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2016年10月の日記
2016年10月31日(月)

 数週間前、『うどラヂ』のヘビーリスナーの東京の「世田谷豚ねこ」さんから、「学研の『まんがでよくわかるシリーズ』の119巻で『讃岐うどんのひみつ』というのが発行されていますが、由々しき事態になっていますよ」という内容のお便りが届いたので、私はさっそく入手してみたのである。書店では販売されておらず、全国の図書館にしか置いていないという本らしいが、アマゾンで売っていたので買ったら、1冊3000円近くした。

 学研の『まんがでよくわかるシリーズ』というのは、世の中のいろんなことをその道の専門の企業や団体に協力、監修を得ながら子ども向けに漫画で解説しているというシリーズのようで、すでに120巻以上出ている。そのラインナップをいくつか拾ってみると、

『接着剤のひみつ』…協力・監修(以下同じ)セメダイン
『家電量販店のひみつ』……エディオン
『目と目薬のひみつ』………ロート製薬
『ハンバーガーのひみつ』…日本マクドナルド
『ファスナーの秘密』………YKK株式会社
『ビタミン剤のひみつ』……武田薬品
『ベアリングのひみつ』……日本精工
『下水道のひみつ』…………日本下水道協会

というふうに、近年テレビのバラエティ番組等で流行の「みんなのよく知っているいろんな商品や製品の製造工程や秘密を工場に潜入したりして紹介する」みたいなやつの、子ども向けマンガ版というスタイルのシリーズである。

 その119巻目に登場したのが『讃岐うどんのひみつ』なのだが、開いてみると、それが何と、協力社があの兵庫県の「丸亀製麺」を展開する「トリドール株式会社」! しかも、目次を並べると、

第1章 讃岐うどんとの出会い
・日本人の主な食べ物の歴史
・讃岐うどんの材料と作り方

第2章 讃岐うどんってどんなうどん?
・讃岐国・香川県/空海とは?
・日本各地のいろいろなうどん

 ここまでは、まあそんなもんだろうという感じもあるが、それでも「讃岐うどんの材料と作り方」をトリドールが語るか? という感も無きにしも非ず。ところが、ここから様相が一変する。

第3章 うどん店のはじまり
・讃岐うどん店「丸亀製麺」の歴史

第4章 たくさんの人によろこんでもらえる店
・店長さんってどんな仕事をするの?

第5章 讃岐うどんを作ってみたい
・讃岐うどんをみんなで手作り〜まるごとまるがめ体験教室〜

第6章 世界で食べられている讃岐うどん
・海外店での人気メニューは?

 丸亀製麺の(ちょっと美化された・笑)歴史に始まり、丸亀製麺の店長の仕事の紹介、丸亀製麺のうどん作り体験教室の紹介、丸亀製麺の海外店舗の紹介…と、『讃岐うどんのひみつ』ではなくて『丸亀製麺のひみつ』が本編を席巻しているではないか。それを、マンガの中の登場人物がこれでもか! と褒めまくり、感心しまくっている。これ、どう見てもタイトルは『讃岐うどんのひみつ』ではなくて『丸亀製麺のひみつ』でしょう(笑)。

***

 学研さん、一体どうしたんですか? これ、例えるなら、香川県の企業が「仙台牛タンのひみつ」を語っているようなものですよ(笑)。学研「まんがでよくわかるシリーズ」の他のラインナップはたいていみんな「なるほど、その“ひみつ”はその企業(団体)の協力や監修の元で作ったら説得力がある」というものばかりなのに、一体どうしたんですか?

 『讃岐うどんのひみつ』を作るなら、本場讃岐うどんのしかるべき企業の協力・監修で作らないかんでしょう。企業なら、その歴史と実績からすれば「さぬき麺業」さんが監修候補の筆頭だと思いますが、他にも本場の讃岐うどんを語れ、協力・監修でき、讃岐うどんをちゃんと知っている多くの人がそれなりに納得するような企業や団体は、いくらでもいます。百歩譲って全国展開しているうどんチェーンに協力要請するにしても、丸亀製麺でなくて「はなまる」の方でしょう。だって、はなまるは「香川でやってる讃岐うどん店が全国チェーン展開をした」という企業だけど、丸亀製麺は「他県でフードチェーンビジネスをやってる企業がそのラインナップに『うどん』を加えた」という企業だもの。

***

 学研「まんがでよくわかるシリーズ」は、表紙に「日本PTA全国協議会推薦」と明記してある。ということは、どれだけ普及しているのか知らないが、これから子供たちに「これが讃岐うどんだ」ということが少しずつ刷り込まれていくわけである。しかも、そこには「讃岐うどんのめんとだしの組み合わせは4通りある。@ひやひやAあつあつBひやあつCあつひや」などという、宮武ファミリーの数軒でしか使っていないようなメニュー用語を一般化するような間違った「豆知識」まで載っているし。しかも、「あつひや」はあとから宮武の大将が「そういや、これもあるな」と気がついて出してみたらあまり評判にならなくてほとんど消滅した呼び名なのに(笑)。

