそこの金融機関だけはもう絶対行かん。あのメンタリティを見ると、いつ「こないだ田尾さんが来て、○○を○○して帰ったで」とか言いふらされるかわからん。何かすごいイヤな気持ちになって、それでもその場では怒らずに帰ってきて、後で怒らなかった自分に対してプチ自己嫌悪になって、日記が止まっていたのである。

 今週はしかし、イヤな気分にもめげずよく仕事をした。水曜日は昼間、インタレストの学生チームの編集会議の後、夜は高松の花樹海の喫茶で深夜12時前まで、笹木、和田、篠原、松本のプロチームに学生の八阪も参加して編集会議の続き。次号の各特集の取材や資料集めも進んでいるこの期に及んで、検討の結果第一特集の企画がひっくり返るという大変更があった。私自身、何かちょっとしっくり来ないところもあってプロチームに意見を求めたのだが、さすが情報発信のプロチームだけあって、ビジネスでもない授業の一環のフリーペーパーなのにハイレベルの意見交換が始まって、結局特集の立て直しに落ち着いたのである。学生参加の八阪はたぶん、ええもん見たと思う。

田尾「どや、俺らビジネスでもないのにインタレストにめちゃめちゃ真剣やろが」
八阪「はい。田尾先生がやり込められてるの、初めて見ました」
田尾「そこかい!」
篠原「やり込められとんとは、ちょっと違うんやけどな(笑)」

 感性と論理をぶつけ合ってたわけだが、ま、ええわ(笑)。俺らみんな、メンツにこだわるような人種でないんじゃ。年齢も地位も肩書きも関係なく、わからんことはとことん聞くし、相手の意見の方がいいと思ったらいつでも自分の意見を引っ込められるんじゃ。

 昨日はH谷川君とカメちゃんと私と家内の4人で訳あって(笑)会食をすることになって、張り込んで木場さんとこのボワ・エ・デュポンに行こうと思って、こないだ行った時に何か近々改装するとか言いよったので確認のために電話をしたら、「今日から改装に入る」というピンポイントの日だって(8月8日に新装開店するそうです)、張り込む覚悟だったので代わりに長坂さんの奥さんがやってる麻布長江の高松店に行ってうまいもん食ってきました。

 で、今日は早朝峰山で汗だくウォーキングをやって、昼から香川大学で放送大学の講演をやってきた。1時間半。観光プロモーションの話をしたのだが、大学の講義で1300時間1本ネタの話なのでうまく1時間半だけ切り取ることができずに、ダイジェストにしたら時間が足りなくて、黒板にも書かずに早口でぶっ飛ばしてしまった。皆さまには少々わかりにくかったかもしれません。すんません。終わったら「ポリープできたか?」と思うぐらい声が枯れてしもた。何か、朝の峰山の疲れも残ってて、夕方、ちょっとソファに横になったら1時間ぐらい、爆睡してしもた。さて、明日も仕事じゃ。
2007年6月25日(月)

 善通寺西高への出張授業が今日で最終回。結局、4月に始まって50分授業を20本やった。ということは、総計1000分。内容は大学でやっているアイデア開発の講義の高校生版ダイジェストで、大学でやってるのが90分授業の14〜15本ということは約1300分だから、ま、基本形のところは一通り全部やったという感じである。

 最初に先生から「騒がしいクラスですから…」と聞いていた通り、なかなか自由奔放なクラスでした(笑)。最初のうち、いろんな「現物」を持って行ってみたり、黒板にどんどん書いてみたり、客…でなくて生徒をいじってみたり、軟派な事例を出してみたり硬派な事例を出してみたり、説明せずにわざと考えさせてみたり、考えさせずに一気に論理的に進めてみたり、まあいろんな探りを入れながら始めたのだが、3〜4回目でどの辺をつついたらこっちに向いてくるかだいたい掴めて(掴めてたかどうかわからんけど)、あとはこっちのペースでダーッと。最終回も泣くことなく(笑)、いつものペースで完了しました。

田尾「今日で終わりやのに最後まで行けんかもしれんから、ダーッと走っていくぞ。最後の切り口は“単独紹介と比較紹介”。これは、何かを紹介する時に、それだけを紹介するという方法と、何かと比較をして紹介するという方法、この2つがあるということや。で、どっちがおもしろいかというと、比較紹介の方が断然おもしろい。単独紹介の時と、違うメッセージが出てくる。では事例を挙げます」

