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2008年10月の日記
2008年10月31日(金)

 今日はなかなか珍しい体験をしました。

 朝7時30分、高松を出て高速に乗って善通寺に向かっていたのである。睡眠不足気味につき頭がシャキッとしないので、居眠り運転をしたらいかんので途中で府中湖SAに入って、自販機でリポビタンDを買って、壁のポスターを見ながら腰に手を当てて(笑)グッと一飲みして自分の車に帰ろうとしたら、知らないおっちゃんが声をかけてきた。

おっ「あのすみません、ちょっといいですか?」
田尾「は?」

 しょぼいケーシー高峰みたいな顔をした50代後半に見える小太りのおっちゃんは、よれよれの背広の上着を左手に持ち、シャツにちょっと汗を滲ませて、右手には何かのガイドブックからちぎったような地図を持ち、それを私に見せながら軽く危ないオタク風の早口で話しかけてきた。

おっ「ここはこの府中湖っていうサービスエリアですよね」
田尾「そうです」
おっ「あの失礼ですけどこれからどちらに行かれますか?」
田尾「善通寺です」
おっ「あの本当に失礼なお願いなんですけど、善通寺まででかまいませんので乗せて行ってもらって、どこかで降ろしてもらえませんでしょうか」
田尾「は? ヒッチハイクしよんですか」
おっ「いや、生まれて初めてヒッチハイクで、いや、ヒッチハイクするつもりはなかったんですけど、今治まで帰らないといけないのに、善通寺で降ろしてもらったら(地図を指して)歩いて11号線まで出られますからそこまで乗せて行ってもらったら」

 私もヒッチハイクの人を乗せるのは初めてだ。しかもちょっとこのおっちゃん、訳ありの怪しさもあるし…と思う間もなく、おっちゃんは事情を話し始めた。

おっ「私、今治に住んでるんですけど、会社で突然転勤を言われて頭に来て昨日会社を休んで児島(瀬戸大橋の向こうの岡山県)に行って飲んでたんですけど、3軒ぐらい飲み歩いてたら朝の3時頃に財布を落として…」
田尾「児島からここまで何で来たんですか」
おっ「ヒッチハイクで。それで瀬戸大橋を渡って坂出の府中言うんですか? 府中まで乗せてきてもらったんですけど、高速道路だったら今治の方へ行く人がいるかと思って。そしたら府中湖サービスエリアが近い言うんで府中で降ろしてもらってここまで歩いてきたんですけど、ものすごく遠いし最後は山登りみたいになってやっとここまで来て…」

 それで上着脱いで汗かいてたんか。でもまだ怪しさが抜けきらないまま、けど「まあええか」と思って私は乗せて行ってあげることにしたのである。

田尾「ええですよ」
おっ「ほんとですか! ありがとうございます!」

 私はおっちゃんを乗せて府中湖SAを出た。助手席でおっちゃんはしゃべり続けた。

おっ「ヒッチハイク初めてでどうしたらいいかもわからなくて、やっとここまで来たんですけどものすごく車が少なくてどうしようかと思ってたんですけど」
田尾「まだ朝早いですからね」
おっ「ほんとありがとうございます。あの、あとでメロン送りますので住所を教えてもらってもいいですか?」
田尾「いやもうええですよ(何でメロンなんかわからんけど)」
おっ「いやメロン、箱に入ったの2つ送りますから」
田尾「いやほんまに気ぃ遣わんでええですから(おっちゃん、家でメロン作ってるんか?)」
おっ「静岡のメロン、おいしいですから買って2つ、送りますから(買うんかい!)」

 善通寺まで10分足らず、それからおっちゃんは私のことを聞いてきた。

おっ「善通寺はお仕事ですか?」
田尾「はあ」
おっ「銀行か何か…」

 今日は黒のスーツにグレーのシャツにネクタイをしていたのだが、銀行員に見えるのか(笑)。

田尾「いや」
おっ「自衛隊ですか?(誰がや!)」

 善通寺に自衛隊があることは知っているらしい。あまりに聞いてくるので仕方なく「大学です」と言ったら、「四国学院ですか」と言ってきた。何でも昔、おっちゃんは自衛隊に入ってたことがあるらしく、善通寺はよく知っていると言った。ところがその後、おっちゃんは恐る恐る、新たな相談を持ちかけてきたのである。

おっ「あの、善通寺のJRの駅で降ろしてもらって、ちょっとお金を貸していただけたら今治まで帰れるんですが…」

 おいおい寸借詐欺か?! けど今までの話を聞いていたらまんざらウソでもなさそうやし、寸借詐欺が汗かいて人の少ない高速のSAまで上がってくるとも思えんし、善通寺から今治まで、なんぼか知らんけど2〜3000円ぐらいか? ま、話がほんまやったら人助けやし、と思って、人のいい私は善通寺の駅まで送ってあげることにしたのである。で、数分後、駅について財布を開けた私は愕然とした。さっきのリポビタンで千円札がなくなって、1万円札が2枚しかない! 秒速2万回転の頭の中で清水の舞台から飛び降りた私は、ええい! 1万円札貸したる!