 まあ、丸亀製麺はビジネスとして「いい話だ」と思って乗ったんだろうから(持ち込んだのかもしれないけど)、情緒的な話は別にしてビジネスプロモーションの一環としては当然の行動だと思うけど、学研は『讃岐うどんのひみつ』のタイトルで出版するのなら、誠実な情報発信者として「讃岐うどんとは何か? 讃岐うどんのひみつを監修できるのは誰か?」という基本の基本をちゃんと精査しないとダメでしょう。

 まあ、情報があふれている現代においては、これが「天武政権が自分を正当化するために都合よく作ったと言われる『日本書紀』」にはならないと思うが(笑)、「うどん県」を掲げる香川県行政は、真面目に「讃岐うどんの歴史と今」を編纂しておかないと、将来「中国と韓国の歴史認識が正史」みたいなことになる恐れがありはしないかと、余計な心配をしてしまう。丸亀市なんか、能天気に公用車の横っ腹に「讃岐釜揚げうどん 丸亀製麺」の広告を貼り付けて走らせていたりして(地元丸亀市内に数十年の歴史を持つ本家「丸亀製麺」があるのに)、どうも県内行政に「讃岐うどん」に対する矜持が欠落しているのではないかと思うのですが。
2016年10月23日(日)

 年に2度の「いつもより多めに仕事をしております」状態の真っ只中であるが、そろそろチンペイからお叱りのメールが来そうなので、新聞コラムにツッコミを入れてお茶を濁しておこう。今回も“誠実な物書き”を心がける私(笑)には「教材に使いたいほどの物件」なので。

 先日の四国新聞の一面下コラム「一日一言」。

***

(本文)

人々の財布のひもは依然緩んでいないと感じた最近の3景である。

【その1】長年使っているシャンプーがこの春「改良」された。いつも買っていた詰め替え用もパッケージが一新されたが、店頭価格は約3割上がった。セール時の実に約6割高である。「品質が向上し詰め替えやすくなった」とはメーカーの言い分だが、消費者がついてくるのか疑問だった。▼先日、その商品がついに特売になっているのを見つけた。以前のセール価格よりはまだ高いものの大幅にダウン。やはり、である。

【その2】スーパーはどこも賞味期限が迫った食品を割引して売る。10〜30%引き、物によっては半額もある。今に始まったわけではないが、割引シールの付いた商品に手を伸ばす消費者が近頃目立つ。▼これには店側の変化も影響していよう。いわゆる「食品ロス」削減のため、早めに値引きして廃棄商品を少なくしようと努めているからだ。それが消費者の抵抗感を和らげることにもなっている。

【その3】街頭でビラを配ったり、新たに出前を始めたりと「営業活動」に力を入れる飲食店が近所で目につく。▼これまで登場したことのない店がビラ配りに現れる一方で、朝の通勤時間帯に居酒屋のビラ配りに遭遇。時たま行く中華料理店は一定額以上なら出前に応じるようになった。外食を取り巻く環境の厳しさがうかがえる。

▼取るに足らない変化や出来事ばかりである。残念ながら、経済政策をになう政府や日銀の偉い人たちの目には映っていないだろう。(K)

***

 どこから手をつけていいか困るぐらい無茶苦茶なロジックの文章であるが、「大局」でなくて「小局」から行きますか。

 【その1】。どこかのシャンプーメーカーが、品質と機能を改良し、パッケージも一新し、価格を上げて発売したそうである。そして、その商品が半年ぐらい経って特売コーナーに並んでいたそうであるが、そんなことは今も昔も、ビジネスの世界では当たり前の話です。小売店に特売を許すメーカーもあれば、絶対に特売しないという戦略を採るメーカーもある。同じ特売でも、短期的なキャッシュを獲得するために特売をするメーカーや小売店もあれば、販促戦略として特売をするメーカーや小売店もあるから、「特売=売れなくなった」と決めつけられるものではない。

 でもまあ、百歩譲って「メーカーの思惑ほど売れなかった」としましょうか。では、思惑ほど売れなかった理由は何か? 「値段を上げたら消費者が見放した」と決めつけるのは早計ですよ。同じような値段の他社の商品の方がもっと品質や機能がよくてそっちに客が流れたのかもしれないし、もしかしたら「シャンプー市場」自体が競争激化していたり縮小しているのかもしれないし、他にもいくらでも理由が考えられる。