 高校生向けに引っ張り出してきた事例は、えらい古いやつ。ルーズソックスだ(笑)。ちなみにこのクラスは30人くらいの生徒のうち、男の子は3人か4人だけという構成だ。

田尾「10年ぐらい前、ちまたの女子高校生の間でルーズソックスがバカ流行りしてた時がありました。今、誰もはいてないの? さて、そこでタウン情報誌をやってた私は当時、編集スタッフと手分けして香川県の女子高校生のルーズソックス着用率調査をやったことがある。場所は高松の、琴電の瓦町の駅前。あそこ、いろんな高校の生徒がよっけ乗り降りするからな。ほんで下校時間に瓦町の駅を通る女子高校生を、400人調べた。結果、ルーズソックス着用率、84%や」
生徒「えー!」
生徒「むっちゃ多いやん!」
田尾「アホみたいに多いやろが。さて、この結果を記事にして、“何と84%がルーズソックス!”いうて載せる。これが“単独紹介”や。ま、これでも読者は“へえー!”いうて驚いてくれそうやから、一応記事にはなる。けど、我々はもっとおもしろく見せる方法はないかと考えた。そこで、“比較紹介”や。何をどう比較する?」
生徒「東京や」
田尾「はいその通り。では東京の女子高校生はどれくらいルーズソックスをはいているのか。そのデータを横に並べて載せたら、おもしろさが倍増するやろが。そこで、瓦町で調べた5日後、私が東京に出張に行った時に水道橋の駅前で同じように400人調べてきた。駅の柱の横に立って、下校時の女子高校生の足元を見ながら手帳に“ルーズソックス、はいとる、はいてない、はいとる、はいてない”いうてメモしていって…」
生徒「怪しーい!」
田尾「取材じゃ! 取材! ほんでな、どうせならもっと他でも調べようということで、タウン情報の仲間や知り合いに頼んで、大阪の梅田と広島の繁華街でも調べてもろた。結果いくぞ。広島、ルーズソックス着用率56%」
生徒「おー」
田尾「東京、39%」
生徒「えー? そんなんちょっと?」
田尾「東京はな、場所にもよるけどそんなもんやったんや。半分以下。ええか、そんなの多いんぞ。東京からテレビや雑誌で流れてくる流行のニュースは、象徴的な部分を切り取って流れてくるんや。それを地方都市の子は“東京ではみんなああいうふうにやってるんや”と思い込んで、ワーッとマネするからこんな数字になるんや。大阪、15%」
生徒「かっこえー!」
田尾「お、その感覚ええぞ。今までこのデータを紹介して、大阪の15%に“かっこえー”言うたの、きみだけや」

 その生徒、ちっちゃなガッツポーズ(笑)。

田尾「大阪のこの数字は最初意味がわからんかって、調べてくれた大阪のプランナーの人にいろいろ取材してもらった。そしたら返ってきた分析結果が“大阪の子は東京で流行っているものをマネしたくないという潜在的なメンタリティがあるみたい”って」
生徒「やっぱりかっこええやん」
田尾「かっこええやろ。さてそういうわけで、単独紹介と比較紹介いうのは、こういうふうに違うメッセージが出てくるわけだ。これを踏まえて、次、ちっともおもしろくない事例を出す」

 私は黒板に円グラフを書く。

田尾「これは、香川県の2007年度の一般会計の歳入の内訳や。みんな家に配られてくる広報紙に、毎年こんなんが載っとる。見たことないやろが」
生徒「なーい」
田尾「ま、おもろないけんの。さて、これはさっきの切り口で行くと“単独紹介”である。ほな“比較紹介”の方法を考えてみ? 何と比べる?」
生徒「東京?」
田尾「東京でもええ。あるいは身近なところで、横に徳島と愛媛と高知の歳入のグラフを並べて比較する。あるいはさらに、世界に出てニューヨークと比べる、パリと比べる、デンマークのどっかと比べる、インドのどっかの市と比べる。考えただけでもちょっとおもろなるやろ」
生徒「うんうん」
田尾「インドと比べたら、なんか愕然とする比較データが出てくるかもしれんぞ。さらに、同じ香川県の歳入でも、去年と比べる。10年前と比べる。30年前と比べる。あるいは推移を全部並べてみる」

 まあそんな感じで、主に前の方の席に陣取ったチャバチャバした(笑)女子軍団をいじりながら最終回を終えました。終わったらみんなが寄せ書きした色紙をくれた。あとで読んだら、まあおもしろかったみたい(笑)。
2007年6月24日(日)

 昨日岡山から帰ってきて、家でテレビのチャンネルをあちこち変えていたら、NHKで何か討論番組をやっていた。テーマを見たら「長時間労働はなくせるか」って、そんなん物理的になら「なくせる」に決まってるじゃないですか(笑)。会社は朝8時に業務を開始して夕方5時に業務を終了して残業禁止にしたら長時間労働はなくなるし、個人は朝8時に仕事を始めて5時に仕事を辞めて仕事の持ち帰りを禁止したら長時間労働はなくなりますよ。

 問題提起するなら「会社をつぶさずに長時間労働をなくせるか」とか「社員の給料を減らさずに長時間労働をなくせるか」とかいう話でしょうが。しかもそれは全て、企業の体力や業種や職種によって可能性が違ってくる。そういう現実的で具体的で論理的なテーマにしないから、絶対に答の出ない「言い合い」になるんですよ。ワーキングシェアや派遣やアルバイトや、しまいには「人間らしい生き方」がどうしたとかいう話にまでなっていたけど、どれもお金の話を無視した議論ばっかり。例えばワーキングシェアしてもいいと思うけど、同じ量の仕事を2人で半分ずつやったら、普通給料も半分になるんですよ。それでもいいかどうかの話がすっぽり抜けてますよ。

 いずれにしろ、番組の中では「とにかく企業は悪だ。経営者は悪だ」とかいうイデオロギーみたいな論点しか持っていない人たちがずいぶん威勢よかったけど、まあ確かに悪い経営者もたくさんいる。でもいい経営者もたくさんいるし、いい社員もいるけど悪い社員もいる。そんな一元的に決めつけられる話じゃないですよ。ただ一つだけ言えるのは、たぶん威勢のよかったあの人たちが会社の経営をやったら、会社がつぶれることだけは間違いなさそう(笑)。でも、自分の会社がつぶれても今度は「行政が悪い」とか言い出すんだ、きっと。

 それにしてもNHKのこの手の番組や社会的なテーマを扱った番組は、最初から悪者を決めつけてそれを論理でなくて「感情」で責めるというパターンが多いなあ。ま、NHKに限らんけど。議論がバカバカしくてチャンネルを変えたけど、何かすごい不快感が残る。今度からもう見ないようにしよう(笑)。

 今日は朝からいつもなら不快感を増すような雨だが、渇水目前なのでどんどん降ってね(笑)。表にも出ずに仕事もよっけできるし。
2007年6月23日(土)