田尾「1万円札しかないんで、これで帰ってください」
おっ「ありがとうございます! 絶対メロン2つ送りますから住所とお名前を教えてください!(だから何でメロンなの)」

 あんまり言うから住所と名前を伝えたら、おっちゃんも自分の住所と名前を書いて私に渡した。

おっ「ありがとうございました!」
田尾「ほな、気をつけて」
おっ「あの大学は向こうの方に行けばありますから(わかっとるわい!)」

 ふー、とりあえず人助けをしたような気もするけど、メロンもお釣りも送って来ん方に100円。私、振り込め詐欺に引っかかる可能性、ちょっとあるかも(笑)。

 あ、話は変わりますがインタレストのバックナンバーは第4号以外、品切れになってますので、メール等で希望された方は申し訳ありませんがお送りできません。すみませんがご了承ください。なんとかそのうち、四国学院のホームページかどこかにバックナンバーの記事をアップしますんで。
2008年10月26日(日)

 小さな山を2つと大きな山を2つ、また抱え込んだのであるが、わずかな隙間を縫って本を10冊ぐらい買い込んだ。ちょっと、3年くらいかけて研究したいことが出てきて、とりあえず模索段階で必要な資料を購入。以前から考えていた、地域のマーケティングに使い勝手のある新しいシステムというかツールを作りにかかります。たぶん研究仲間が必要になるけど、完成予想図を含めた枠組みを整理してから仲間集めにかかることにする。

 というわけで緊急の小さな山に取りかかっていたら、夕方、森Tから電話が掛かってきた。

森T「仕事じゃないんですけど、山で松茸がよーけ取れたんで、もしいるなら…」
田尾「いる」
森T「じゃ、20分後に持って行きます」

 松茸や、もう10年以上食べた記憶がないが。たぶん『恐るべきさぬきうどん』の取材か何かで「山の家」で松茸うどんを食べて以来だ。20分後、待ち合わせ場所のコンビニに歩いて行くと、森Tがマルナカの袋に入れた松茸をくれた。中をのぞくと、うわー! ものすごい松茸の香りや!

田尾「いかんいかん、袋をよーに縛っとかんかったら帰るまでに香りが減る(笑)」

 ニオイで家まで跡をつけられるんちゃうか? いうぐらい香りの強い松茸を下げて、私は家に歩いて帰った。しばらくしたら、外出していた家内が帰ってきた。

家内「うわ! 何これ、松茸やん! どうしよ、これ。松茸や家で料理したことないわ。これ早よ食べんかったらいかんのかな」
田尾「いかんやろー。ほっといたら香りが飛ぶんちゃう?」
家内「うわー、すっごい香りやわ。マルナカの袋にまで香りがついとる。これ、袋捨てられんで(笑)」
田尾「しょうがない、袋も食べよ」
家内「ほんだら袋は刻んでちょっと火であぶって…って、なんでやねん」

 えー、今晩は松茸ご飯を食べました。しかも、ちゃんと松茸が肉眼で確認できる松茸ご飯(笑)。森Tが「広報チームに配ろうと思って」と言ってたから、たぶん久保んちも今晩は松茸ご飯か焼き松茸か土瓶蒸しだ(笑)。

 そういや子どもの頃、裏の山で毎年大量に松茸を採ってくるばあちゃんが近所にいた。そのばあちゃんは松茸が採れる場所を家族にも教えずに毎年一人で山に入って松茸を採ってきていたのだが、近所にお裾分けしてくれるので誰も場所を詮索しようとしてなかった。ところが、そのばあちゃんが突然交通事故で亡くなって、松茸の在りかは謎となってしまったのである。その年の秋から数年にわたって私ら子ども連中は山中を必死で探し回ったのだが、ついに松茸は発見できず今日に至る。ま、数年しか探してないんだけど。あの頃はまだ山で燃料用に枯れた松葉や木っ端を取ってきたりしてたから山に手が入っていたけど、もう荒れたままだから松茸も生えなくなってるんじゃないかなあ。

 とりあえず、ごちそうさま。あ、こんなん書いたら大学でチンペイが暴れるかもしれん。しょうがないな、どうしてもというなら松茸の柄の所、一筋だけ剥いで持って行ってやろか?(笑)
2008年10月23日(木)

 本日めでたく、メールアドレスが復活しましたのでご報告申し上げます。あとは2カ所から請求が来ないかという心配だけ。もしダブル請求が来たら「約束が違うやんか」言うてピカラを解約します(笑)。

 もう一つご報告は、本日午後11時45分、松本君ちでめでたくインタレストの最終修正が終わってついに印刷発注にこぎ着けました。納品は来週、10月30日の予定。今回の特集は、
・目指せ!(るのか?)ため池テーマパーク
・香川県内の会館・ホール 緞帳大集合
・「香川県にいる外国人の数」大調査
・ツアーパラダイス「ディスプレイの迫力」
・「どれにしようかな」の検証
の5本立てですが、S原曰く「今回のが一番読み応えがありますよ」だそうです。例によって「郵送料着払い」でお送りできますので、希望者はハガキかeメールで「お名前、送り先住所、年齢(詐称可)」、あとメッセージとか好きなタイプの昆虫とか好きな海中の映像とか何でもお書きの上、以下までお申し込みください。

765-8505 香川県善通寺市文京町3-2-1 四国学院大学カルチュラル・マネジメント学科「インタレスト希望」係
eメール interest@sg-u.ac.jp

 さて、今日は私には珍しくニュースの雑感を一つ。

 皆さん、経済が活性化して景気が良くなる大きな要素は「企業投資の拡大」と「個人消費の拡大」の2つであることは、誰でもわかる原理原則ですよね。そのうち個人消費については、例えば景気対策として「内需の拡大」とよく言いますし、戦術的には「高齢者がお金を使うようなプロモーションをやるべきだ」とか「カジノを合法化してお金を使わせるのがいい」とか、消費を拡大するための議論がいっぱい出てきます。ところが今日、こんなニュースを聞きました。

 何でも、麻生首相がホテルのバーでしょっちゅう飲食してるみたいな話に対して、記者団が「(この景気が悪い時に)庶民感覚からかけ離れている」とか追求して、それに対して麻生首相が「ホテルのバーは安い」と反論して、そのやり取りにマスコミは批判的な報道をしていました。

 えー、原理原則に返りますね。景気を回復させる要素の一つは「個人消費の拡大」ですね。じゃ、首相には今、どんどんお金を使ってもらった方がいいんじゃないですか? でも記者団は景気が悪いのに「お金を使うな」と迫っているみたいだし、首相も「そんなにお金を使ってない」と反論している。どちらも景気が悪い時に「もっと悪くする」方向に動いている。逆じゃないですか?