 要するに、一つの商品が売れたり売れなかったりする原因は、基本的に「市場」と「競合」と「自社」の状況や力関係が絡み合った複雑なメカニズムの元にあるわけである。それを、たかが一つのメーカーの一つの商品が特売に回ったというだけで「依然財布のひもは緩んでいない」などという話に持って行くのは、会社の経営会議だったら無能呼ばわりされるレベルの話である。しかも、それを「政府や日銀の偉い人の経済政策(の失敗)」などという話に落とすというのは、無茶苦茶なロジックである。

 加えて言えば、文中に出てくる「セール時の実に約6割高である」という一文は、「新商品の定価」と「旧商品の特売時の値段」を比べるという無茶苦茶な比較であり、それは「6割高」という言葉を引っ張り出して「いかに高くなったか」を不当に煽るという、“誠実な物書き”ならやってはいけないことである。

 【その2】。「割引シールの付いた商品に手を伸ばす消費者が近頃目立つ」とあるが、「近頃目立つ」などという情緒的で数字的根拠のない事象は、これも“誠実な物書き”なら「結論に至る根拠」として使ってはいけない。使うなら、せめて「…近頃目立つ。事実、当のスーパー担当者に確認すると、この半年で商品に値引きシールが貼られるのを待つ消費者がほぼ倍増しているという」とかいうファクトをきちんと書くか、それが書けないのなら「結論のない日常の風景みたいなコラム」にすべきである。

 余談であるが、人の「証言」も「近頃目立つ」みたいな表現と同じ扱いをされるべき、「確定的な根拠はない」という素材である。だから、裁判でも「証言」はそれが即結論になるのではなく、結論を導き出すための一つの素材としてしか扱われない。そして、結論を導き出すためには「証言」はファクトベースで検証され、信憑性が疑われれば却下される。

 ちなみに、我々有志が「はなまる」の成瀬社長の英断とサポートで取り組んでいる「讃岐うどん未来遺産プロジェクト」で集めている「昭和の証言」や「開業ヒストリー」は、そういう理由で編集側が「だからこうである」という結論を導き出さない、という方針で進めているのである。ただし、多くの人がそれぞれ自分の中での「結論」を導き出すために少しでも役立てばいいということで、とにかく「状況証拠」の数をたくさん集めた「証言のデータベース」を目指しているわけである。

 【その3】。飲食店が「街頭でビラを配ったり、新たに出前を始めたりと営業活動に力を入れる」のは、ビジネスの世界なら当たり前である。特に、競合が増えたり市場が縮小したりした時には、飲食店だろうが物販店だろうが、これまで以上に必死で営業活動をやる。仮にたまたまどこかでそういう事象が目に入ったとしても、【その1】と同じで原因が「消費者の財布のひも」に特定されるものではないし、もっと言えば、「今までビジネスの基本である営業活動をおろそかにしていたから客が減ったのだ」ということも十分考えられるのではないか?

 加えて、「近所で目につく」という「近所」とはどこですか? そういうあいまいな表現で「結論」をサポートしようとするのも、イデオロギーに凝り固まった人たちがよく使う卑怯な書き方ですよ。「俺の友達の友達が言いよったんやけどな…」みたいな話と大して変わらんと思いますが。

 で、最後に「大局」。「財布のひもが緩んでいない」という話を根拠が実に曖昧なまま並べて、それを「政府や日銀の偉い人の経済政策(の失敗)」で落とすという全体構成が、あまりにムチャクチャ。私に言わせれば、まるで共産党か社民党か民進党のデキの悪い議員の国会質問みたいですよ(笑)。国民生活の現場のファクトを根拠に政権の政策を批判するというのは正しいアプローチだと思いますが、それなら大前提として、数字を伴ったきちんとしたファクトを集めて「こうではないか?」という仮説を立て、それをきちんと分析して「ロジカルな根拠」にしてから提言しないと、ただのイデオロギー扇動者になってしまうと思うのですが。

***

 ちなみに、四国新聞の「一日一言」は毎日、コラムの最後にアルファベット1文字の文責者の表記が入っているのだが、何種類ものアルファベット表記の中でしょっちゅう出てくる(K)という人のコラムだけ、明らかにコラムのテイストが違う。まず、(K)氏のコラムにはローカルの話題はほぼ出てこないし(私が見た中ではただの一つもない)、左翼系の情緒的な政権批判や歪んだ弱者救済思想等がやたら目立つ。