 こないだ久しぶりに「讃岐うどんワールド」のロケがあって、これまたものすごく久しぶりに奥富亮子アナことトメちゃん(逆か)とコンビだって、ものすごい天然のディレクターのはぎちゃん(掘り出し物)も一緒にわーわー言いながら観音寺を回ってきました。とりあえずトメちゃんと「若いことに価値がある、という間違った認識は捨てる!」という点で激しく合意して(笑)、帰りにロケバスの中で岡山の観光地情報を仕入れてきた。トメちゃんもはぎちゃんもたぶん長い間岡山人なので。で、穴場情報はいらんからまずはベタなところで、観光で初めて岡山に行く人がとりあえず「岡山に行ってきた」と言うために押さえとく場所はどこ? と聞いたら、「後楽園かなあ」という答が返ってきたのである。

 続いて昨日、KSBに行った時に岡山在住のスタイリスト(だと思う)の片山さんに同じ質問をしたら、「後楽園かなあ」と言ったので、今日、後楽園に行くことにしました。早いな。KSBから帰って家内に「明日、後楽園行こ」言うて、ついでに倉敷も行ったことがないので家内(行ったことがある)に「倉敷ってどんなん?」と聞いたら、「昔の街並みに何か店がいっぱいある」言うので、こっちはちょっと取材を兼ねて行くことにした。

 言うとくけど私は瀬戸大橋を挟んで隣の香川県にいながら、岡山の観光地は自らの意志で行ったことは一度もない。思い出しても20年以上前にRNCのロケで日生の頭島というところに行ったのと、10年ぐらい前に牛乳屋さんらと島根・鳥取に日帰りで行った時に途中で蒜山のSA(観光地ではないか)に立ち寄ったくらいだ。「観光プロモーションを専攻の一つとする者にあるまじき怠慢である!」というツッコミを私から入れてみたが、私は「行きたい時に行きたいところへ行く」という一般人の自然体の状態でいることをモットーとしているので、その気にならないとまず行かない。「いかなる状況の時に誰とどこへ行きたくなるか」というところが、観光プロモーションの仕掛ける側のスタートラインであるから、何か気持ちをいつもそこに置いておきたいのである。

 ただし倉敷(美観地区)は取材。数年前から「街並みを整備して店を並べて町おこし」みたいなサンプルを集めているので、その一環である。あれ、妙なビジネスが水面下でそーっと進行しているニオイがして、ちょっと興味深いんです(笑)。

 さてそういうわけで、朝の9時半頃、高松を出発して高速に乗って、瀬戸大橋の途中で与島に下りて一服して、それから倉敷美観地区に行って写真を撮りながらウロウロして、それから岡山の後楽園に行ってついでに隣の岡山城に行って、夕方4時半頃岡山を出て瀬戸大橋を渡って香川に入って、おか泉でうどん食べて夜7時頃家に帰ってきた。途中、倉敷で「倉敷名物ぶっかけうどん」という表示に引っかかって、讃岐うどん“風”(笑)のぶっかけうどんを食べてきました。それなりにうどんではあったのだが、讃岐うどんとは“芯”のところが根本的に違ううどんでした。ま、「倉敷名物」らしいから。ちなみに「夕方もおか泉でうどんかい!」というツッコミには、「讃岐うどん“風”で一日を締めるわけにはいかない」と答えておく(笑)。

 今日の余談は、ふと「下りよう」と思った与島のこと。瀬戸大橋開通時の取材の時以来、これまた自然体では初めて、私は与島SAに下りました。瀬戸大橋を片道5000円近く払って乗ったら、追加料金なしで下りられる与島にちょっと下りようか、という気にはなる。ただし、時間に余裕がある場合に限る。ということは、あそこにはどういう人が下りるのかというマーケティングのスタートラインは、そのあたりの考察にあると思われる。

 下りてみたら、ちょっと大きめのサービスエリアです(当たり前か)。おみやげと軽食とトイレと自販機。ついでに車で橋の下をくぐって反対側に行くと、フィッシャーマンズワーフがある。中は広いおみやげ物売り場とレストランとゲームセンターと、アトラクションで遊覧船と遊覧ヘリ。隣にベゴニア園。観光素材のポテンシャルから行くと、人を呼べる「メイン」がなくて、人が来たらついでに立ち寄ってくれる「サブ」の集合である。ちなみにSAのおみやげのうどんコーナーは、香川県下随一の品揃えであるが、これもサブだ。

 メインとサブの違いは、単に施設やアトラクションの規模の大小ではない。端的に言えば、競合に対する優位性である。競合と言っても、単純に同業他社ではない。マーケティングをちゃんとやっている方々には書くのもおこがましいが、テレビの番組や昼寝さえ競合になる。人が時間を使うものは全て競合になるという感覚が、マーケティングの戦略を立てる時には不可欠だ。それを持ってないと、観光地作りも町おこしも成果が上がらないのは言うまでもない。与島をどないかしたいと考えるなら、たぶんポイントはそこである。「サブ」は「メインのついで」で生きるしかないから、自力で人を呼ぶ島にするなら「サブ」をいくら作ってもあまり効果がない。絶対に「メイン」が必要になる。どうしても島の中に「メイン」ができなければ、橋の両側(香川と岡山)の「メイン」に頑張ってもらって、往復1万円払って橋を渡る「ついでの客」を増やすという戦略もある。