 「景気の回復が一番だ!」と言うのなら、それこそ議員はみんなバンバンお金を使って、例えば全員が1億円ぐらいのマンションを買ったら700億円以上の経済効果がすぐに出ますよ。香川県民100万人全員が200円のうどんを食っても2億円の経済効果なんだから、桁違いの効果が出るじゃないですか(笑)。麻生首相も「景気対策を率先するため、私はバンバンお金を使う!」言うたらええのに。記者団もマスコミも、政府に景気回復を迫るなら「議員が率先してお金を使うべきではないか」と迫るのが原理原則に沿ってるんじゃないですか。

 庶民感情ったって、それはただのねたみやっかみですよ。それも例えば、高給取りの議員さんたちがお金を使うとどうなるかを冷静に考えてみると、やっかみ心はたぶんちょっとぐらつくと思う。

(1)議員に「贅沢するな」と言ってお金を使わさないと、派手な贅沢は私らに見えなくなるが、議員には貯金がいっぱい残る。
(2)議員にどんどんお金を使わせると、外向けには派手に見えるが、議員の貯金はどんどん減る。

 どうですか? こうやって2つ並べると、どっちが「やっかみ心(庶民感情)」が大きくなるか、微妙なんじゃないですか?(笑)ま、いずれにしても、議員がお金を使おうが使うまいが私らが直接損をしたり得をしたりすることはないわけですから、それならどんどん使ってもらって微力でも景気向上に貢献してもらった方がいいと思うんですけどねえ。不景気になったら、議員は全員銀座で豪遊してマンションを買う! これ、冗談みたいですけど、実は原理原則に叶ってるんじゃないかと。以上、雑感を終わります。
2008年10月22日(水)

 今日はちっちゃな事件がありまして(笑)。

 昼、ゼミのインタレストの時間。今回の編集作業の総括をレクチャーした後、みんなでやった1回目の校正をマザーに全部まとめて、夕方、松本君ちに持って行って直しの指示をして家に帰ったら、松本君から電話が掛かってきたのである。

松本「さっき中西さんから電話があって、追加の直しがものすごくある言うんでちょっと作業を止めてるんですけど」
田尾「ものすごく? 何の追加やろ。文字や写真やたいていの直しは今持って行ったやつに入っとるけどなあ」
松本「何か、プロの方が来られて見てもらったら直しがいっぱい出てきたみたいに言ってましたけど」
田尾「わかった、電話してみる」

 学生たちには「1回目の校正はこれで直しに出すから、あとは何か出てきたら色校正の時に直す」言うて出たのだが、松本君の作業を止めないかんほどの直しがどこから出てきたんや? と思いながら編集長の中西に電話をすると、何でも学生の知り合いに印刷会社で制作をやってた人がいて、その人を呼んで今、大学の編集室でインタレストの校正を見てもらっているらしい。するとその人から修正箇所をいっぱい指摘されているというのである。「色校正の時に直すんでは間に合わないくらいあるんか?」と聞いたら、何か専門的なことをいっぱい指摘されているのでよくわからないので、その人に電話を替わると言って、その印刷会社の制作にいたという人が電話に出た。若い女の子だった。

制作「初めまして。今見ているんですけど、いろいろありまして」
田尾「すみません、どんな直しですか?」
制作「写真のズレとか色の具合とか文字の配置とか」
田尾「すみませんが具体的にどこですか?」

 聞くと彼女は、白場が不自然だとか、文字の大きさが適当でないとかいう指摘を始めた。いくつか聞いているうちにだんだん何事かわかってきた。要するにそれは間違いを見つけているのでなくて、デザインの好き嫌いの話なんですね。好き嫌いで「こうした方がいいと思うんですが」という意見ももちろん出してもらってOKなのだが、何かその「好き嫌い」を「良い悪い」みたいに断定的に指摘するんですね、言葉の端々で(笑)。

制作「このタイトルの下に白場が空いているのは詰めた方がいいです」
田尾「はあ。(それは次のブロックと分けるためにあえて作った白場やんか)」
制作「ここは書体が明朝ではなくてゴシックにしないと弱いです」
田尾「なるほど。(それはメインのコピーを食ったらいかんからわざと明朝で弱めのデザインにしてあるんやけど)」
制作「このメインタイトルはゴシックにしないといけないと思います」
田尾「はい。(うわー、いつの時代のセンスや)」

 おそらく学生が素人作業で作っているとでも思ったのだろう。一応それらしい仕事を数年かじった「プロ」として、数十年のプロである松本君のデザインに自分のセンスで修正を入れているようです(笑)。しまいには「写真をこの位置に入れると印刷で切れますよ」と言い出したから、さすがに「お調子にお乗りになられたらいかんですよ(笑)」と思いながら「そこはさすがにデザインも気をつけていますから、切れないと思いますよ」と言ったら「いや、印刷で切れることがよくあるんです」と言ってきた。

 まいったなあ(笑)。私、20年も出版やって来てるんで、そんな初歩の初歩は当然知ってるんですが(笑)。さらに言えば、校正用の出力紙は見開きA3で出したらトンボが入って全体にちょっと縮小されて出るので、今回は松本君が気を遣って原寸で出すためにトンボ部分を入れずに出力している。ということは、校正している出力紙にはトンボが入ってないから天地左右のカットラインがどこなのかわからないはずでしょ?