 その件について、「あれは四国新聞社の人ではなく、共同通信が書いている」という話を何人かの人から聞いたが(新聞社以外のしかるべき信頼できる人たちから何度か聞きましたが、曖昧な根拠なので結論は導きません・笑)、コラムが左翼系でも根拠がファクトベースでロジカルであれば全然かまわないし、十分参考になる。でもねえ、あまりに「そのロジックはないだろう、その書き方はないだろう」というのが目につくので、授業とインタレストの締切と研究作業2本の合間にちょっと書いてみました。今までこんなことを何回も書いていますが、「四国新聞批判」ではありません。地元をよりよく、より豊かにするためのトップオピニオンリーダーたる存在への期待を込めた、「四国新聞愛」です(笑)。照れ隠しに(笑)をつけたけど。
2016年10月11日(火)

 「インタレスト」の締切シーズンに突入した途端、第一特集予定の大企画が「全ての取材&編集の元となるデータベースのやり直し」という大惨事に見舞われた。丑年に新聞が見出しをつけると、確実に「モウ大変」である。

 何か近年、2回に1回ぐらい同じようなことをやっている気がするが、プロの編集部だったら同じ失敗は繰り返さないところ、学生編集部はまだアマチュアだし、毎年4年が卒業して2年が入って来るというメンバーの入れ替えがある上に、授業だから全部私がやるわけにもいかない。その結果、4〜5チームの同時進行でそれぞれの特集をやらせていると、こういうことが時々起こる。

 完成予想図がかなり具体的に決まっている企画だと、最終形を示して作業手順を決めれば何とか真っ直ぐ進行するのだが、データベースものが時々うまいこといかん。データベースものは基本的に、
@あるテーマについて、必死で情報収集してデータベースを完成させる。
A完成したデータベースを眺めながら、どう料理するかを考えて完成予想図を作る。
B完成予想図に向かって、取材&編集をする。
という手順になるのだが、完成予想図が明確でないままデータベースを作っていると(授業であり、締切もあるので@とAが暗中模索のまま同時進行になる時がままある)、締切が迫ってきた頃に想定外のよりよい完成予想図が突然見えたりして、それまでの作業がひっくり返ってしまうことがある。そいつが今回、きてしまったのである。

 というわけで、この1週間で3回も悪夢を見てしまいました。1回目は、ある偉い方から原稿が遅いことをものすごく責められている夢。2回目は、タウン誌の編集室で、25日発売なのに27日になってもまだ「文化人講座」の山のような投稿作品を読んでもいないという状態で焦りに焦っているところへ三代目編集長の笹木が来て「だーいじょうぶですよ。だーいじょうぶだいじょうぶ」と繰り返しているという悪夢(笑)。そして昨日は、どこかのゴルフ場でゴロや空振りを繰り返して1ホールに20打も30打も費やしているのに、さらにどんどんわけのわからないところに球が転がって行って途方に暮れているという悪夢(笑)。

***

 世間ではどこかの弁護士や寂聴さんたちが「どんなに悪意を持って自分勝手に残虐に罪のない他人を殺しても絶対死刑にならないという国を目指そう(そういうことですよね)」という悪夢のような宣言をしていたが、問題解決に「絶対的二択」の思想はあまりよくない(というか絶対ダメ)というのが、私のビジネスの経験則である。

 「正解はないが、よりよい答を出す」という問題解決をするなら、悪夢にうなされながらでも「絶対反対」で思考停止しないことである。そんなことばかりしているから、多くの宗教的左翼の人たちは現実問題に直面した時に何の問題解決もできなくなるのだと思う(宗教は絶対的二択の性格が強い世界だから)。私が左翼の親分なら、絶対違う戦略を採りますよ(笑)。右翼の親分になったとしても、今と違う戦略を採ると思うけど。ま、親分になることはないですけど。

 などということを改めて自分に言い聞かせて、また何とか締切を乗り越えます。「インタレスト22号」、12月1日発行予定です。前号首脳陣のO野(4年女子)と中O(4年女子)は今、優秀なサポート役をこなしております。編集長の西岡(4年男子)は責任感に押しつぶされそうになりながら頑張っております(笑)。副編の菅野(4年男子)と横Z(4年女子)は締切でこき使ってやろう(笑)。3年と2年は次号、何人かが首脳陣をやることになるから、いろいろ見定め中。
2016年10月5日(水)

 ここ数日やや便秘気味であることを伝えたら、家内がスーパーで「ヤクルトミルミル」を買ってきてしょっちゅう飲まされているのであるが、パックの商品名を見るたびに、かつての『月刊タウン情報かがわ』の超人気コーナー「笑いの文化人講座」に掲載された(ま、私が掲載したのだが)作品を思い出すので、ここに再掲しておくことにした。

●私の小5の時の担任から聞いた話では、国語のテストで「『みるみるうちに』を使って短文を作りなさい」という問題に「ヤクルトミルミルうちにある」と書いたヤツがおったらしい。(高松市 陸のカッパ)