 何がメインになり得るかというのを探す時に、私はよく「自分なら行くか?」という視点で考える。これはマーケティング戦略を机上の理論で作ろうとする人や学者に欠如しがちな視点であるが、この視点はマーケティングのある種の実にシンプルな真理を突いていると思う。ただし、落とし穴が一つある。それは、自然体で考えて「これなら自分も行く」と思っても、「ではみんなもきっと行くはずだ」ではない、ということである。「自分なら行く」と思ったら、「自分と同じライフスタイルの人もきっと行くはずだ」がたぶん正解である。自分と同じ(あるいはよく似た)趣味趣向で、自分と同じ可処分所得で、自分と同じ家族構成で、あるいは友達構成で、自分と同じ可処分時間を持つ人の多くが行くだろうということである。では、そういう人ははたして多いのか? そういう人はこのマーケティングのメインターゲットなのか? ……と突き詰めていく。

 「自分なら行くか?」「自分なら買うか?」「自分なら食べるか?」みたいなところからスタートする。これ、シンプルなようで難しそうに見えるかもしれんけど、実は難しそうに見えて割とシンプルなんですよ。
2007年6月18日(月)

 今日は午後からいつもの善通寺西高の出張授業が2時間あるので、朝早めに大学に行って直前準備をしていたら、予想外に早く9時過ぎに準備が終わった。そこで、ラスベガスに行った時に探し出した本の解読に着手したのである。ここまで忙しくて、しばらく手をつけられずにいたやつである。

 最初に取りかかったのは「LAS VEGAS AN UNCONVENTIONAL HISTORY」という、A4判272ページのハードカバー、重量1.7kgもあるえらい重い、しかも値段も高い本だ。とりあえずぼちぼちと単語を拾いながらやれば何とかなるだろうと思って「INTRODUCTION」から読み始めたら、あかん、筆者はかなり気合いを入れて物語っぽく書いているみたいで、単語をつないだだけではわからんような言い回し(と思われる)がバリバリ出てきて、めちゃめちゃ時間がかかりそうな気配がプンプンする。これは、文丸ごと翻訳ソフトで変換した方が早いんちゃうか?

 というわけで、私はネットの翻訳サイトを利用することにしたのである。さて、どこの翻訳ソフトが一番よさそうか。とりあえずソフト選考のため、私は簡単な第一章のタイトル「THE LEAST LIKELY TO SUCCEED」(ま、意訳するとたぶん「こりゃとても成功するとは思えん話でっせー」みたいなことだと思う)をいろんなソフトに入れて変換してみた。その結果、

エキサイト翻訳「最も成功しそうにはありません」
YAHOO翻訳「成功するためにたぶん最小である」
So-net翻訳「成功したは最もありそうでありません」
フレッシュアイ翻訳「成功したは最もありそうでありません」
@nifty翻訳「成功したは最もありそうでありません」
Google翻訳「成功すること最も少なく本当らしいの」
Livedoor翻訳…文字化けして翻訳できず
Infoseekマルチ翻訳…文字化けして翻訳できず

 ふーむ(笑)。ま、翻訳ソフトは完璧に日本語に翻訳するものではないということは知っていたが、ふーむ(笑)。「エキサイト」と、百歩譲って「YAHOO」はとりあえず日本語っぽくなっているが、「So-net」と「フレッシュアイ」と「@nifty」は日本語として怪しい上に、3つとも全く同じだぞ。ちなみに「Google」は女の子みたいだ(笑)。

 翻訳ソフトを使うの、やめた。なるべく正確にできればニュアンスも嗅ぎ取りたいので、辞書引きながらコツコツやる。

 観光開発論で私は今、ハワイ、スイス、ラスベガスという「何もなかったところから世界的な集客力を持つ観光地に開発された典型的な事例」を調べている。ハワイは人工海浜のワイキキビーチをはじめ、ハワイアン音楽もヤシの木もハイビスカスもウクレレもアロハシャツも外から持ち込んだという「人工の自然と人工の演出」の代表的な開発例。スイスは同じ自然がテーマでも、圧倒的な自然を「見せるためにどうするか」という開発の代表例、ラスベガスはいうまでもなく何もなかったところに圧倒的な人工のエンタテインメントを作り上げたという観光開発の代表例ということで、それぞれまったく方向性の違う事例ということでピックアップした。

 で、それぞれの観光開発の歴史とデータを調べているのだが、狙いは実は歴史を知ることではない。観光開発や観光プロモーションにおける「行政と民間の役割分担」である。私は、日本の全国の県や市がやっている観光戦略(ポスターやパンフレットといった印刷物をやたら作ったりハコモノを作ったりマス媒体に広告をしたり…)は、行政の役割としてはちょっと違うのではないかという感じを持っているのである。あるいは民間も、行政からの補助金頼りの観光プロモーションはちょっと違うのではないかと。

 とりあえずラスベガスの本は解読するつもりだけど、今年の夏からちょっと、通訳をつけて海外の関係機関に取材に行こうと思っています。通訳なしで行けるようになりたいけど、数年前に上村さんと2人で「英語、やるぞ」宣言をして、今年、上村さんと「日本人は日本語じゃ!」宣言をしたところなので(笑)。
2007年6月14日(木)

 ちょっと気分転換に、数年ぶりに「ゲリ通」書こっと。

「ゲリラうどん通ごっこ」
第163話 太い奴が帰ってきた

 今日は大学で年に1回の、教職員の健康診断の日であった。

 思い起こせば2005年の6月、同じ大学の健康診断で「尿に糖が下りてますよ」と言われて、病名の中でも「私的に大きな声で人に言えない病名ランキング」第3位の「糖尿病」に突入する恐れがあるということで一念発起、私はその翌日からほぼ毎日、2時間前後のウォーキングを始めたのである。その結果、去年の健康診断では体重が5キロ前後落ち、わずか1年で糖尿の気配は跡形もなく消え去るという快挙を成し遂げた。さらに、去年もウォーキングを続けてきた甲斐があって、今年の検診では腹部エコー検査で10数年来家族同然の付き合いをしてきた「脂肪肝」にまで別れの兆候が見え始めたとのお言葉を医者からいただいたのである。私は気をよくして、心電図、血液採取、バリウム飲んで胃のレントゲン検査と全ての検査をとんとんと終え、午前11時過ぎに研究室に帰った。で、バリウムを早よ出さないかんからすぐ飲めと言われて渡されたピンクの粒の下剤を飲んで、今日はこのあと講義がないので下剤が効いてきたらいつでもトイレに行けるという体勢で、安心してパソコンを開いて仕事に取りかかったのである。