田尾「その紙、トンボ入ってないですよね」
制作「トンボは入ってないですけど、PDFで送られてきたデータでトンボの位置を確認したら、やっぱり左右が切れると思います。センターがずれてるところもありました」

 「それを切って合わすのは印刷屋の仕事じゃ」と言いかけたが、グッと押さえて(笑)。ちなみにあとで松本君に伝えたら、「田尾さん、僕も長い間プロやってるのでセンターがずれるとか印刷で切れるとか、そんな基本的なミスはしませんよ(笑)」と言われた。当たり前よなあ(笑)。ま、こっちは校正用紙なしで電話してるので現物を見てみないと指摘内容がはっきりわからんということで、中西に「帰りにその直りを書き込んだやつ、持ってきてくれ」と言って(家が近いので)、松本君には「そのままさっき持って行った校正を直しにかかってね」と言って電話を切った。

 夜の10時前、中西が大学の編集室から校正用紙を持って帰ってきたので、近くのファミレスに行ってチェックを始めた。そしたらさっき電話で聞いた以外にもいっぱい赤で指摘が書き込まれていた。

田尾「これは?」
中西「何か写真が小さいから大きくするようにって」
田尾「これはな、白場を活かすためにこの大きさにしてあるんや。しかも全然重要でない写真やろ? これを白場いっぱいにこうやって拡大したら、見てみ? ページがダサダサになる上にいらんメッセージが出てしまう。次は…これは何や?」

 見ると、全面バックに色を引いたページの出力紙の天地左右に5o幅くらいの白い帯があるところに「ぬりたしナシ」と書いてある。

中西「何ですか?」
田尾「断裁して本になった時、紙面全部に色がついたページにするんやけど、塗り足しがないいうのは紙面の周りに白い帯が出てしまうという指摘や。この白い帯、何やと思うか?」
中西「コピーで写らない所じゃないですか?」
田尾「正解(笑)。この出力紙、トンボがないやろ? ということは、断裁のラインはこの紙の外にある。ここにある白い帯は、出力(コピー)した時にプリントされない部分(笑)。これを“ぬりたしナシ”って書かれたら、松本君、アゴが外れるで(笑)」

 制作の方とやらの名誉のために言っておきますと、もちろん他には私らの気づかなかった色が統一されてなかった部分の指摘とかもあって、さすが制作に携わっていたというだけある注意力ではありました。けどかなり初歩的な所でつまずいておられるようで(笑)。

田尾「えーと、これは?」
中西「“ディスプレイの迫力”っていうタイトルですけど、“迫力”というのをもっと際だたせるために“ディスプレイ”の文字をもっと小さくするって」
田尾「小さくしたらいかん(笑)。この特集は、世界の商品ディスプレイの特集やろ? 世界の“迫力”の特集ちゃうやんか。ええか、この特集で一番目に入れてもらいたいのは“ディスプレイ”の文字。それを小さくしてどうする」

 言っておきますが、デザイナーのこだわりと「プロの情報発信者」のこだわりは、根本的に視点と精神が違うんです。こっちは「読者に何を伝えてどう思って欲しいか」というのが最優先課題であり、そこに技術を結集しているわけです。でも多くのデザイナーは「読者にカッコイイ誌面だと思って欲しい」というのが最優先テーマになっている。だから、「誌面のデザインはカッコイイけど読者は記事を読まない」というページができあがるわけです。ここ、単なるグラフィックデザインと、エディトリアル(編集)デザインの根本的な精神の違いだと私は思っています。そこがわかってないと、「“ディスプレイ”の文字を小さくして“迫力”の文字を際だたせる」という、グラフィック的には正解かもしれんけどエディトリアル的には的外れな指摘をしてしまうわけです。

 ちなみに個人的な印象ですけど、エディトリアルデザインの世界が今、エディトリアルと言いながら単なるグラフィックデザインにかなり傾いてきているような気がしています。「カッコイイ誌面」作りに意識が行き過ぎて、伝えるべき文章、伝えるべき写真、伝えるべき図表などが単にデザインの一つにされてしまっているような…。それはたぶん、情報発信の「魂」のところが間違ってきています。エディトリアルデザインは、デザイナーや編集者が「誰(読者)をどうしたいのか」という目的の原点に返った方がいいと思います。すると、情報発信媒体としての雑誌はもう一段進化できるはずだ、というのが私の意見です(都村さん風に締めてみました・笑)。
2008年10月20日(月)

 松本君獅子奮迅の活躍で今朝、インタレストのデザインがほんの一部を除いて上がってきました。で、大学に持って行ってイナゴ軍団たちと校正を開始。順調にいけば来週納品というところまでこぎ着けた。ついに苦しかった大きな山を一つ越えそうです。

 などとプチ安堵していたら、今日、突然メールの送受信ができなくなった。ほんまにー、メカに極端に弱い俺にそんな試練を与えるなよ(笑)。メール環境はメカではないような気がするけど。で、どうにもわからんので夜、S原に助けを求めたら、何やらアカウントの中のパスワードが消えていることが判明した。S原の指示に従ってピカラのサービス担当に電話していろいろ調べてもらったら、こういうことでした。

 こないだ、何かよくわからんままに電話もネットもメールもセットでピカラに変えることになったのだが、その時、「メールアドレスは今使ってるのも引き続き使えるようにしてください」と言ったら「大丈夫ですよ」と言われたので安心していたのである。途中、それまで使っていた業者との契約を解除するようにと案内が来たので、契約解除をする時にも「メールアドレスは今までのも使えるんですよね」と念を押したら「大丈夫です」と言われたので安心していたのである。事実、昨日の晩までは何ともなかったのである。ところが、ピカラの担当者に調べてもらったら、「今日の昼に以前のアドレスが解約になって消えていますね」と言われたのである。2回も念押ししたのに消したらいかんやんかー。というか、何か私の手続きが間違ってたのか?