***

 投稿人まで記したのは、ヤクルトミルミルのネタを正確に再掲するために過去の「笑いの文化人講座」の単行本をチェックしたからであるが、あかんわ。ああいうのを引っ張り出すと、大掃除の時の「片付けあるある」状態になって次々に読んでしまう(笑)。

 というわけで、1983年〜1995年あたりまでに「笑いの文化人講座」に掲載された「短文ネタ」の中から、ついつい読んでしまっているうちに見つけたいくつかの作品を掲載しておきますので、当時香川県内に回読率を掛けて7万人はいたであろう読者の皆さんは、どうぞ懐かしんでください。

***

●友人Oは「あたかも」という言葉を使って短文を作れと言われて、「あそこに本があたかもしれない」と言った。(高松市 こぶちゃ)

●友人Hは「あながち」を使って短文を作れという問題に、「おれはケツのあながちいさい」と書いた。(豊中町 はやき)

●小学校の国語のテストで「うっとり」という言葉を使って短文を作れという問題が出た時、Y君が「うちの店では大根をうっとります」と書いた。(上天神町 きたないしょるお)

●友人Oは小学校の時、「だんちがい」という言葉を使って短文を作れという問題に「僕は住むんだったら団地がいい」と答えた。(落ちる文鎮/どうん)

●丸高2年のS君は、現国の時間に「矢は放たれた」を使って短文を作れという問題で、「ぼうやは鼻たれた」と答えた。(善通寺市 泳げカナヅチ君)

●先生が「まさか〜だろう」という言葉を使って短文を作れと言ったら、友人が黒板に大きく「まさかりかついだ金だろう」と書いた。(大内町 COOPY)

●僕のクラスメートは、国語の時間に「ちがいない」という言葉を使って短文を作りなさいと言われて、「僕にはともだちがいない」と書いた。(高瀬町 K・I)

●僕は小学校の時、「したがって」を使って短い文を作りなさいという問題に「姉ちゃんがゲームをしたがってしたがって困ります」と答えて、先生に「ちょっと使い方が気になるけど、その気持ち、先生にもわかります」と書かれたことがある。(三木町 やっそ)

●国語のテストで「〜ならともかく〜」という言葉を使って短文を書け、という問題に「奈良は『なら』ともかくのです」と書こうかと思ったけどそんな勇気はなかった。(坂出市 高橋健太)

●友人O西は「万一」という言葉を使って短文を作れという問題に、何か変やなーと思いながらも「僕は一万円拾った」と書いた。(観音寺市 諸葛亮小梅)

***

 とりあえずこれぐらいにしとかんと、何か止まらんようになって単行本一冊丸ごと再掲しそうになるんで(笑)。

 あと、補足しておくと、誰かが「短文ネタ」の口火を切ったらすぐに「短文ネタ」の投稿が殺到し始め、そのうち「ツクリだろう」というネタがあふれ始め、すると今度は「ツクリだと思われると心外だ」とばかりに、本当にそう書いてある答案用紙をコピーして同封してくるやつが出てきたり…という、スペクタクルな投稿活動が展開されていました。

 上記作品を見ても、ツクリっぽいのが増えてきたら「書こうかと思ったけどそんな勇気はなかった。」とかいうふうにひねって落としてくるやつがいたり、「万一」ネタみたいに変化球を投げてくるやつが出てきたり(笑)。しかも、学校で先生までがおもしろがって生徒と一緒に遊んでくれてたりしていて、ええ時代でした(笑)。

 しかし、もう20〜30年も前の中学生や高校生の投稿作品ばかりだけど、ほんまに文化人講座は嵐のような人気だったなあ。とにかく、すごい数の投稿人たちのレベルがめちゃめちゃ高くて、全国ネットのテレビでは『ボキャブラ天国』や『さんま御殿』なんかでもかつての文化人講座ネタがパクリでいくつも投稿されていたし、今、テレビで人気の某タレントなんか、トーク番組で昔の文化人講座ネタを自分の体験談としてしゃべっているのを目撃されていますし(笑)。

 ま、とにかくそれぐらいすごかったということで、当時の投稿人の皆さんには改めてここで感謝の意を伝えておきたいと思っているのに、大半の投稿人が今、恥ずかしい過去として投稿人であったことをひた隠しにしているとはどういうことだ(笑)。けど、私の記憶力を侮ってはいけない。13年前、私が四国学院大学に来た時に、私が職員名簿の中から本名だけでかつての文化人講座の投稿人を2人見つけたことは、彼ら2人(当時は高校生だったけどすでに30〜40代の社会人だ)だけが知っている事実である(笑)。
2016年10月3日(月)