 1時間半ぐらい仕事をしていたら、突然腹が減ってきた。そういや今日は健康診断ということで、昨日の夜から絶食やがな。さて、昼飯はどうするか。診断結果はますます絶好調だし、ここは一つガツンと、ゴッコでスパゲティ・ナポリタン玉子入り「大」か、あるいは白川で山下君に「釜かけ大! 10分でも15分でも待つでー!」と行くか、はたまた大人気で神戸帰りの清水屋で「おにぎりとおでん、味噌大盛り! あ、うどんはええけん」と行くか(笑)。などと思いを巡らせていた時、ふと思い出した。

「上戸、オープンしたばっかりやんか。行かないかんがな」

 既報の通り、きれいな奥さんで有名な(笑)豊浜の上戸うどんは今年の3月末に、聞くところによるとかなり残念な理由で店を閉めざるを得なくなり、親しい関係者や上戸ファンたちは一刻も早い再起を願って応援していたのである。それがついに6月11日月曜日、JR予讃線箕浦駅の横に場所を変えて再起した。しょうがないな。ちゃうちゃう、しょうがないではなくてめちゃめちゃ積極的に行くか。本人曰く、場所は前の店よりぐっと近くなったらしいし。決定だ。私は大学から上戸に向けて車を出した。目指すは箕浦駅。行ったことはないが、カーナビがあるからノープロブレムよ。

 大学を出て11号線に出て鳥坂を越え、新しい鳥坂インターは私のカーナビには入ってないけど、ここから高速に乗ったら高松方面にしか行けないのは知っているからスルーして、豊中インターから高速に乗ることにする。帰って仕事せないかんから、ちょっとでも早よ行かないかんのだ。カーナビも豊中インターから乗れ、と指示を出してきた。ようわかっとるやないか。高速を数分走ると、続いてナビが「大野原インターで下りろ」と指示を出す。こらこら、誰に指図しよんや。俺は地元のしかも麺通団の団長やぞ。上戸へ行くのにここで下りんで、どこで下りと言うんや。カーナビにツッコミを入れながら大野原インターを下りて再び11号線に合流し、私は一路西を目指した。前よりかなり近いと聞いてたから、慎重に、店を見落とさないように、安全運転で、豊浜町に入って、大平さんの銅像を過ぎて、さぬき秀芸とiltカフェを過ぎて…まだか? 11号線は海岸線に出た。おいおい、来すぎたんちゃうか? もうすぐ県境やぞ。どこで見落としたんや。私の頭に不安がよぎり始めた。と同時に、私は大変なことを思い出した。

「俺、今、下剤飲んどるが!」

 バリウムのあとの下剤は、人によっていつ効き始めるかが違うらしい。さらに、同じ人でも調子によって効き始めの時間が違ってくることを私は自分の体験から知っている。私はどちらかというと効き始めが遅い方なのであるが、以前、高松の赤十字病院で1泊の人間ドックに入った時、帰りに下剤を飲んで、家まで歩いて20分ぐらいなので徒歩で帰りかけたら、10分ぐらい歩いた時に突然効き始めたことがある。

「どっちや! どっちが近いんや! 家か! 病院か!」

 あの時は、まさに人生最大の「緊急時のとっさの人間の判断力」が要求された瞬間であった。なんせ、20分ぐらいの距離を10分ぐらい歩いた地点なのだ。私は秒速2万回転であらゆる情報を分析したのち、目分量で病院までとマンションまでの距離を予測して、意を決して「家」を選択して脂汗を流しながら家に帰って、間一髪、危機を脱したことがある。翌日の夜、私は歩いてアップタウンに行く時にあえて赤十字病院経由コースを取り、念のために歩数を測ったところ、下剤が効き出した地点は
病院までより家までの方がわずか30歩ぐらい近かった。恐るべし、私の目分量(笑)。

 何の話しよったっけ…あ、上戸じゃ。さあどうする! 引き返して探すか、とりあえずもっと先まで行ってみるか。下剤はまだ効き始めてはいないが、いつ来るかわからん。私は考えた。待てよ、上戸は箕浦駅の横だと聞いたから、駅にトイレがあるはずや。なんぼ何でもオープン初訪問で店のトイレに駆け込んでしかも“難しい方(笑)”をするというのも気が引けるが(というか、この初訪問レポートがすでにシモの話になっとるが)、隣が駅なら大丈夫。よし、とりあえずこのまま県境まで行って、上戸がなかったら引き返す。

 私はさらに進んだ。向こうに県境(以前の上戸があったところの裏山の崖崩れ跡)が見えてきた。おいおい、やっぱり行き過ぎたんや…と思った瞬間、道の左側に大きな「うどん」の看板発見! 近づくと大きな「うどん」の下に小さな「上戸」の文字を発見! 「箕浦駅」の看板も発見! ここじゃー!

