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2013年07月の日記
2013年7月31日(水)

 結局、火曜日の朝は5時に寝て、7時に起きて原稿をポストに投函して大学に行ったのである。睡眠時間、2時間。それから大学で山のように提出されている授業のレポートを読んで、ずーっと起きたまま夜中の1時頃までかかって、1科目分の採点を終了した。

 今朝は、睡眠時間4時間で8時前に大学の研究室に入って雑務を片付け、10時頃から「締切が水曜日中(今日じゃ!)」の長い原稿に取りかかりました。こないだ本広監督とH谷川君と編集の伊藤さんとカメラのGABOMIの5人でうどん屋6軒回ったやつの原稿。本文が4200字くらいに、写真のキャプションが約60字×30本近く。あと、見出しが5〜6本と、店のオススメ原稿が5軒分。どうだ、行けるのか? 行けんでしょう(笑)。しかも、午後1時半〜3時はインタレストの編集会議が入っているし…

 けど、とにかくやらないかんので、とりあえず10時から原稿に取りかかったのである。

 まず、4200字の原稿をどういうテイストで、どういうリズムで構成するかを考え始める。当該の雑誌(四国旅マガジンGajA)のテイストに合わせるのか? いや、「文・田尾和俊」と出るから、やっぱり本筋は私のテイストだろう。

 地の文と会話文はどっちを主体にして構成するか? 6軒の探訪記で4200字ということは、1軒あたり700字か。これ、会話文なんか入れていらんこと書いてる余裕がないぞ。地の文主体にせないかんのか…すると、俺にとってはリズムを作りにくいパターンになるんか?

 …等々、1時間ぐらい考えたのだがどうにもうまく構成がハマらないので、私は決断を下した。まず、とにかく締切までの時間がなさ過ぎる。ま、こんなことになるまで何をしよったんや! という話でもあるが(笑)、そうすると、自分の一番書きやすいパターンで突っ走るしかないのではないか? よし、そうしよう。送られてきたページのデザインラフは「見開き1軒」になっているが、割り付けを無視して一本ネタの文章で突っ走ろう(笑)。

 午前11時過ぎ、突撃を開始。すると、自分勝手バージョンにしたことが奏功して、文章がどんどん進み始めた。

 ところが、途中でまずいことに気がついた。与太話から入って、ツアー出発から会話文を入れながら調子に乗ってネタをどんどん盛り込んで行ってたら、1軒目の柳川と2軒目の長兵衛の紹介あたりで4200字を使い切ってしまうぞ!

 仕方なく名誉ある撤退をして再び全体構成を考え直していたら、1時半が来た。吉田とO西に「こないだの日記、誤字脱字が何カ所もありましたよ」と指摘されながら、インタレストの編集会議開始。

 3時頃、研究室に帰って再び構成を考えていたら、何か構成案がまとまり始めた。そこでものすごく集中して案を頭の中でつなげていたら、ノックの音がして誰かが入ってきた。見ると、数日前に初めて来た、某印刷会社の新人社員だ。

 数日前のその時は、別の重い原稿のまさに進行中だったのにこの子はアポなしで入ってきて、「ちょっと今は勘弁してくれ」と言ったら「自分は四国学院の卒業生で、田尾先生の授業も受けたことがある。ちょっとお話しさせてくれ」と言う。私はそれまでつながっていた思考がぶち切られそうになったので、「とにかく今はいかんから、別の日にアポとって来てくれ」と言って返したのである。それが、よりによって頭の中で構成を必死でつなげているまさにその時に、またアポなしで来るとは。

 しかも、「今はあかん」って言ってるのにちょっと粘ろうとする。私は普段は温厚なのでそんなことはしないのだが、申し訳ないけどちょっと冷たくもう一回「今はあかん」と一言だけ言って、パソコンに顔を向けてしまった。

 ごめんね。でも、飛び込み営業は俺もさんざんやらされたからわかるけど、アポなしで来た時は、自分の都合で言動するなよ。インタレストの学生らはたぶん、もうちょっと相手に気遣うメンタリティがあるぞ。どこの学科出たんか知らんけど、そんなん教わってないんか? ま、締切超えてまた来たら、時間があったら教えてやるわ。

 などという数分間があって午後4時頃、ちょっと本文に詰まったので、一旦本文の原稿を止めて、キャプション原稿の方に取りかかることにした。

 写真に合わせて、一つ一つ小ネタを考えながら60字前後の文章を作っていく。私は写真のキャプションごときにも全力だから、たいていみんなが読み飛ばしてるだろうキャプションの中にも小ネタ満載だ(笑)。

 午後7時、約30本分のキャプション完了。再び本文に取りかかる。書くことはいっぱいあるのにスペースが足りない、という苦悩と戦いながら、夜の10時頃まで頑張ったところで、ある重要な確認ごとが必要になった。これが確認できないと、文章がそこから進まなくなってしまう…

 まいったな。H谷川君か? けど、もう夜の10時やし、こんな時間に団長から電話したら、何か大変なことが起こったのかと心配させてしまうが。けど、これを確認しておかないと、原稿の内容に支障が出てくる。けどやっぱり、こんな時間に電話するのは申し訳ないしなあ…俺からの着信見ただけで、絶対H谷川君、ドキッとするわ。あかんあかん、無用の心配をかけたらいかん。やっぱりこんな時間に電話はあかんわ。けど、このままでは原稿が進まんし…

 夜10時16分、私は研究室からH谷川君に電話をかけました。そしたら、数回のコール音のあと、「電話に出ることができません…」のアナウンス。やっぱりな、こんな時間はダメや…と思っていたら1分後、電話が鳴った。見ると、H谷川君からだ。

 私は、H谷川君から心配そうな恐る恐るの声が来るだろうと思って、心配を少しでも早く取り除いてやるために務めて明るい声で電話に出ようと準備をして、ボタンを押した。すると、私が声を発する間もなく、

H谷「何ですか? まさか、今日締切のGajAの原稿に詰まって助けを求めてきたんじゃないですよね」
田尾「何でわかるんや! 脳ミソつながっとんか!」
H谷「それで、何ですか?」
田尾「重要な確認ごとや。これが確認できんと、原稿が全然進まなくなるんや」
H谷「僕にわかることなら何でも」
田尾「こないだ本広監督が持っとったん、ケータイやったっけ、スマホやったっけ」
H谷「あの、どんな原稿書いてるんですか」

***

 そういうわけで、深夜0時に大学の駐車場が閉まるので、研究室で11時過ぎまで頑張って12時前に家に帰りました。それから鬼の集中力で、午前3時、ついにすべてを書き上げてしまいました。しかも、深夜ハイでこんな日記まで書いております。明日は授業が2本と、次のレポート採点があります。

ふー、今週で前期の授業が終わる…
2013年7月29日(月)

 ひえー! 仕事部屋のクーラーが壊れた! 