 一昨日あたりから、ケータイ(ガラケー)がおかしくなってきたのである。まず、今充電したばかりなのに、すぐに充電切れの赤マークが出始めた。それが昨日になると、今度は充電してコードを抜いた瞬間に赤になるようになり、今朝起きて見たら画面が真っ黒になっていて、充電器のコードを差し込んでも反応すらしなくなっていたのである。

 いよいよである。もういつ買ったのか記憶にもないくらい古いケータイで、角のプラスチックは欠けているし、液晶画面はシミだらけみたいになっていて、いつ寿命が来てもおかしくない状態が続いてはいたのだが、今日は昼にケータイで連絡を取り合わないといけない大事な用事があるので、とりあえず何とかしないといけない。そこで、朝の10時半頃、大学の近くのドコモショップに直してもらいに行った。

 そしたら、私のケータイをチェックした担当のねえさんが「電池を取り替えたらとりあえず使えるようにはなりますが、たぶんまたすぐ弱ってくると思います。何しろ、かなり本体が傷んでいるみたいなので…」と言ってきた。うーむ、これはもう、ケータイのあきらめ時か…ということで、思い切って、新しいガラケーを買いました(笑)。旧ケータイの中のデータは、電話帳だけを移してあとは全部捨てました。

***

 さて、富山市の議員が政務活動費の不正計上で続々と挙げられていますが、昨日の四国新聞によると、高松市議会でも発覚したようで。

(見出し)
政活費で私的なガソリン代支出
高松市前議長、返還へ

(本文)
 高松市議会の中村順一議員(65)=自民党議員会=が昨年度、私的なガソリン代を政務活動費から支出していたことが分かった。同市議は「家族が給油した約2300円のレシートが紛れ込んだと思う。ミスで請求してしまった。不適切な分は返還する」としている。

 中村市議の政務活動費収支報告書などによると、昨年11月19日、高松市内でガソリン17.1リットルを給油していたが、同市議はその日、福島県の研究フォーラムに参加していた。家族が給油した2274円分の領収書を誤って同報告書に添付したという。(以下略)

***

 まあ、この記事を読んだ県民の10人中15人ぐらいがそんな弁解など真に受けないのだろうと思いますが、皆さんにはせめてこういう時ぐらい、ネット上に情報公開されている行政関連データを見ることをお勧めします。いろんなものが公開されていて、結構おもしろいですよ。じゃ、一つ紹介しますね。

 高松市の公式ホームページ内の「市議会のページ」の中に、「政務活動費 議員別収支状況総括表」というのが公開されています。それによると、高松市議1人あたりの政務活動費は、年間110万円と120万円の人がいる。そのうち、平成27年度に各議員が「支出した」と報告した額を、わかりやすく順番を整理して並べると、以下のようになります。

●政務活動費が年間120万円の議員
(議員名) (所属会派)   (支出額)
中村順一  自民党議員会   1200000
鎌田基志  自民党議員会   1200000
岡下勝彦  自民党議員会   1200000
森川輝男  自民党議員会   1200000
小比賀勝博 自民党議員会   1200000
森谷忠造  自民党議員会   1200000
西岡章夫  自民党議員会   1200000
井上孝志  自民党議員会   1200000
十川信孝  自民党議員会   1200000
神内茂樹  自民党議員会   1200000
佐藤好邦  自民党議員会   1200000
藤原正雄  自民党議員会   1200000
白石義人  自民党議員会   1200000
大見昌弘  自民党議員会   1200000
三笠輝彦  同志会      1200000
大橋光政  同志会      1200000
妻鹿常男  同志会      1200000
辻 正雄  同志会      1200000
川崎政信  同志会      1200000
香川洋二  無所属      1200000
中西俊介  市民フォーラム21 1173918
二川浩三  自民党議員会   1162960
大浦澄子  同志会      1160518
岡田まなみ 共産党議員団   1134534
竹内俊彦  公明党議員会   1115994
春田敬司  公明党議員会   1105347
吉峰幸夫  市民フォーラム21 1091323
大山高子  公明党議員会    909154
中村伸一  公明党議員会    440921
大西 智  市民フォーラム21  394184
田井久留美 公明党議員会    386100
植田真紀  市民派改革ネット  270530

●政務活動費が年間110万円の議員
(議員名) (所属会派)   (支出額)
坂下且人  自民党議員会   1100000
橋本浩之  自民党議員会   1100000
杉本勝利  自民党議員会   1100000
造田正彦  市民フォーラム21 1100000
富野和憲  市民フォーラム21 1100000
中村秀三  公明党議員会    634979
藤沢やよい 共産党議員団    469219
太田安由実 市民派改革ネット  218812