 結局、消えたアドレスを復活させるのに再契約手続きを取ることになって、何か書類のやり取りまであるみたいで、たぶん今晩から数日、私にメール送っても届きませんのでよろしく(泣)。応急措置でピカラのアドレスに設定変更しましたが、そっちのアドレスを知人みんなにお伝えするのも大変で、しかもお伝えしても数日で元のが使えるようになるみたいなんで(ほんまになるんやろな)、ま、メールなしで過ごしますわ。私は携帯電話もしょっちゅう携帯せずに過ごしてるから平気ですけど(笑)。急ぎの何かがある人はすんませんけど電話ください。大学の私のメールアドレスを知ってる人はそっちで取れるみたいなんでそちらへお願いします。けど数日後に復活したら料金も二倍取られるようになってないんやろか…。

 さて、今月に入って行ったうどん屋は清水屋2回、三徳、大円、灸まんうどん、泉屋、と来て今日は久しぶりになかむらに行った。店に入ったらいつもはセイロの中に玉があってそれをもらうのだが、今日はセイロがカラッポで釜から今上がってくるところというタイミングで、奥さんが釜から上がったうどんをタライみたいなんに入れて、上から水を入れながら麺を洗い始めたのでそれをじっと見てたのである。そしたら、たいていのうどん屋さんはザバザバと荒々しく麺を洗うのに、奥さんは麺をなでるように緩く流しているだけだ。じっくりと見たのは初めて。そうかー、あの軟体腰のなかむらの麺は水洗いも軟らかいのかーと思って、私は奥さんに言ったのである。

田尾「何か、えらいそっと洗うんやなあ。よそはガシガシいうて洗うのに」
奥さん「○○○やきんな」

 さて問題です。あの静かで真面目でおとなしそうな奥さんは何と言ったでしょう? 答は漢字3文字。私ゃひっくり返ったわ(笑)。
2008年10月19日(日)

 韓国とニューヨークを巻き込んだ変圧器問題は(ま、無知だっただけであるが)、後日O船から「アメリカは120ボルトじゃきん日本製がほぼ使えるけど、韓国はほとんどのホテルが110と220ボルトの両方のコンセントがあるきん、110を使うとケンチャナヨ」という私にもわからん方言で締めくくられたメールが来て、電話で確認したら「とりあえず“海外旅行のことなら西讃観光サービスにおまかせ”いうて書いとってくれよ」とのことだった。ただし、変圧器が入らないコンセントに変圧器をかましたらどうなるかについては、管轄外やからようわからんと。そこやがな問題は(笑)。

 さて、今週は大学に珍しい訪問者がやってきた。KSBのディレクターの喜多くんと一緒にやってきたのは、台湾で讃岐うどんの店をやっている「土三寒六」という店の社長の樺島さん。そう、あの台湾の企業が「讃岐」の名前を商標登録して「讃岐うどんの看板を下ろせ」と言われた店の若き社長である。応じなければ逮捕されるということになったらしく、とりあえず店名から「讃岐うどん」の看板を取り除いたのだが、その後、これを認めると台湾に讃岐うどんが進出できなくなるので香川県に対処を求めたら「一民間企業のことだから関知しない」みたいなことを言われて、仕方なく樺島さんは個人でその台湾企業を相手に裁判を起こして現在係争中である。

 で、そのニュースの後、テレビでコメントを求められた私が「香川県は讃岐うどんを世界に広めようということで1億円も使って世界麺フェスタまでやっているのに、讃岐うどんの世界進出を根本的に揺るがす事件をほったらかしにするのは理由がわからない」みたいなことを言ったり、「でも台湾で売っている半生麺や冷凍うどんは“讃岐”の表示を使っているが“使うな”とは言われてない」という声を聞いたので「アホですか。そんなん、まだ言ってきてないというだけじゃないですか。抱えさせられた爆弾がまだ爆発してないというだけじゃないですか」とか言ってたのを知って、私にあいさつに来たというわけである。すんません、わざわざ来て頂くほどのこともしてないのに。

 いろいろ話を聞いたら、無茶苦茶ですなあ、台湾の企業も香川県の対応も。ちなみに樺島さんは裁判費用などですでに自費で200万円ぐらい負担しているらしい。「讃岐うどん」のブランドを守るために一個人がお金と時間を費やすしかないって、そんなバカなことがあるんかと思う。裁判のことはよくわからんが、現在の相手は台湾のその企業だけど、判決がどっちになっても負けた方は今度は「讃岐」の商標登録を認めた台湾の知的財産ナントカ局を相手に裁判をすることになるだろうということで、そうなるともう樺島さん個人ではどうにも手に負えないことになるらしい。

 ちなみに台湾のその企業は「讃岐」だけでなく、なんと「香川」も商標登録しているそうだ。裁判どうなるんだろう…というより香川県も讃岐うどんの組合もそれをただ見守るだけって、どういうつもりなんだろう。しかも樺島さんの店は、香川県が「讃岐うどんを世界に広める店」として「さぬき大使館」に認定した店でしょ? 結局、自分たちが被害を受けなければ「讃岐」や「香川」のブランドは別に海外でどうなってもいい、というふうにしか見えないんですが。で、私にはどうすることもできんので「とりあえず樺島さんの負担した200万円をカンパでもしますか?」と提案したが、それやると行政や組合に「ラッキー」とか思われたらどうも釈然としないし(笑)。