 昨日から何かぬるい風を吐いていたクーラーが、本日夕方、完全に職務を放棄しました。室外機の横に出ているホースから、水滴も全く出ていない。室温は常時30度をキープ。仕事にならんわ! 

 ということで、家内がさっそく電気屋に電話をし、状況を説明して対策を聞いたところ、どうも設置13年目でどこかの重要な部品が寿命を迎えた可能性が高いと言われました。そこで、

(1)夏はまだまだこれから。
(2)抱えている原稿量は膨大。
(3)しかも「締切が今晩中」の重い原稿が1本。
(4)さらに「締切が水曜日中」の長い原稿が1本。
(5)従って、仕事部屋は連日フル活動を余儀なくされることが確実。

 というファクトを並べてロジカルに検討した結果、わが家は「これは早急に買い換えするしかない」という結論に達したわけです。

 夕方6時過ぎ、2人で一緒に家を出て、2人が別々の車に乗って、家内はエアコンを買いに電気屋さんへ、私はパソコンを持って、クーラーが効いてコーヒーと灰皿があるオシャレなカフェ「umie」へ仕事をしに出かけたのでした。

 umieの営業時間は深夜0時まで。私は「締切が今晩中」の重い原稿を何があっても上げないかんので、閉店まで頑張るつもりで電源コードまで持って行きました。umieの隅っこの、テーブル面は一人分の大きさしかないのに椅子が3つある席がいつも私が原稿を書きに行くと座る席なのだが、実はあの席の壁際の足元にコンセントが隠れているの(笑)。

 で、コーヒーとカプチーノをお代わりしながら2時間ぐらい原稿に没頭していたら、夜の9時前に家内から電話があった。

家内「さっきエアコンのプラグを抜いて差し直したら、冷たい風が出て来始めたわ」
田尾「ほんま!」
家内「うん。だから明日の朝、電気屋さんにキャンセル入れないかん」
田尾「ほんまやなー。とりあえず、ほんだら帰るわ」

 というわけで、電源コードを使うまでもなくumieを出て、9時過ぎに家に帰って仕事部屋に入ったら、おー、涼しいぞ。ベランダのホースを見たら、先からポタ…ポタ…と水滴も落ちよるがな。エアコン、職場復帰。

 それから約3時間、頑張って頑張って原稿を進めていたわけです。しかし今日はほんまに原稿をアップせないかんので、追い込まれたら無類の強さを発揮する私はしっかり目も覚めたまま、しかも集中力も続いて脳がフル回転している。回転しているせいで熱まで発して、体中が温かくなってきたぞ。うーむ、額まで軽く汗ばんできた。何か、腕とか、ちょっとベタついてきた感さえあるぞ……

 と思ったところで私はハッと気がついて、エアコンの噴き出し口に手を当ててみたら…

「温風が出よるやないかー!」

 そういうわけで、エアコン、ご臨終。9時頃の冷たい風は、ローソクが消える前に一瞬明るく燃えるやつ、あれだったようです。

 結局、1時頃いっぺん風呂に入って汗を流して、鬼の集中力で原稿を再開した結果、普通なら絶対1日で終わらん原稿をさっき、午前4時18分にアップしました。朝一にまた郵便で沖縄に送らないかんのやけど、今から寝たら起きられんかもしれん。けど、寝ずに大学に行ったら、そっちに支障が出る。どうしよう。
2013年7月28日(日)

 いかんなあ。連日仕事が多くて、日記の更新頻度がまた落ちてきた。善通寺市があろうことか自治体初の太陽光発電の計画を発表して、四国電力に売電して県民負担を増やしにかかろうとしているとか、新聞に載った県議会での県会議員の質問の一覧を見たら気を失いそうに低レベルな質問が並んでいたとか、商店街が地域活性化につなげるイベントのコンペをやるとか、書くネタは毎日のように出てくるんだけど、こういうのを原稿にするにはちゃんとロジックを作り込まないとただの感情的な文章になるので、書きかけたらすごく時間がかかる。で、夜中に何とか書こうとしては途中で翌日の仕事に支障が出そうになってやめて…みたいな先週でした。

 加えて、土曜日は朝から夕方まで、休憩を挟んで6時間、教員免許更新講習の授業(保育所から小中高校までの先生が教員免許更新のために大学の授業を受けに来る)をやってヘトヘトになりました。2009年から始まったこの制度、私は今年初めてやったのですが、やってみたら小中高校の教育現場についてものすごく考えさせられることがあって、しかしここにはとても書けなくて…。

 ネットの中に増殖している「情報発信の素人さんたち」なら無邪気にすぐに書いて物議を醸してしまうのだろうが、私は曲がりなりにも情報発信のプロを30年もやってきたので、書いていいこととダメなことについては、素人さんよりは自己基準が厳しくて、そういうのも日記が滞る一因になっている。と、言い訳をしておこう(笑)。

 でも、書けないけどしゃべるのはちょっとハードルが低くなってもええんかな…というベタな展開で、宣伝を一つ(笑)。

 8月17日(土)14時から、サンポート高松小ホールで勝谷さんと「怒れるおっさん会議in高松」というトークライブをやることになってしまいました。宮脇書店で前売り券(1800円)をもう販売しているそうです。

 勝谷さんの単独講演会の方がお客さんが入りそうな気がするけど(笑)、何を対談するのか、ネタの打ち合わせはきっと当日、会場で顔を合わせた時にやるんだ(笑)。よし、話は勝谷さんに任せて、私は「ふんふん」「なるほど」「んなアホな」、この3つで行こう。とりあえず、「考える住民」になろうと思っている人と、「暇で行くところもないけど2000円ぐらいお金を使いたくて仕方がない」という人はぜひお越しください。