****

 ね。いろんなことがわかるでしょ? 例えば、「自民党議員会」と「同志会」の議員はほぼ全員、120万円の政務活動費を120万円ピッタリ使っていることがわかる。これはたぶん、会派が「120万円をピッタリ使い切るための手法」をレクチャーしているのではないかと思われる。しかし、さっき中村議員のニュースの中に「2274円分の領収書」とあったように、1円単位の領収書が絶対たくさんあるはずなのに(事実、合計が1円単位になっている議員もたくさんいる)、全部合わせて「120万円」とか「110万円」にピッタリ合わせる技って、すごいなあ。一体どうやるんだろう(笑)。

 まあ、普通に考えたら「1年間の領収書を全部合わせてピッタリ120万円」なんてほとんど奇跡ですから、絶対に何か「技」があるんでしょうけど、こんなものに「技」を使う時点ですでに胡散臭いし(笑)、だいたい「もらった枠は全部使い切らないと損」みたいな性根が少々浅ましい。月に60万円も議員報酬をもらっているんだから、こんなところぐらい正直にやればいいのに。

***

 ちなみに、実は大学の先生に与えられる個人研究費も「先生一人ひとりに年間いくらかの与えられた枠があって、使った研究費は領収書と一緒に報告する」という、議員の政務活動費とよく似た仕組みです。でも、私はビジネスマン出身だから、予算を消化するために無駄な物まで買って帳尻を合わせることは一切しないし、「これは研究費で処理していいものかどうか?」という怪しいやつは全部自腹で払うことにしています。国内外の取材旅行なんかも、こっちは授業でも使うし研究材料にもするための情報収集だけど、観光地も見るしメシも食うしお土産も買ったりするから、それを「観光じゃないか」と突っ込まれるのが鬱陶しいので、ほぼ全て自腹で行っています(悪意のあるやつに突っ込まれたらほんまに鬱陶しいから)。

 一度、教授会後の雑談でそんな話をしたら、あるベテランの教授から「もったいない。研究費をきっちり使い切る方法を教えてあげますよ」と言われたことがあるが、丁寧にお断りしました。私が社長なら、ああいうメンタリティの人間は絶対に社員に採用しません(笑)。というか、どこの社長でも採用しないと思いますが。でも、それで採用されているのが、議員だったり、教授だったり、公務員だったりするわけです。まあ、規定で合法とされているから別にいいんですけど。

 ただ、私は人として「そういう人にはなりたくない」と思いながら生きてきた、というだけです。だから、私は仮に探偵を100人使って過去を徹底的に調べ上げられても、お金のスキャンダルは一切出てこないと思います。それを「絶対損してますよ」と言ってくる人も必ずいるんですが、「何も後ろめたいことがない」という心の平穏の方が私にとっては大きなリターンなので。とりあえず、学生には「不誠実な目先の利益を捨てて誠実に生きる方がええような気がするぞ」と教えていますが、どうでしょう、自分で言うのも何ですが、ピュアすぎますかね(笑)。
2016年10月1日(土)

 昨日の晩、いつもは日付が変わるくらいまで仕事をしているのに、10時半頃急に睡魔が襲ってきたのでそのまま寝たら、朝5時半頃起きてしまった。よって、意を決して朝6時半から峰山に行く。ここ数年、体力と意志の衰えで、だんだん意を決さないと出発できんようになってきたのである。

 家を出発して10分後の最初の難関の「花樹海の急坂」を休みなく上がって(ここを休まず上がれるかどうかが、その日の体力を測るバロメーターになっている)、一旦下りてからダイドーの自販機のあるところまで500mぐらい迂回して、いつもの「MIU・レモン&オレンジ」を買って2口3口飲み、今日は花樹海を一気に登れたので遠回りの栗林公園の裏山コースに向かうことにした。

***

 しかしダイドーのスポーツドリンク系は、いつもええとこ突いてくるなあ。よくスポーツインストラクターたちが「一般的なスポーツドリンクは運動中に飲むにはちょっと濃いから、水で半分くらいに薄めて飲む方がいい」と言うのだが、ダイドーの出してくるスポーツドリンクは、その微妙な薄め加減がいつも私の好みにピッタリである。ピッタリなのに何度もその商品が出ては消え、出ては消えていくのがハテナ? なのだが(私の好みはみんなの好みじゃなくて売れんのか?・笑)、今出ている「MIU・レモン&オレンジ」が、また私にピッタリなの。しかも、薄めているせいか、他社の150円のスポーツドリンクが並ぶ中、130円という原材料節約価格(かどうか知らんが)である。

 あと、もう一つ私にピッタリで近年ハマっているのが、三越の地下食料品売場の漬物とかを売っているところにある、簡易な四角い透明のプラスチック容器に小分けされて売られているのりの佃煮である。気の弱そうな、子犬のような目をした若い兄ちゃんがニコニコしながら店に立っているので、余計に「買ってやらなくちゃ」と思ってしまうのだが(笑)。