 聞くと、台湾のその企業は樺島さんの店から「讃岐うどん」の看板を下ろさせた直後、自分とこが「讃岐うどん」の店の展開を始めたそうだ。樺島さん曰く、要するに邪魔な店をつぶしにかかったということだろうと。ということは、いずれ例えば半生麺を売り出すことになった時はそっちの競合にも「讃岐の表示を外せ」と言ってくる可能性は十分あるし、それが進むと、そのうち台湾では「讃岐うどん」は台湾産のブランドになるに違いない。最悪、向こうで裁判に負けて台湾で「讃岐」がその企業の許可なく使えないこと(つまり台湾のブランド)になったら、私の案は、台湾でマスコミを使って「台湾で“讃岐うどん”と表示されたものは本場香川の讃岐うどんとは全く関係ありません」というキャンペーンを大々的に行うという提案ですが(笑)、今の感じじゃ行政も組合もそんなものにお金を出すつもりはないんだろうなあ。

 ま、詳しいことはよくわかりませんが、とりあえずこれから讃岐うどんで海外に進出しようとする企業やお店の方々は、海外においては香川県は「讃岐」や「香川」の名称を守ってくれないようなので、さらに樺島さんによると、条件によって海外の企業に「讃岐」を商標登録してもよいとしようとする動きまであったそうなので(信じられない売県行為)、今のままだと覚悟して進出した方がよろしいかと。はあ〜、讃岐うどんを愛する無力な一県民の私らはどうしたらええんかなあ。麺通団で200万円カンパするかあ? とりあえずごんと長谷川君で…2000円は集まるか(笑)。
2008年10月14日(火)

 朝一、授業の前に教学課に行ったらチンペイが言うのである。

チン「田尾先生、パソコンのアダプターで普通に変圧されるから変圧器かまさなくていいんじゃないですか?」
田尾「ほんまかー」

 チンペイが黒い羊羹みたいなのがついたアダプターを出してきた。

チン「ほら、ここに書いてますよ」
田尾「けどな、俺の、マックのこれやんか(白い四角いアダプター)」
チン「ちょっと見せてください。うーん…何て書いてるか読めんですねえ」
田尾「な、いけるかどうかわからんやろ?」
チン「ほんまですねー。けどいけるんちゃいますか?」

 いけるような気もしてきた。そういや一緒に行ってた漆原先生は変圧器かまさんと仕事してたそうだし…と思って授業を終えて研究室に帰ったら、勝谷さんからメールで同じ指摘が来てた。マックのあの白いアダプター、変圧器なしでいけるんですかね。ニューヨークでは変圧器かまして何事もなくずーっと仕事できてたけど。まあええか、しばらく韓国に行くことないし。

 ちなみにニューヨーク行った時は日本に帰ってきたら阪神がひっくり返っていたが、韓国から帰ってきたら今度は息が止まっていた(笑)。去年は私が「1日1コ」と決めていたかき氷アイスの王者「ソーダッシュ」を辛抱できんで2コ食べたらその日から阪神が10連敗するという大惨事になったが、今年、調べてみたら私が海外にいる間の阪神の成績は…うわ! 1勝7敗や! これかー!(笑)すんませんみなさん、もうシーズン中には外国に行きません(笑)。

 株価も転落してたみたいですね。私はいわゆる「株」なんかやったことないんですが、あれって、競馬で言うたら「勝ち馬」を予想してお金を賭けるんじゃなくて、オッズの変化にお金を張ってるみたいなもんでしょ? 勝ち馬の予想は会社で言うと「業績」の予想だから、そうですよね。「人の心理」に金を賭けるバクチだもんなあ。私にはとてもできません。さ、バクチでなくて綱渡りの仕事しよ(笑)。
2008年10月13日(月)

 昨夜、韓国から帰ってまいりました。出発前の計画では、インタレストはあと4ページ、そのうち2ページは帰国後に森Tからの素材をもらってからの仕事になるので向こうで2ページを仕上げればいい。その2ページはかなりやっかいな特集であるが、水、木、金、土の4回夜があるのでホテルで4晩も仕事すれば何とかなるだろうと。そういう感じで水曜日に岡山空港から出発して、機内でさっそくパソコン開けて仕事して、昼頃仁川空港に着いて、そこからバスで3時間ぐらいかけて大田市の韓南大学校に行って、翌日のシンポジウムの打合せをして、初日の歓迎の夕食会に出たのである。そしたら、みんな何ぼでも酒を飲む。私は日本だったら「飲めんのです」いうて断るんだけど、何か韓南大学校(学生数1万2000人だか3000人だかのかなり大きい有名な大学)の偉い人に勧められたら断って良いのかどうか、文化的にもよくわからないので失礼があったらいかんと思って、一応「飲めんのです」とは言ったものの、焼酎みたいなのを小さいグラスに5〜6杯、しまいに大きめのグラスにビールを入れてそこに焼酎の入った小さいグラスをそのまま沈めて(チャンポン状態)一気に飲めと言われて、私ゃ一気に行きましたがな。9時頃ホテルに帰って、そのまま寝ました。死ぬかと思った(笑)。3年分ぐらい飲んだから。これで一晩仕事がパー。

 翌日木曜日は朝8時半から動き始めて、韓南大学校にパソコン持って行ってシンポジウムの本番までの間に原稿書いて、それからシンポジウムで発表して、夜、総長主催の晩餐会に出て、今度はビール1センチしか飲まずにホテルに帰った。パソコンを大学に持って行ってたのでバッテリーの電力が5分の1ぐらいに減っていたので、橋本先生に借りた変圧器を挟んで電源を取りながら仕事してたら、1時間くらい経ったらランプが消えた。あれ? もう充電できたんか? と思ったら、バッテリーはまだ半分くらいしか充電できてない。おかしいな…と思ってコンセントに差し込んでいる変圧器を持ったら、うわっち! 焼肉できるぐらい熱いが! 変圧器を見ると「ランプが消えたら一度コンセントから抜いてください」と書いてある。冷ましてやらないかんのか! 仕方なく抜いたまま仕事してたらまた電力が5分の1くらいに減ってきたので変圧器をコンセントに差したら、おー、ランプがついた(笑)。と思ったら、今度は30分くらいでまたランプが消えた。コンセントから抜こうと変圧器を持ったら、うわっちっち! また焼き肉や! また抜いて仕事してしばらくしてまた差したら、今度は15分くらいで焼肉になってランプが消えた。また抜いて、また差したら今度は5分で焼肉! 結局、焼肉変圧器を抜いたり差したりしながら夜中の1時頃、「これ、パソコンがクラッシュするんちゃうか?」という不安に襲われて仕事を止めて寝た。