 というわけで、あと1週間、気を失いそうな仕事量です。月、火、水は締切のある重い原稿3本、木、金は授業と山のように出てくる学生のレポートの採点。今回はちょっと、締切に間に合う気がしない…と予防線を張っておいてと。
2013年7月23日(火)

 月曜日の夜9時に重い原稿1本をアップして、先方の事情により郵送するしか方法がなくなったので、夜9時半頃、高松市中央郵便局に行ってレターパックで原稿を沖縄に送って帰ってきた。

 やっぱり、1本に1週間ぐらいかかってるなあ。けど、先週は授業や学生指導20人分やオープンキャンパスや“やくさん”があって原稿制作時間が極端に少なかったので、実際はちょっとスピードアップしているのかもしれない。とりあえず、あと3本で貯め込んでいるやつが一掃できる。一掃できた頃にはまた2〜3本入ってくるんだけど。

 というわけで、今日は精神的にかなり余裕の一日であった。「あとまだ3本ある」というネガティブ情報より、「1本が終わった」という達成感の方が、私の中の短期的メンタリティにおいては断然大きいからだ。

 ただし、一見、実に勝手で都合のいい性格のように見えるが、生まれつきこうだったのではない。複数の仕事を抱え込んで苦しみ続けて30年。その試行錯誤とメンタルトレーニングが「自分のキャパ以上の仕事はできない」という当たり前の結論を導き出して、今、この境地にあるのである。境地ではないな。まだしょっちゅう焦ってるし(笑)。

 で、授業を終えて、早々に出てきた学生からのレポートを50人分くらい読んで評価を付け、家に帰って次の原稿に取りかかる前に水槽を眺めていたのである。すると、全身漆黒で尾びれだけが真っ赤の全長8センチもあるサメみたいな形をしたわが家の水槽のヌシ(わが家ではこいつを「サメ」と呼んでいる。そのままやけど)の姿が見えない………と思った瞬間、水草の森の中に黒い影が見えた。角度を変えて凝視してみると、死んでるやないか!

 実は7月19日の金曜日の夜、ペットショップ・プーキーがバーゲンみたいなのをやっていたので、ネオンテトラのちっちゃいやつを50匹、白い中型の魚を3匹、黒い中型のを3匹、マダラのを3匹買って帰って、かなり大きくなった先住民ならぬ先住魚が100匹くらいいる水槽に追加投入したのである。すると翌日、ネオンテトラの群の大きさが半分くらいになっていた。

 最初は、「先住魚たちは全部かなり大きくなっているから、新参者のちっちゃいネオンテトラはビビって大半が水草の森の裏に隠れているのだろう」と思っていたのだが、目を皿のようにして凝視したところ、どうも数が減っているのは間違いないようだ。それが、日曜日には目に見えるのが6匹だけになり、月曜日、ついに全部消えてしまったのである。

 ネオンテトラの急激な減少に合わせて、新参者の中型の黒いやつが日曜日に全滅した。月曜日には、マダラの3匹が全滅。その間、中型の先住魚も2匹ダウン。そしてこの日、ヌシの「サメ」が死んだ。これらのファクトをつないでロジカルに考えると、答は一つ。

「ちっちゃいネオンテトラ50匹を、いやしいやつらが全部食ってしまって、そのうちの特にいやしいやつらが食い過ぎで死んでしまった」

 これだろう。これしかないだろう(笑)。

 ちなみに、1ヵ月くらい前に投入したオトシンクルス20匹とエビ20匹は半分以上が生き残っていて、水草に付いているコケはすでにほとんど食い尽くして、今、水草本体を食っています。風雲急を告げるわが家の水槽(笑)。

***

 今日、漆原先生との会話。

漆原「あれは違うんですよ。チンペイが明らかに『高松・のみや杯』って切って言ってきたんですよ」
田尾「えー? すると、『高松飲み屋杯』というのはチンペイが思いついたネタで、わざと漆原先生に言わせようとして引っかけてきた」
漆原「あの言い方は、誰が聞いても『高松飲み屋杯』としか聞こえない。おかげで私、『高松宮様に対してなんて不遜なやつだ』とか言われちゃって」
田尾「それはいかん。すぐに訂正しておきます」

 にわかに浮上してきた「チンペイの陰謀説」。これは、第一次「チンペイ・漆原紛争」勃発か?!(第二次があることを想定した紛争名だが・笑) これは私が仲裁役を買って出なければならないかもしれないが、憲法の制約があって世界平和にも貢献できない(笑)。
2013年7月21日(日)

 相変わらず貯め込んだ原稿に苦しむ日々、土曜日の夜は久しぶりに「トリプルブッキング」が起こってしまった。

 まず、1番に入っていた予定は、7月17日にH谷川君から入ってきた「土曜日の夜に久しぶりにうどん屋の大将たちが集まって飲み会をしますので、よかったら来てください」というオファー。続いて、18日に入ってきた2つ目のオファーは、東京から帰ってくる迷惑なねっくからの「麻雀しよ」という迷惑な案件。そして3番目に入ってきたのは19日、某社社長からのショートメールで「やくみつる、明日の19時から瓦町の○○(寿司屋)です」という連絡。

 えーっ! やくみつるー?

 忘れてたがな。そう言えば10日くらい前、久しぶりに会った某社社長から「私の大学時代の後輩のやくみつるが来て、2人で晩に何か食べに行こうという話になってるんですけど、ぜひ田尾さんを紹介したいから来てくれん?」みたいな話があって、私は「そんな先輩後輩水入らずみたいな席に私なんかが行ってやくさんに迷惑がられてもいかんから…」と返事したのだが、何やらもう、私が行くことで話が進んでいたらしい。

 というわけで、一介のH谷川君とねっくのオファーは予選落ちして、初めてやくさんとお会いしてきました。

 やくさん、テレビで見るのと同じようにちょっと伏し目がちで、私は例によってバカ話キャラなので最初はテンポとリズムがつかめなくて恐る恐る(笑)お話しをしていたのだが、「妙なコレクション」に話題が展開したあたりから、「我が意を得たり!」となって、調子に乗って『インタレスト』のオバカ収集ネタを披露させていただきました。例の「空海の顔、190面」の収集から、「ニッポン全国、人名のような地名大集合」、「申請書の記入例コレクション」、香川の自然の中に潜む怪物を“見立て”て発見する「動物的に見た香川」、県下各地のバラ寿司の具を全部ほじくり出して傾向を調べる「スシ太郎の大冒険」等々……。