 箕浦駅は道路と線路の間にへばりついたちっちゃい無人駅です。隣の上戸の建物の方が断然目立つ。オープンの花輪がいっぱい出ている。しもた、「麺通団」で花輪を出すべきやったか。「祝開店」の下に「麺通団 団長」と書いて。「団長」の下を空欄にして自由に書き込めるようにして(笑)。

ごん「で、みんなが団長になってもらいたい人の名前を書くわけですな」
田尾「実に民主的やろが」
ごん「なるほど。で、多数決で次期団長を決めると」
田尾「何でや。先着順に決まっとるやろが。ほんで俺が一番に行って“田尾和俊”いうて書き込んでくる」
ごん「ややこしいことせんと最初から書いて出してください!」

 私は敷地内に車を止めて、深呼吸をしてから店に入った。店内は客が一人。太い男が壁に向かったカウンターでうどんを食っている。厨房内に奥さんと、奥さんの次にきれいな(ここ、表現の大事なポイントやからな)店員の女の子がいて、奥さんが私を見つけて「あらー」と言ったら、客の太い男が振り向いた。上戸君やがな。

田尾「まだあるんか?」
上戸「ありますあります」
田尾「えーと、かけ中(2玉)。俺な、実は今、ものすごく厳しい状態で来てるんや」

 と言って健康診断とバリウムと下剤の話を一通り説明したら(そやから初訪問でそんな話題から入るなよ)、上戸君が言った。

上戸「今朝、ヒゲ生やした人相の悪い人が来てくれたんですよ」
田尾「ごんが来たんか!」
上戸「そうそう、ごんさんが来てね、何かトイレの話して帰った」

 わしら、脳ミソつながっとんかい!

 ま、ごんはええけどとりあえず上戸の麺、以前と同じ、太くてモチッとしてガシッとして、讃岐うどんの守るべき一つの方向性をがっちりとつかまえている。というか、前の店の時より研ぎ澄まされてきた感さえあるぞ。なんだかんだヨタ話をしながら食べてたら、お客さんがどんどん入って来始めた。午後2時頃。入ってきた時は誰もおらんで心配したけど、昼のラッシュの後のエアポケット時間に上戸君、昼飯食ってたんだ(笑)。店内がお客さんで埋まり始めたのを見て、安心して私は店を後にした。で、また高速に乗って大学に帰る。下剤が効き始める兆候なし。大丈夫か? もうええけん早よ効いてくれ。
2007年6月13日(水)

 今日は朝から講義が1本とゼミが2つと会議が1つ。あ忙し(平参平風に。知らんか)。ゼミの1つは約20人のメンバーによる例のインタレスト編集部で、今年で3年目。もう1つは70人近いメンバーを抱えての新しいフェスティバルのプランニング作業で、こっちは今年初めてのプログラム。で、どちらも今、情報収集段階に入ったところである。

 今日はどちらも、情報収集の考え方と手法についてのレクチャーをやった。例えば、テーマを絞る。仮説を立てて、狙い撃ちで情報を収集する。情報収集は原則として一から自分たちの足で集める。ネットや本や資料から集めてもいいが、それらは参考資料として使うだけで、そのまま使ってはいけない。最終的には全部、自分で行って、見て、聞いて、確かめてから使うかどうか判断する。……等々。要するに手間暇かけて自分で実地に集めるという、面倒くさい基本である。

 すると、2つのゼミで学生たちの意識のスタートラインが全然違うことに気がついたわけです。まず、インタレストチームの上級生は、情報を集めるのは手間暇がかかることを体験的に知っていて、それも自ら動いて「足で集める」ことを知っていて、「また大変なのが始まるぞー」みたいな空気の中にも何かみんな意識は前を向いていて、「よーし、やるか!」みたいな気が張りつめる。しかもその空気が初めて入ってきた下級生にも敏感に伝わるのか、スタート時点から全員のいわゆる「意識が高い」のである。一方、フェスティバルプランニングチームは、情報収集の方法を説明すると「そんな面倒くさそうなことをするんか…」という空気がちょっと漂う。

 思い起こせばインタレストの最初の頃にもそういう「面倒やなあ…」という空気はあった。ということは、これはインタレストチームとフェスティバルチームの学生の基礎能力の差ではない。たぶん、体験のあるなしの差である。それも単にえらい目して情報収集したという体験ではなく、「えらい目して収集した情報の方が、発信した時に読者にはるかに魂が伝わって充実感がある」ということを実感する、という体験のあるなしの差である。充実感のない体験は、何回やっても意識が高くならないどころか、やらせればやらせるほどモチベーションがうなぎ下がりに下がっていくというものだ。

 そういうわけでとりあえず私のゼミでは、情報を集めさせるだけでなく「自ら動いて集めた情報をうまく見せればこんなに充実感のある情報発信になる」という体験を、一人でも多くの学生に味わわせてやりたいと思っているわけです。時間かかるけど、こうしてインタレストチームの「空気感の底上げ」を実感すると、下手に学生レベルに合わせずに無理しても高いレベルで続けてきてよかったんかな…と改めて思う。

 それにしても、「自分が率先して動く」という習慣は、あった方がええなあとつくづく思う。「自ら動いたらすぐ解決するのに…」という話は、身の回りに結構たくさんあるものだ。例えがちょっとずれるかもしれないが、10数年前、NHKの四国ローカルの懇談会だったか勉強会だったかに呼ばれて行った時に、意見交換の席で放送中のローカル制作番組のてこ入れみたいなテーマになって、視聴者の意見を反映させるために、どうやってニーズを調べたらいいかという話が始まった。で、ハガキやFAXで意見募集するとかいう話から、リサーチ会社に頼んで視聴者アンケートを採ってもらうのはどうか、いや、それは経費がかかるから難しい、しかし経費のことを言っていたら結局何もできないではないか…みたいな議論になって、「田尾さんはどう思いますか?」と、こっちに振ってきたのである。私はその時、こう答えた記憶がある。