 翌朝金曜日、7時に起きて恐る恐るコンセントに差し込んだら、10分で焼肉になった。よーし、昨日の晩より5分延びたぞ…って、絶対おかしいわ! 結局バッテリーの気力がみなぎってないのでこの日はパソコンをホテルにおいたまま大学に行って、式典に出席して、また晩餐会でこの日は一滴も酒を飲まずにホテルに帰って、だましだまし電力を補充しながらギリギリまで使って仕事して、何とか特集2ページの見せ方と大まかな割付がまとまる所までデータを整理した。

 翌土曜日は百済に行って大きなフェスティバルや博物館を視察して、日本にはないマーケティングのヒントを結構入手できたけど、発表は授業とインタレストの第7号あたりで。で、結局特集の2ページは最後の原稿の仕上げと割付作業を残したまま帰国したのである。はぁ〜。

 ちょっとだけ韓国大田市の感想。人口150万人くらいの都市でここ10年来人口は増え続けているようですが、街のサインや店やいろんなものを見た限りでは、マーケティングは日本の方がかなり進んでる感じ。日本のマーケティング技術やシステムを持ち込んだらかなり進化できそうな余地が感じられたけど、向こうの人のニーズやライフスタイルがわからんからヒットするかどうかはわからん。ただ、やっぱり外国だけあって日本にはないアイデアがあちこちに見られて、いろいろヒントになりました。

 百済の博物館に行って昔の百済のいろんなものを見たんですが、瓦や鴟尾(あの金のシャチホコみたいな屋根のてっぺんの両端にあるやつ)を見たら、あそこ、まるで「日本」のルーツなんですね。そういや仏教も百済から伝わったと教科書で教わったし。ちなみに向こうで橋本先生が私を「うどんの先生」と紹介しまくるもんだから(笑)、2日目の昼、韓南大学校の先生が「うどんを食べられる人気の店」に連れて行ってくれた。行ったら出てきたのが「カルグクス」といううどん料理です。

 どんなのかというと、まず、焼き肉屋みたいなコンロのついたテーブルに、鍋料理ができるくらいの大きさの鉄鍋がかかっていて、中にダシとネギやキノコなどの野菜とアサリが入ってる。その横に別皿に山盛りの緑色をした「生麺」がある。この麺は小麦粉を塩水でなくて水で練ってヨモギを練り込んだものだそうで、外観はほとんど讃岐うどんの生麺と同じ。ただ、つまんでみると讃岐うどんの生麺よりちょっと軟らかい。で、鉄鍋のダシが沸いてきたら店のおばちゃんがこの生麺をつかんでそのまま入れた。いっぺんにダシの沸きが収まる。大丈夫かいな…麺が溶けるんちゃうか? と思っていたら、5分ぐらいでもう「食べろ」と言うのである。取り皿に鉄鍋からうどんと野菜とアサリとダシを取る。要するに「打ち込みうどん」である。けどなんぼ何でも早いんちゃうか? まだ生麺ちゃうんか? と思いながら私は麺をズズッと食べた。

 うまいがな! これ、やわらかい釜あげ麺! しかも切れずに伸びがあって、ねじれちじれでフルフルのエッジが残ってる! 麺を見た時に「手切りか」と思ったのだが、聞いたらやっぱり手切りだそうだ。たぶんあの生麺のやわらかさが、目の前で5分で釜あげ麺状態にしてしまうのだ。あれは一種の讃岐うどんです。「うまいうまい」言いながらズルズル食った。こないだ「讃岐うどんのルーツはシルクロードだ」と言って香川県で「世界麺フェスタ」まで開催されたが、カルグクスを食ったら私は讃岐うどんの親族として「百済」を支持する(笑)。大田市の「カルグクス・マンドゥーヌン・サーラームドゥル」という店です。

 小ネタもう1コ。向こうで通訳代わりにずっとついてくれた韓南大学校の日本語を勉強している学生たちの中の一人が映画『UDON』を知っていて(!)、「私が麺通団団長の田尾です」言うたら腰を抜かさんばかりに驚いていました(笑)。次の日、またその学生がついてきて「昨日の晩、DVDを見直しました! 田尾先生、出てました! ウィキペディアの田尾先生のところも全部見ました!」って。よーし、ツカミはオッケーって、つかんでどうする(笑)。

 で、余談が長くなったが昨日の夜10時半頃家に帰って、そのままインタレストの原稿にかかって、今朝、特集の2ページを仕上げた。で、森Tに残るページのデータについて電話して補足指示をしたら、「わかりました。今日は休みなんで明日でもいいですか?」と言うので「ええよ」と返事して、心の中で「月曜日やのに仕事休んどんか!」とツッコミを入れて電話を切ったのだが、さっき気がついた。今日は全国的に休みだったのね(笑)。
 
2008年10月7日(火)