 何せ、『インタレスト』のライバルはみうらじゅんと『タモリ倶楽部』を筆頭に、やくみつる、安西肇など、あのあたりの有名人はみんな入っているんだから(ま、こっちが勝手にライバル視してるだけなんですが・笑)、きっとおもしろがってくれるはずだと思って、反応をうかがいながらネタを繰り出していたら、恐れ多くもありがたくも、地味にかなり興味を示していただいたようです(笑)。

 そこで私が質問。

田尾「やくさん、最近のお気に入りのコレクションは何ですか?」
やく「あの…『昭和歌謡シリーズ』なんですけどね」
田尾「ん?」

 一瞬、何のコレクションだか理解できない私。昔の歌本とか? いやいや、やくさんだぞ。そんなものじゃないだろう…と思いながら聞いていると、さすがやくさんの天才的発想! すごいところからパンチが飛んできた。

やく「一番最初は、八代亜紀さんのところに行って、“あぶったイカ”にサインしてもらったんです」
田尾「あっはっは!」

 そういうコレクションか! ちなみに、この一言でこのコレクションの秀逸さがわからない世代の方には、申し訳ないが説明してもおもしろさの神髄は半分くらいしかわからないだろうと思うので、わかる世代の人だけを対象に進めていきますね。

やく「あと、赤い風船を持って行って浅田美代子さんにサインしてもらったり、中条きよしさんに折れたたばこの吸い殻にサインしてもらったり…」
田尾「すごい! それ、宝の山を発掘しましたね!」
やく「あと、夏木マリさんに絹の靴下にサインしてもらおうと思って、若いアシスタントに絹の靴下を買いに行かせたんですよ」
田尾「はいはい(笑)」
やく「そしたら、若い子はやっぱり全然わかってないなあ。中学生がはくみたいなソックスを買ってきたんですよ。見たら、確かに『絹100%』と書いてあるんだけど…」
田尾「あっはっは!」
やく「でもそうじゃないでしょ、あれは。もっと長い、セクシーな、ガーターベルトがついていそうな絹の靴下じゃないとダメでしょ?」
田尾「絶対です(笑)」

 それからいくつか同様のコレクションを披露してくれたやくさんは、今、画策している最新のネタを教えてくれた。

やく「小柳ルミ子さんにお願いしようと思って…。知人ルートからルミ子さんに何とかコンタクトが取れたんですよ。で、具体的に何にサインしてもらうとかいう話は伏せて、『ちょっと企みがあります』ということだけを伝えたら、OKのメールが返ってきたんです。これ」

 と言いながら、小柳ルミ子さんからのメールを見せてくれるやくさん。そして、クイズとなった。

やく「さて、私は小柳ルミ子さんに、何にサインをしてもらおうとしているのか」

 私は必死で小柳ルミ子の歌を思い出しながら、しばらく苦しんでいたのだが、答を聞いて、不覚にも爆笑してしまいました。

 『瀬戸の花嫁』で「瀬戸物」とか、そんなもんじゃありません。かといって、考えオチみたいなわかりにくいものでもない。聞いた瞬間、頭の中でバシッとつながって爆笑します。やくさん、そのサインをしてもらう「ブツ」はすでに用意してあるそうです。ちょっと用意が必要なものです(笑)。事前バレしてはいけないので答は書きませんので、皆さん、ずーっと苦しんでください(笑)。
2013年7月16日(火)

 数日前、東京新聞の記者の方から取材の電話が入ってきた。『怒れるおっさん会議inひみつ基地』が出版された後なので、名うての(笑)東京新聞からのややこしい取材だったら勝谷さんに応対の仕方をアドバイスしてもらおうかと思って構えていたのだが(そっちの方が危険じゃないか? という声が天から降りてきましたけど・笑)、電話に出たら、うどんの取材でした(笑)。

 それが、今頃うどんの何の取材かと思ったら、
(1)うどんブームで、廃棄うどんやうどんの排水問題が起こっている。
(2)香川県の糖尿病率が全国1位になっているそうだが、その原因がうどんではないかと言われている。
という話をベースに、「讃岐うどんブームの負の部分についてどう思うか?」みたいな質問だった。

 とりあえず、「数字がよくわからないので、答えようがない」と申し上げました。例えば、

・うどんの排水(たぶんゆで湯)は、香川県の全ての生活排水や工業排水の「汚れ量」のうちのどれくらいを占めているのか? その度合いによって、大問題なのか、中問題なのか、小問題なのか、微問題なのか、あるいは問題にもならないのかが変わってくるが、数字がわからないので私にはよくわからない。

・廃棄うどんの量も、数字(全体の廃棄物量に占めるサイズ)がわからないので、問題の大小の度合いがわからない。ちなみに、人気うどん店の廃棄うどんの量が多いみたいに思われているかもしれないけど、ブームの中心となっている製麺所型人気店は、大して廃棄うどんを出してないと思う。だって、そういう店はたいてい「玉切れ次第終了」なんだから、作ったうどん(ゆでうどん)はたいてい全部売れて、廃棄うどんが大量に出ているはずがない。

・糖尿病率は、どういう方法で算出しているのか知らないので、私には何とも言えない。もし、病院で薬を出された人を全てカウントしているのなら、病院は来た人にはすぐに薬を出すから、糖尿病率は事実ベースの患者数より、「病院に行く率」とかなり連動しているのではないか? だって、血糖値が高くても病院に行かなかったらカウントされないんだから。

 みたいな話をしました。記者の方は、それでも何とか「讃岐うどんはブームになったけど、負の部分も露呈している」みたいな筋書きに持って行こうとしていたようなので、私はとりあえずちょっとだけ乗ってあげて(笑)「ブームになっていろんな負の部分が見えてくるのは、見えないまま隠れているよりはいいんじゃないかと思います。ただ、それが大問題なのかどうかは、数字を出してそのサイズを確認してからでないと決められない」という内容のコメントをしたのですが、さて、どうまとめられますことやら(笑)。