 「磯自慢」とか「ごはんですよ」とかも好きだけど、こいつはそれらを強烈に凌ぐインパクトのあるのりの佃煮で、それを買った日にゃ、もう早く帰って白ご飯を食べたくて仕方がなくなるのである。一度、三越のすぐ近くにある割烹「遊」へ夫婦で晩ご飯を食べに出かけた時、まだ三越が開いていたのでつい食料品売場に立ち寄ってその佃煮を買ってしまい、そのまま「遊」に行ってご飯とおかずを食べている間、もう袋の中ののりの佃煮を出して食べたくて食べたくて(笑)。しかし、いくら気心の知れた店でもそれはあまりに失礼だから、ものすごいストレスを抱えながら食事をして帰ったことがある…というぐらいの、三越地下ののりの佃煮である。ちょっと甘めだから、大人の味覚を持つ通の方にはお勧めできませんが。

 …みたいな感じで話が脱線するのが、原稿だろうが授業だろうが講演だろうが一生抜けないであろう私の習性である。ただし、授業や講演でしゃべりながら脱線すると、頃合いを見計らって「なんでこんな話になったんや、あ、○○から脱線したんやな」と言って元の話に戻るのが基本パターン(笑)であるが、近年、授業中に「なんでこんな話になったんや…え? ほんまに何の話から脱線したんや?」と学生に助けを求める場面が出てきて、「人は衰えるものだ」ということを身を持って実感している今日この頃である。

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 さてそういうわけで元に戻って(原稿は授業や講演と違って、絶対に元に戻れるから・笑)、栗林公園の裏山のてっぺんまで行って栗林トンネルの北側あたりから一旦下道に下り、栗林山荘の前の道を歩いて姥ヶ池の墓地の方に回って、そこから再び山に登り始める。今度はさすがに滝不動のところで一休みして、それから桜並木の上の休憩所に着いたら、おじさんが一人座っていた。「おはようございます」と言おうとしたら、おじさんはうつむいてスマホみたいなのをいじっていたので、邪魔せんように隣のベンチに座る。しばらくしてスマホいじりを終えたおじさんがこっちを向いたので「おはようございます」と言ったら、挨拶を返してきたおじさんが私に「どっちから上がって来たんな?」と聞いてきた。

田尾 西宝町から石清尾(神社)の下を通って、そこから栗林公園の裏山に上がって…
おじ あの、石のベンチが一つだけあるところやな。
田尾 そうですそうです。そこから一旦下に下りて、姥ヶ池のお墓の横からこっちに上がって来ました。
おじ そうな。今日は雨が降りそうやな。

 などと会話をしながら、私はこのおじさんが「人の話を聞くタイプか、自分の話をしたがるタイプか」を探る。初対面の人には、私はまずそこから(笑)。そして、おじさんが「私やもう78になってな…」と言い始めたのを聞いて、たぶん後者であることを確認し、そこから徹底して聞き役に回りました。

 その結果、おじさんが125ccと400ccのバイクに乗って四国の山をあちこち登っていること、胃を全摘して食事は一度に少量ずつ、回数を多めに摂っていること、同年代の知り合いはこの歳になって認知症になったり寝込んだりしている人が結構いること、昔はあちこちの山に入ったらその風景を脳裏に焼き付けるだけでいいと思っていたけど、記憶というものはだんだん薄れていくので近年は必ず写真をたくさん撮って、それをパソコンに保存して整理していること…等々を、初対面の私にたくさん話してくれました。

 途中、おじさんが「雪が積もった山はとても美しい」という話をしたので、私が「数年前、雪が積もったのでここ(峰山)に登ってみたら、それはきれいだった。キジまで出てきたのを見た」と言ったら、軽く流されて次の話題に行ったので、もう完全に「人の話を聞くより自分の話をするモード」に入ってると思って、再び私も聞き役モードに切り替えたりして(笑)。ま、一期一会ですから、なるべく相手の方に心地よく時間を過ごしていただかないと…と思って。

 で、10時前に家に帰って夕方6時頃まで、日本女子オープンゴルフを見たりしながら仕事をしていたら、首の後ろから眼球にかけてがどんどん痛くなってきて、頭痛薬を飲んで、アンメルツみたいなのを首にしこたま塗って、それでも痛みが治まらないので「明日、マッサージに行こう」と思って早めに寝ました。日本女子オープンゴルフ、3日目を終えて15歳のアマチュアの子が2打差リードで首位に立つという注目の展開。明日はマッサージに行って、昼から生中継を見ながら仕事しよ。
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