 金曜日の夜から日曜日の夜にかけて、インタレストの残り14ページのうちの8ページが怒濤のように進んだのである。そこで月曜日の昼、この日からきれいな体になってインタレストにかかれるという松本君ちにデータと割付用紙を持って行って、とっとと帰って一気に残りの原稿にかかるつもりだったのだが、デザインの指示をしていたら松本君が手遊びをしてユーチューブをいじって「天地真理」の古い映像を流し始めたもんだから、ユーチューブなんか見たこともなかった私が「スージー・クアトロとかも入っとんか」と言うたのがいかんかった。出てくるがな、若き日の動くスージー・クアトロ。この非常事態に1時間半もムダにしたやんか! 帰りにごんと移転して初めての三徳に行って、「まぐろオヤジ」の大将が出てきて一緒に写真まで撮って、結局昼前11時半に家を出たのに帰ったら3時前になっていた。

 それから原稿がビタッと止まって、どないしても次のページの構想がまとまらん。学生たちが集めてきたネタをよりうまいこと編集して見本として見せてやらないかんという使命感が、平凡な見せ方を拒むのである。結局、あと6ページを抱えて今日になった。朝から授業を1つ終えて、あとは会議1つだけやから研究室にこもって一気に…と思って教学課にカギを返しに行ったら、チンペイが退っ引きならない緊急の仕事を指示してきた。ひえー! また割り込み仕事! とりあえず研究室に帰ってそいつを一気に仕上げたら森Tから内線がかかってきて、原稿のチェックがまた1本。会議を終えたらまた緊急の用事が一つ発生。

 えーと、明日からの韓国、4ページ抱えてパソコン持って行きます。
2008年10月2日(木)

 午前2時、返ってきた小山の原稿の修正を完了して、こんな時間に先方をFAXで起こしたらいかんので(先方は家でFAX兼用電話を使っているので、FAXを送ると電話が鳴る)こんな時間に車を出して先方の家に行って、郵便受けに原稿を入れてきた。さすがに深夜2時の高松中心街は静かですなあ。

 ほんで今日は朝から授業2つと会議と面接と雑務を終えて、家に帰って明日の授業の準備を終えたら夜の12時です。ふー、もうちょっとや。もうちょっとでハリケーンが終わる。まずは明日の夜から来週の火曜日まで、まだ大型で強い勢力を保ったままのインタレスト残り14ページの嵐に突っ込む。そこで終わればよし。終わらなければ、水曜日からの韓国行き(四国学院大学の姉妹校の韓南大学校との姉妹提携30周年記念式典出席と向こうでの研究発表)にパソコン持っていって、毎晩向こうで仕事をすることになる。けどいずれ、10月20日頃にはだいたいの片が付くはず。その後、授業やゼミや学内業務で中くらいの山が向こうにボコボコ並んでるのが見えるが、まあ時というものは何でもそれなりに解決しながら過ぎて行くものだなあ…と、今ちょっと遠い目をして『平家物語』や『方丈記』に思いを馳せてみたのだが、どっちも読んだことはないのですぐにこっちの世界に戻った。

 本、読んでないなあ。ほんまに子どもの頃からずーっと、私は本を読んでない。家に本がほとんどない。名作もベストセラーもノウハウ本もほとんど読んでない。あー、『ゴルゴ13』が全巻ある(笑)。あれ、こんなところに『風の大地』の単行本が10冊ぐらいあるぞ。

ごん「5年ぐらい前に私が貸したやつでしょ! 早よ返してくださいよ!」
田尾「本が“あんなおうちに帰りたくない”って言いよる」

 東京に通ってた頃に道中で買ってた文庫はちょっとあるけど、書籍がほとんどないんよなあ。寝る前に睡眠薬代わりに、昔、人にもらった本とかを引っ張り出して読むんだけど、何か簡単なことを小難しく書いてるのがよっけあってあんまりおもしろくない。こないだは誰かが昔「ベストセラーのビジネス本や」いうてくれた『7つの習慣』を引っ張り出して読んだけど、もうええわ、みたいな。とりあえず、都村さんに教えてもらった「原理原則論」みたいなのが一番、というかダントツで役に立ってるので、それを自分なりに応用して使いながら目の前の仕事にがんばることにする。今日は1年生の授業で、ビジネスレベルから3段くらい落とした基本をやらせたら、予想を上回るデキで返ってきた。ちょっと自分の気力も増してきた感じ。明日は朝から授業2本と面接と雑務数本とテレビ。がんばろ。
2008年10月1日(水)

 すいません、今晩というか日が替わって深夜0時2分、小さな山を一つ越えました。ヘビーな読者から「残りの山は一つだけやったんちゃうんかい!」というツッコミも入らんくらい日記が飛んでいたのですが、今さっき苦しみながら越えた小さい山は、途中でまた受けた仕事です。とほほ…。けどあまりの解放感にちょっと手遊びでこれ書いてます。書いてる場合じゃないのはわかってるんですが、とりあえず生存の報告です。あー、やっとあと山一つ、インタレストの残りだけになったー。あー…と、森Tから回ってきた学内のちっちゃい仕事が一つある…。明日と明後日の授業の緊急準備がある…。急いでせないかんゼミの段取りが2つある…。

 というのに、仕事でうなっている最中の研究室にチンペイがやってきて言うのである。

チン「田尾先生、僕ね、悩みが一つあるんですけどいいですか?」
田尾「よくない」
チン「そなに言わんと聞いてくださいよ」
田尾「しゃーないのー。何や」
チン「田尾先生は話をする時、たいていオチがあるじゃないですか。僕、オチがなかなか考えられんで悩んでるんです。どないしたらええんですかね」
田尾「オチが思いつかん時は話をせんことや。ほんだらオチのある話ばっかりできるようになる。俺が行ってもあいさつしかせん時があるやろ? あれ、オチのある話がない時や」
チン「ありがとうございました! 目からウロコが落ちました!」

 たぶんチンペイ、明日から無口になるぞ(笑)。と書いていたら今、横のFAXが音を立てて何か紙を8枚ぐらいぐらい吐き出した。うわー! さっき越えた小山の原稿の校正が返ってきた! 今から直さないかんがー。
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