 そういう取材があって数日後の今朝、がもうに行ったら、がもう常連のコピーライターのT山くんと出くわした。で、2人並んで釜場のところでうどん大を注文したら、財布を車の中に置いてきたことに気がついた。

田尾「あ! 財布、車の中や! ちょっと取ってくる」
大将「ええがな、後からでええ」
田尾「かまんの?」

 というわけで、がもうで初めての「後払い」をすることにして、T山くんとテーブル席に着いて、朝のまったり話をしながらうどん食べ終えて、ガモムスに聞いてみたのである。

田尾「かくかくしかじかで東京新聞の取材受けたんやけど、がもう、廃棄うどんなんかほとんど出てないやろ?」
G息「ゆでうどんの廃棄なんかないですよ。麺線作る時に切れっ端がちょっと出るだけですよ」

 ほらね。讃岐うどん巡りの超人気店のがもうでこうなんだから。イメージと思い込みでいろんなものを決めつけちゃダメですよ。廃棄うどんを問題にするなら、「全体でどれだけの廃棄うどんが出ているのか?」「それはどこが出しているのか?」という、事実ベースのデータを元に分析、評論しないと。

 という建設的な時間を過ごして、私はT山くんと一緒に店を出て車に向かっていたら…

T山「田尾さん、お金払ってないでしょ」
田尾「あー! 食い逃げするとこやった!」

 あわてて財布を取って店に帰る私。

田尾「T山がおらんかったら、俺、絶対食い逃げしとったわ(笑)」
大将「ええがな。3ヵ月ぐらいしてからお金持って来たお客さんもおるし」
田尾「ま、麺通団団長ががもうで食い逃げした、いうネタもおいしいけど(笑)」

 という事件があって、今日は授業と学生の卒業研究指導でびっしり働きました。昼過ぎ、授業の合間にチンペイに頼み事があって学生支援センターに寄ったら、チンペイから小ネタが一つ。

チン「田尾先生、軟式野球の高松宮杯いうのがあるの、知ってます?」
田尾「1200mのG1か?」
チン「それは競馬の高松宮杯です。そうじゃなくて、軟式野球の全国大会で高松宮杯いうのがあるんですよ。その香川県予選で僕、優勝したんですよ」
田尾「え? お前現役か!」
チン「ピッチャーですよ。それで完投して優勝して、次は四国予選なんですよ」
田尾「何とか!」
チン「昨日の四国新聞に載ってますよ。坂出市役所チームなんですけど、バッテリーで『吉田』ってあるの、僕です」
田尾「丸亀に住んでて善通寺で仕事してて、何で坂出市役所チームなんや」
チン「いや、前から入ってるんですけど」

 ま、チーム構成は緩やかな大会のようだ。

チン「それでね、僕、みんなに言いたくて言いたくて、この間、漆原先生にも言ったんですよ」
田尾「おー」
チン「でね、『高松宮杯で優勝しました』言うたら、『何だそれ。高松飲み屋杯? どこの飲み屋の野球大会だ?』って」
田尾「おいしいネタ、ありがと。日記で世界に発信しとくわ」
2013年7月14日(日)

 3連休2日目。といっても四国学院大学は明日の月曜日は振り替え授業日なので、いつも通りの土日です。

6:30 起床。顔を洗って歯を磨いて新聞を読む。
7:00 原稿制作開始。朝食があまり欲しくなかったので、そのまま断続的に13:00まで頑張る。
13:00 インスタント生ラーメンと野菜サラダを食べる。
13:30 原稿再開。
15:00 一服してテレビを見る。野球中継と競馬中継と映画を切り替えながら、1時間弱で気分転換終了。
16:00 原稿再開。仕事部屋に入った途端、窓の外で雷が鳴り始めたかと思う間もなく、突然の豪雨。
16:30 豪雨終了。
19:30 夕食。ご飯を茶碗に半分くらいと、焼き魚と、おでんのこんにゃく2つ。
20:00 原稿再開。
22:00 風呂。
22:30 原稿再開。

 なかなか不健康な1日ではあったが、原稿は1本目の終わりがちょっと見えてきた。4本抱えてるけど。あと、夕方から背中の下の方がちょっと重い。10数年ぶりに、膵臓かなあ。

 私がこれまで、背中の下の方に鈍い痛みを感じたのは、20年くらい前に急性膵炎で入院した時と、10年くらい前に腎臓結石が動いた時。今日の感じは膵炎の時に似ているけど、あれほどではない。ちょっとだけ。とりあえず、膵臓を休めるために軽く絶食してみよ(笑)。
2013年7月13日(土)

 ふう、暑いのう、冷房のない場所は(笑)。

 火力発電所で二酸化炭素をゴンゴン出し始めて1年後に猛暑が襲来した今こそ、「温暖化・二酸化炭素犯人説」が復活してもよさそうなものなのに、マスコミをはじめ、あんなに騒いでいた「反二酸化炭素派」の皆さんから「火力発電絶対反対!」の声がちっとも聞こえてこないぞ。あの人たちは一体何をやっているのか! とわざと書いてみましたが(笑)。とにかく今週は、雨傘を日傘代わりに差してキャンパスを往復しながら、這々の体で授業やら何やらを何とか終えました。

 世の中は三連休初日の今日は、朝から重い原稿にずっと取り組んでいました。しかし…集中力が衰えてきたせいで、なかなか進まん。文章の全体構成は大体出来上がっているのだが、書き始めたらすぐに「言い回し」とか「文末の処理」とかいった細かいところで詰まってしまう。お笑い文章とか雑文はまだ何とか行けるのだが、きちんとロジックを構成しないといけないような説明文章になると、明らかに書くスピードが落ちてきたような気がする。「明らかに」という断定的な言葉から入って「ような気がする」と結ぶのはおかしいような気がするが、雑文だからいいか(笑)。

 で、一日中モヤモヤしながら原稿に取り組んでいたら、夜の9時過ぎ、家内が「スカイフォール、しよるで」と言ってきたので、11時過ぎまで見てしまいましたがな。007は必ず映画館で見て、それからDVDを買っていたのだが、去年からうちのテレビが老化現象を見せ始めて、これはたぶん1年以内に買い換えることになるのではないか? という状態にある。そうすると、今度はたぶんブルーレイが見られるようにいろんなものを取りそろえることになるから、『スカイフォール』もブルーレイのやつを買うべきだ、という話になって、しかしまだ古いテレビのままだから『スカイフォール』のブルーレイを買うわけに行かず…。