田尾「自分たちで調べたらいいんじゃないですか?」

 NHKの職員や制作スタッフが何人いるのか知らないが、例えば4県で200人ぐらいが家族や親戚や友人知人合わせて10人から意見や情報を集めてきたら、2000のサンプルが集まるじゃないですか。1人が50サンプル集めてきたら1万もサンプルが集まる。意見だけでなくて例えば1週間のテレビ視聴状況を控えてもらって、それを集めたら、ビデオリサーチなんかいらないくらいの視聴率調査も自前でできますよ。

 こんなことも言ったことがある。何かの会合で観光関係の方々から栗林公園の入場者数をアップさせるためにどうしたらいいかという話が出て意見を求められた時、

田尾「県の職員は何人くらいいるんですか? 3500人くらいですか。じゃ、職員全員が家族や知人を連れて、1回3人で年に5回行ったら年間5万人くらいアップしますよ(笑)」

 栗林公園は年間50万人台の入場者数だから、1割アップやがな。税金でメシ食ってる公務員15000人くらいが1回3人で年に5回行ったら、20万人以上もアップ!(笑)行政ぐるみで地域活性化やにぎわい創出を目指すのなら、とりあえず自分たちから動いてみたら何とかなる部分が結構ありますよ、と。

 こんなことを言ったこともある。去年美濃市に行った時、観光課の人に観光仕様に整備された街並みを案内されたのだが、そこで飲食店があまり流行らない(観光客が街並みを見には来るのだが、通過して他で食事をする)みたいなことを言われて、私は尋ねたのである。

田尾「市役所の人はどこで昼ごはんを食べてるんですか?」
観光「お弁当が多いですね」
田尾「ほな、市役所で弁当禁止にしたら街の飲食店がちょっと流行る(笑)」

 話が脱線しかけたが、ま、何となくそんなことを考えてたりするわけです私は。インタレスト・イナゴ軍団とプランニング軍団の学生たち、とりあえず自分で動く人間になろうな。
2007年6月12日(火)

 こないだ、『dancyu』の方から電話がかかってきて、全国のうまいものの特集をやるので、讃岐うどんの「ここ」っちゅうとこを1軒だけ紹介してくれんか、みたいな依頼が来たのである。「1軒」はこれ、めちゃめちゃめんどいがな。そこで考えた私は、去年麺通50人が選んだ「私の好きなうどん屋」のアンケートで総合1位に輝いたという理由で、がもうをお勧めした。そしたらこないだ「がもうの取材、してきました」という返事が来た、という前ふりをして本日のバカ話に入ります。

 今日、久しぶりにがもうに行ってきました。で、大将やガモムスとバカ話しながらうどん食って帰り際、ふと思い出して言ったのである。

田尾「dancyu(だんちゅう)から取材来た?」
ガモ「あ、来ましたよ。けどうちの親父、何の取材かわからんままに応対しよった」
田尾「dancyuって言うてきたやろ」
ガモ「ダメですよ。親父、何も聞き取れてないけん、あれ見てくださいよ」

 ガモムスが釜の後ろのメモ板(ホワイトボード)を指さすのでよーく見てみたら、いろんなメモの間に大将の字で小さく、ひらがなで「6月○日 らんちゅう」と書かれておりました。

田尾「金魚が取材に来たんかい!」

 今日は明日の準備がよっけあるのでこれぐらいにしといたる。
2007年6月11日(月)

 日曜日の四国新聞の「論点香川」は私の番だったのだが、実は仕事がとても忙しくて気がついたら締め切りの当日の夕方だったりして、仕方なく手近にあった調査もの(ゴールデンウィークに仲間や学生と一緒に県内の行楽地やうどん店に来ている車のナンバー調査を5000台くらいやったデータ)を引っ張り出して、内々で「次のインタレストまで秘密にしとく」と宣言しとったのに使っちゃった(笑)。ま、表面的な部分しか使ってないからええやん…と言い訳をして。

 そういうわけで、表面的なデータを並べるだけして原稿を終わらせたので、私の中では「手近なネタですんません…」という気持ちでいっぱいだったのだが、今日、大学(私宛)に「あのデータはよかった」というお手紙が届いていて、恐縮するとともにちょっと驚いた。「すんません」と思ったものに「よかった」という感想があったり、自分で「いけてる」と思うものに反応が悪かったり。情報発信はいつまでたっても難しい。

 かつてタウン情報をやっていた時、20代後半から30代前半にかけては中高生を中心にこっちが発信した情報がビシバシ当たってたのに、30代中盤を過ぎた頃から微妙にズレ始めて、36歳で私は編集長を若手に譲って、若者文化を対象とした情報発信の第一線を退いた。それでもたぶん、今になって振り返ると実際には30代前半にはズレが始まってたと思うのだが、自分で気づいて編集長を譲るまでに数年かかったような気がする。難しいなあ。調子に乗ってる時は特に状況を見失う。「論点香川」を読んでる多くの人は、絶対に若者ではない。そのターゲットの世代の人たちがどんなセグメントで構成されているのか、それはどんな比率なのか、私は未だ暗中模索です。引き続き頑張って皆さまのご期待に沿えるように努力するけど、ズレ始めたら今度はもうちょっと早めに降ります(笑)。

 さて、移転開店準備で2カ月半ぐらい潜伏していた「上戸うどん」が本日オープンしました。店名は「上戸」。「うどん」を取ったのは、書き直しせんでもいつでもカラオケ屋や焼肉屋に転身できるからだ。