 というわけで、『スカイフォール』はまだ映画館で1回見ただけである。ところが、これまた集中力が衰えてきたせいで、近年、映画館で1回見ただけでは映画の細部が把握できないという体たらくなのである。『カジノロワイヤル』なんか、映画館で見た時には感想が「?」だったのに、DVDで見直したら映画館で見た時よりおもしろくて、数ヵ月後にDVDをもう一回見たらもっとおもしろくなって、結局今までに5回以上見たという有様です。今日、テレビで見た『スカイフォール』は、やっぱり映画館で見た時よりおもしろかった。特に、悪者役の怪優ハビエル・バルデムが、映画館で見た時よりずいぶん光って見えました(笑)。

 テレビ買わないかんけど、最近、手持ちの電化製品が次々に老化現象を起こしていて、買い換えの優先順位を決めないかんようになっている。こないだ、研究室のCDラジカセが体調を崩して、ついにウンともスンとも言わなくなりました。続いて、このパソコンが時々、立ち上がらなくなり始めました。続いて、研究室のシュレッダーがわがままな動きを見せるようになってきました。うーむ、どれからだ。
2013年7月10日(水)

 ふう、暑いのう、ニッポンは。

 「二酸化炭素のせいで地球温暖化だ」と言いながら、原発を止めて全国200カ所以上の火力発電所をフル稼働させて二酸化炭素をゴンゴン出したり(世界地図的に見ると、その密度からして、たぶん日本列島だけがゴウゴウと燃えている感じですね)、原発を止めて電力供給が厳しくなったので、このクソ暑いのに冷房を抑えて我慢大会をしたり、原発を止めて燃料代が高騰している上に太陽光発電の高額買い取りを始めて電気代がどんどん上がっていくのも我慢大会で切り抜けようとしたり(うちの大学でも、学生数1500人に満たない小さい大学なのに年間800万円くらいの電気代アップになるそうだ)…

 何か、マゾみたいだ(笑)。

 これらは全部、原発を止めたから起こっているのであるから、原発を元通り稼働するだけで全部一辺に解消するわけですが、「あんな恐ろしいものを再稼働するなんてとんでもない」ので、みんな、暑くても、電気代が上がっても、それで会社がつぶれて仕事がなくなっても、文句を言わずに我慢しましょう(笑)。国に「何とかしろ」と言ってもダメですよ。我々は自らマゾの道を選んでるんだから。

 すみません、暑さのせいでロジックを丁寧に説明する気力がなくて。でも、もういいや(笑)。

 そういえばちょっと前、株主総会ラッシュの時に、電力会社の株主総会で少数株主からの「原発を廃止しろ」等の意見が聞き入れられなかったことに対し、四国新聞に大きな見出しで、「株主の声、全て否決」と出ていた。株主総会は株主の多数決で議決するんだから、「株主の声を全て否決」したのは「株主」なんだけど(笑)。あの見出しと記事を書いた記者、絶対に株主総会というものの図式を理解してないと思う。でも、もういいや。とりあえず、いろんなものを我慢しながら頑張ることにしよう。

 今日の2つ目の授業はインタレストの編集会議。「海岸線の漂着物徹底調査チーム」は、もう朝から取材に走っている。途中でスタッフの“カラフル吉本”から「海の取材中なう」とかいうてO西に写真が送られてきたが、うーむ、取材中というよりレジャー中に見えるな(笑)。とにかく、倒れんように調査せえよ。
2013年7月8日(月)

 こないだの「TJ-Kagawa名場面集」の「サロン・テイクファイブ」の原稿に、当時の社員だった団員Dから「めっちゃおもろかったですよ!」というメッセージがあったのだが、こないだ上村さんからも「あれはよかったねえ」とお褒めの言葉を頂いた。あの頃、私とS原の間だけで「ぼくはゼケテゼケテだ。わたしはポンペ・キンデクションよ。」が流行っていたのを思い出したなあ。

 というわけで、苦し紛れのネタ稼ぎで繰り出した「TJ-Kagawa名場面集」企画が2人にもウケたので、今日はそのスピンオフ企画「私が他の本に書いた原稿名場面集」をお送りすることにした。名場面かどうかわからんけど、さっき確認したいことがあってちょっと読んでいた本の中に私の原稿があったので引っ張り出しました。その本とは、勝谷誠彦著『麺道一直線』(笑)。勝谷さんに「後書き、書いてちょうだい」と言われたので、恐れ多くも名著の末尾を汚させていただいた、2009年の原稿です。

*****

解説

 ほんの後書きなのに4000字も書けと言われると、かつて中学校の夏休みの宿題の読書感想文で文字数を稼ぐために「主人公の名前が長い」というただ一点の理由から題材に『ああ無情』を選んで感想文中に「ジャン・バルジャン」をフルネームで数十回登場させたことのある私としては、無駄話から始めるしかない。

 それは忘れもしない何年前のいつだったか(完璧に忘れてるやん!)…という讃岐うどんマニアの間では定番のフレーズで、本当に無駄話は始まってしまった。空には雲一つしかないという見事な曇天のその日、ま、その一つの雲が空全体を覆っているという一面の曇り空のことであるが、勝谷さんが「地麺紀行」という連載の取材と称して香川入りするというので、私は麺通団員のツッコミ大将ごんと一緒について行ったのである。で、何軒かうどん屋を巡って「おもろかったなー」と言って帰って、1カ月くらい経ったある日、それが載った雑誌が出たので「あっはっはー」とか言いながら読んで、それから月日は経って「地麺紀行」が単行本になったというのでさっそく「買いに行こうと思ってた」のに(ここ強調)出版社の人がどうしても一冊くれるというので、くれるもんは何でももらってお礼の代わりにもらったことを何かで公開するタイプの私は(これを麺通団用語で「くれるもんの公会(公開)議」というが、こないだ勝谷さんにウケたのでもっかい使ってみた。実はクレルモンで行われたのは「公会議」でなくて「教会会議」だということらしいが、私が習った時は公会議だったし、もとよりダジャレには解釈はあまり意味がないから流す)、とりあえずもらった本の目次を見て肩すかしを食らった。「讃岐うどん」の巻が収録から落っこちていたのである。

 落っこちた理由は、勝谷さんの前書きなどから想像するに、讃岐うどんはもはやポピュラーすぎて、「マニアックでけったいな麺」ばかりを収録する本にはふさわしくないと判断されたのではないかと。勝谷さんも前書きでそんなことを書いていた。仕方がない、讃岐うどんがいかにマニアックでけったいな世界か、その底力をもう少し見せておかないといけないようだ。

 今から30年近く前、まだ讃岐うどん巡りがブームになっていなかった頃の話である。香川県に、おそらく香川県にしかなかったであろう珍しい自動販売機が出現した。それは何とも緩い、パラダイスのような「うどんの自動販売機」である。

 そいつはお金を入れてボタンを押すと、縦に5段階ほど並んだランプのまず一番上のランプが点く。それは出来上がりまでの過程を知らせるランプで、待っているとランプはゆっくりと一つ一つ下に下りていき、一番下に到達すると取り出し口が開いて発泡スチロールの器に入った熱々のかけうどんが出てくるというものである。その動きは実にスローで、私たちは自動販売機の中におばちゃんがいて、コインが入ってくると狭い販売機の中でうどんのビニールパックを破って麺を出し、テボに入れてゆがいて器に入れてダシをかけているのではないかと疑っていたものである。そのうどん自動販売機はジャンボフェリーの乗り場に設置されていたのだが、そのうち国道沿いとかの屋外にも数台設置され始めた。事件はその時起こったのである。当時私が編集長をやっていたタウン情報誌の読者から届いたレポート。

「先日、国道沿いのうどんの自動販売機が壊れて次々に出てくるうどんを道に並べていきよるおっさんを目撃しました」

 どうだ。讃岐うどんの世界にしかないであろう、スローフードを20年も先取りしたうどんの自動販売機(ま、動きがスローということだが)。コインを入れたはずみにエンドレスのスイッチが入ってしまうという、讃岐うどんの心地よい緩さに通じるメカの緩さ。そして、いかに故障といえど「うどん様」がダダ漏れするのを放っておけない讃岐人のうどん魂。これが讃岐うどんの世界の奥深さだ。どうだ。いや、どうか? エピソードの選択を間違ったか? 間違ったような気もするが、無駄話であるからいいではないか、という声が私から上がったのでよしとする。では、行数も十分稼いだところで本題の解説に入ることにする。

 この文庫本は先の「地麺紀行」を単行本化した『イケ麺!』という本を文庫化したものである。ところがある筋から、情報源は明かせないので「御堂筋」か「おでんのスジ」としておくが、ある筋から入った情報によると、勝谷さんから「『イケ麺!』はもう死語だからタイトルを変える」という申し出があったというのである。聞いた私は「なるほど。それは好判断かもしれんな…」と思っていたら、決定した新タイトルがこれ、『麺道一直線』。その瞬間、私はハッと気がついた。

「勝谷さん、ダジャレ好きなんちゃうか?」

 仮説はすぐにファクトベースで検証するのがビジネスマンの鉄則だ。大学教授だけど。そこで私は直ちに『イケ麺!』のデューデリジェンスを開始した。すると、出てくる出てくる!(笑)
 
・著者の「麺前」でなされし謀略…
・頼むから「麺倒」もとい面倒な…(2回登場)
・(冷たい麺のくだりで)「冷え〜〜〜」
・(山梨のほうとうのくだりで)あっ、「ほうとう息子」
・(同じくだりで)伝家の宝刀ならぬ「天下のほうとう」であった。
・私の「麺俗学」的な…
・「麺と線」いや、麺はもともと線なので「点と線」でしょう…
・(大阪のくだりで)「ナニワともあれ」麺はうどん…
・これにて「全麺幸福」!
・微笑みの貴公子は「微笑みの奇行子」から…

 このダジャレ攻撃につられて『イケ麺!』の後書きを担当した筋鉄Iさんまでも、文中で「ご対麺叶わなかった…」とダジャレを筆にしてしまっているではないか。それでかー、勝谷さんが「くれるもんの公会議」にウケたのは(笑)。

 しかし、4年前に発表した小説「連絡船のうどん」が某大学の国語の入試問題に採用されたほどの勝谷さんも、まさか名著『イケ麺!』改め『麺道一直線』がこんな切り口から解説されようとは予想もできなかったに違いない(笑)。しかも、ここからさらに予想もできない展開が待っている。すなわち、今からダジャレにダメ出しをされるのである。一介の私ごときに(笑)。

 まず、「麺」のダジャレはいかん。短い「メン」の一言だから、何ぼでもできる。加えてそのジャンルは、富士宮やきそば学会の渡辺会長がオヤジダジャレを「これでもか!」と先行連発している。渡辺ダジャレを記憶のままに列挙すると、「ミッション麺ポッシブル」「天下分け麺の戦い」「やきそばG麺」「天下ご麺」「お役ご麺」「三者麺談」「三国同麺」「麺許皆伝」「麺地創造」「麺財符」「最終麺談」「麺税店」「学麺のすすめ」「麺は人の上に人を作らず」「麺は異なもの」……しまいには元ネタも難解な「円ロール麺ト」なるダジャレまで動員して、もう大変なことになっている(笑)。つまり、マーケティング的に言えば「麺」を使ったダジャレは「競合が激しい業界」なのである(何の業界や)。競合の激しい業界に新規参入して勝つためには、圧倒的な体力を要して参入するか、競合が手を出さない、あるいは気づいていない隙間に参入するか、どちらかにしか勝機はないのである。勝ちたいかどうかという問題もあるが。

 ではここで一つ、隙間参入の方向性を私が提示してみよう。例えば、勝谷ダジャレに「天下のほうとう」があり、渡辺ダジャレに「天下分け麺の戦い」があるので、「天下」をキーワードにダジャレの新規路線を考えてみる。私が長いダジャレ人生の中で(私もダジャレかい)「天下」を使った珠玉のダジャレと評価しているものは、これもタウン情報時代に読者が投稿してきた作品の、これである。

「姉は天下の回りもの」

 真面目な私には意味することがわからないが、思わぬ方向から矢が飛んできて思わずうなったものである。もう一つ、「ほうとう息子」で思い出したが、キーワード「息子」でも珠玉のダジャレがある。