上戸「ちゃいますって!」

 気分も新たに、ピシッとうどんの「上戸」だ。場所はJR予讃線箕浦(みのうら)駅の横。何かネット上で「愛媛県に行く」とかデマが飛び交ってたらしいが、残念でした(笑)。

 さらにオープン情報を一つ。7月9日に「吉祥寺麺通団」がオープンする。何とこの店は、東京麺通団のカリスマ店長だった山中が晴れて独立を果たす期待の店だ。当初より東京麺通団の社員スタッフには(1)東京麺通団の中で経営陣を目指す
(2)麺通団の看板を持って「仲間の店」として独立する
(3)東京麺通団の直営店舗展開の中で店長を目指す
(4)社員として安定的に給料をもらい続けて定年を迎える
等の目指すべき選択肢が提示されているのであるが、意欲あふれる山中は自らリスクを取って独立を決意したというわけだ。もちろん東京麺通団もいろんなサポートをしておりますが、お近くの皆さまもぜひご愛顧してやってください。ええうどん出します。詳細はまた後日。

 これに伴い、東京麺通団は山中をしのぐインパクトのあるキャラクター(笑)の宮前が二代目店長としてえらい目に…いや、ものすごく頑張っております。もちろんパロマスも健在で、新戦力も入って頑張っております。パロマスと宮前より、「一生懸命やりますので引き続きご指導ご愛顧の程、よろしくお願いします。加えて、上記選択肢の夢と意欲を持って頑張りたいという社員を募集していますので、ご希望の方がいらっしゃいましたら東京麺通団まで履歴書をお送り下さい」と。
2007年6月8日(金)

 久しぶりに下柳のローテーションぐらい日記が開いたのは、忙しかったからと、いろんなことがあったのだが日本は広いけど香川は狭いので「まあ書かん方が無難やろな」と思ってるうちに日が経ったということである。坂本君から「確かに(松浦さんの)部下はぼくだけですけど、ひれ伏すのはぼくだけではありません」というメールが来たこととか(笑)。

 とりあえず、今日は天気がすごいことになった。夜8時、家内とサンポート方面にウォーキングに出て30分ぐらい歩いてサンポートに着いた頃から、空に稲妻が走り始めた。そのうち北の海の向こうにビシーッ! と稲妻がタテに落ち始めて、これはいかんと思って引き返しかけたら突然風が強くなって来て、海辺のレストラン「ミケイラ」のテラスのテーブルが突風でガシャー! いうてひっくり返って、風はあっという間に「涼しい」を通り越して「寒い」と感じるほどの風になって、ついに雨まで落ち始めたので我々はあわててタクシーで家まで帰ったのである。

 しばらくしたら、雨は井上陽水の言う「空の水が全部落ちてくる」状態の豪雨になって、ビカビカと空が光り始めてドッカンドッカン雷が鳴り始めて、私ゃマンションのベランダで30分ぐらい、近年まれに見る雷と豪雨ショーを息を飲んで見てました。こっちにドカーン! と来て黒こげになって死んでも「それはそれでまあええか」と思いながら(笑)。ちなみに今、夜中の1時。まだ空がゴロゴロ…ドカーン! とか言いよる。早朝、峰山に行こうかと思いよんやけど、晴れるかいのー。

 ちなみに明日はまた書けないビッグイベントが一件。うー…体に悪い(笑)。
2007年6月2日(土)

 ほんまに競馬のことばかり書いてると競馬好きかと思われるっちゅうねん(笑)。ほんま、今回でしばらくやらん。来週からG1ないからやけど。

 そういうわけで金曜日にKSBに行ったら、さっそくまっちゃんが暗号解読を披露してきた。曰く、今週の映画の『座頭市』は、何と言ってもハイライトはラストのタップダンスシーン。タップダンスシチーが出てたら腰が抜けるほど行くとこやけど(ま、1000円とか)、「ここはノーザンダンサー系でしょう」と断言した。そこよなあ。だってノーザンダンサーは「北のダンサー」やぞ。『座頭市』、北野監督でダンスやもん。

 えー、ノーザンダンサー系の出走馬は、コンゴウリキシオー(父ストラヴィンスキー)、ザデューク(父デインヒル)、スーパーホーネット(父ロドリゴデトリアーノ)、エイブルワン(父ケープクロス)の4頭です。あと、座頭市につき「盲目のダンス」で父ダンスインザダークのジョリーダンス。ちなみに、猛威をふるうサンデーサイレンス産駒が人気を背負って6頭も出ているが、芝の混合G1でサンデー産駒が勝ってないのはNHKマイルとこの安田記念だけ。お気づきかと思うが、どちらも東京競馬場の芝の1600mだ。こりゃ、とりあえず単勝かな(笑)。

 今週は木、金、土と3日連続で夜は知人と外食。中でも爆弾は木曜日だった。実は3月いっぱいでFM高松のラジオ番組出演が終わって、パーソナリティの佐野さんが「何かお礼の品を買ってあげようと思うんですが」と言うので、欲しい物なんかないので「いらん」と言い続けていたら、こないだ「松浦由紀マシンガントークディナーショーはどうですか?」という打診が来たのである。

田尾「行く行く!」

 お持ち帰りはできんけど最高の「お礼の品」じゃ(笑)。四国新聞生活文化部のお局様(といってもひれ伏す部下は坂本君だけやけど)の松浦さんと佐野さんと、3時間半にわたってうまいもん食いながらしゃべり倒してきた。昨日はベドロー先生夫妻と2時間、今日は遊ゼミで3時間。おかげで仕事が山のようにたまって、明日は取材もあって、徹夜の予感だ。こんなこと書いとる場合でない。もう寝る。いや、寝たらいかん。
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