「のちは餅屋…跡取り息子」

 どうだ。いや、どうなの? ネタの持って行き方、間違ったかな(笑)。ちなみに勝谷ダジャレ「冷え〜〜〜」も、「冷え〜〜〜稗田阿礼」とくっつけてみるとダジャレに歴史的な重みが増してくるが、もう自分でも何を言っているのかわからなくなってきた。こんな解説でいいのか。

 私の専攻は「情報加工学」と「マーケティング」と「観光マネジメント」であるから、本書に収録された数々の貴重な「勝谷麺食情報」から「食」を題材にした地域マーケティングに関する考察を展開しようと思っていたのだが、意図的に誌面が尽きた。最後に本書の感想をもう一つ。ハムを「火腿」と書くの、この本で初めて知りました。「麺」強になります。ほんと、ご麺なさい。

四国学院大学教授・麺通団団長 田尾和俊

*****

 ふー、行数稼いだ。しかしそれにしても、まあ失礼な解説を書いてたんだなあ(笑)。勝谷さんの『麺道一直線』は、新潮文庫から、その元本である『イケ麺!』は新潮社から出ていますので、奇特な方はぜひどうぞ、と宣伝しておいてと(笑)。

 ここのところ気温が上がっているので、水槽の上部のガラスを1枚外して、水槽用の小型送風機を付けて水温を下げてやっています。こないだ投入したオトシンクルス20匹とエビ20匹が、水草とガラス壁面のコケをガシガシこそげ食って、水草が青々と、いや緑々としています。時々それを見て頭をクールダウンさせながら、原稿をメチャメチャ頑張っています。
2013年7月7日(日)

 怒濤の土曜日が終わって、日曜日はかなりフヌケ状態であった。土曜日の朝の5時半から翌日曜日の6時半頃まで、要件が2つ連続していたため、25時間ぐらい起きていたのである。

 土曜日。朝5時半に起きて、6時半頃から「四国旅マガジンGajA」の特集で讃岐うどんツアーに出発。GajAの女性編集者の伊藤さん(運転者)と、カメラマンのGABOMI(ガボミ)という女の子が自宅マンション近くに迎えに来て、それから西に走って途中で麺通団員H谷川君を拾って、さらに西に走って観音寺駅で映画『UDON』と『踊る捜査線』でおなじみの本広監督を拾って、5人で6軒回ってきた。その道中記は、次のGajAで私が原稿を書かないといけないことになっているため、ここで書くわけにはいかんので、本編ではたぶん書けない感想を一つ。

 初めて会ったけどGABOMIというフォトグラファー、あいつ、モノを見る時のセンサーの“周波数”みたいなのが、俺と同じニオイがする。道中、話をしていて発覚したのだが、今、峰山の公園からアスレチックと展望台に向かう山道の先の先にポツンと1つ立っているダイドーの自販機について熱く深く語れる人間は、世界で私とGABOMIだけだ(笑)。

 世に「家電芸人」は数多(あまた)いるらしいが、そういうわけで我々はこの日、おそらく日本初の「ダイドー芸人」であることを高らかに宣言しました。文字に書かないと、発音しただけでは「大道芸人」になってしまうところが辛いが。

 みたいなことがあって、日曜日の夕方、抱えている仕事の整理をしてみた。複数の仕事が平行している時は、項目を整理して全部並べて、優先順位を付ける。ビジネスマンの常識である。

・9日までに上げる予定の重い原稿1本。
・14日までに上げる予定の重い原稿5本(5本は絶対無理・笑)。
・9日にある講演のネタ作り。
・来週の授業準備7本。
・3週分(21束)も溜まっている授業の出席カードの記表。
・今月末締切の、さっきのGajAの原稿(1万字以上ありそう)。
・今月末くらいがメドの、ある大きな事業計画書を、構想レベルで2本。
・7月27日にある特別講義(丸一日)の計画。
・その他、雑事務10数項目。

 と並べてみながら、日記で再整理している私(笑)。ふーむ。優先順位の1番はどれだ。普通に考えれば締切の早い順でいいのだが、一番危険なニオイのするのは「GajAの原稿」だ。なぜなら、月末の締切前に書き始めると、昨日のツアーの内容を忘れている可能性があるからだ。

 しかし、今からこいつの原稿に取りかかると、他の締切の早い仕事が飛んでしまうぞ…。よし、まずは昨日のツアーのポイントを、メモ書きで全部書き出しておこう。そしたら、月末に原稿に取りかかってもメモを見たらかなり思い出せるはずだ。

 私はさっそく、ツアー道中のやりとりや出来事のメモ書きに取りかかった。まず、出発時点から車中でどんな話をしてたか……えーと…………ま、出発時点はどうでもええか。最初に行った店で、何かあったな。俺と本広監督がかけといなりを取って、H谷川君は卵とじで…そこで一口食べて本広監督が何か言うたな……えーと…………ま、そんな感想はありきたりの情報誌みたいな文章になるからいらんか。確か車の中でいろんな話で盛り上がったぞ…えーと………………………………。

 私はH谷川君に電話した。

田尾「お忙しいところ」
H谷「何ですか」
田尾「実は、かくかくしかじかで今、昨日のことを思い出してメモを起こしよんやけど」
H谷「さすが団長。いつもオバカ文章に見えますけど、水面下では綿密な作業をしてるんですね」
田尾「当たり前や。それがプロじゃ。で、、ちょっとH谷川君に確認してもらいたいことがあるんやけど」
H谷「何でしょう」
田尾「昨日、俺、何しゃべりよった?」
H谷「そんなボケ老人みたいなことになっとんですか!」
田尾「団長より一介の団員に重大な指示をする。昨日の道中、9時間の間にしゃべったこと、起こったことを事細かく思い出してメモ書きしてよこすように。以上」
H谷「ひえー!」

 よし、優先順位第1位の仕事、完了じゃ(笑)。
2013年7月1日(月)

 すいません、今、創刊以来最大のピンチを迎えておりまして(ごんだけは知っている)、何としても今週中にカタをつけないといけないのに物理的に不可能の一歩手前の状態です。一歩手前だから、不可能ではないので逃げるわけにいかん。今週いっぱい日記が危ういことをお伝えして、生存確認とさせていただきます(笑)。
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