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2017年03月の日記
2017年3月27日(月)

 谷編集長以下の「かしまし娘」首脳陣の獅子奮迅の働きでデータが早々と揃っている『インタレスト』第一特集(笑いどころほとんどなし)であるが、数週間苦しんだ「見せ方」がようやく決まってきたので、先週あたりからいよいよ原稿作成と割付にかかり始めたのである。ところが、データを見ながら原稿にかかっていると、「ん? このデータ、ちょっとおかしいぞ」というのがちょこちょこ出てきて……あかん! データを精査し直さんかったら分析結果の文章を間違うことになるぞ! という、いつか出くわしたような大惨事が起こりつつある今日この頃である。

 しかも、谷や溝淵に電話して担当者に集合をかけようにも、バイトやら遊び過ぎやら睡眠不足やら何やらで、春休み中の学生はとにかく集散が悪い。唯一の救いは「まだ何とか3月」という締切まで微妙に時間的余裕があることと、去年まで抱えていた重い原稿が3分の1の負担になってかなり身軽になっていることだけだ。

 それにしても痛感するのは、近年の学生たちの「情報収集」に対する詰めの甘さである(ま、東大生とかは知らないが)。情報源の信頼性とか、その情報の意味するところの確認とか、集めた情報の精査とかの詰めの甘さ。ネット世代のかなり大きな欠陥なのかなあ。

 さらに言えば、『インタレスト』では一応情報発信のプロの私が「この状態で発信したらいかん」と言って止められるのだが、ネット上ではそういう正確性と分析性が欠けた穴だらけの情報を反射神経だけで発信する人が膨大な数いるから、そこいら中で「炎上」なるものがすぐに起こる。もうネット環境が当たり前になってどうしようもないんだろうけど、どうなるんでしょうね。

***

 しかも、近年は情報発信のプロであるはずのマスコミまでが相当劣化してきてるように思えて仕方がないのである。さすがにマスコミは「情報収集」こそ素人の学生レベルではないが、集めた情報の取捨選択をはじめとする「情報編集」に入った途端、本質と枝葉の区別がつかなくなって、たいていの場合が「枝葉」満載のもう無茶苦茶な情報が撒き散らされている。

 さらに、その本質も枝葉もごっちゃにした情報を前に、どう考えても情報発信のプロとは思えないタレントや芸人やタレント化した自称識者たちが感情だけで構築した「正義」を振りかざしてコメントする。さらに、それを見聞きした情報発信の素人の「ネット民」とやらが反射神経だけで膨大な量の劣悪な情報発信をする。

 ちなみに、たまに討論番組なんかで素人の反射神経だけで書いたみたいな短いツイッターコメントを流している番組まで見かけるが、情報発信のプロが情報発信の素人のコメントを浅い考えで垂れ流すというのは、私みたいな古いタイプの人間には耐えられん(笑)のですぐにチャンネルを変える。私がプロデューサーなら絶対にあんなことはやらないが、まあ、古い人間ですから時代について行けてないんでしょう。

***

 ただし、古い人間に言わせていただければ、そういうプロ意識に欠けた情報発信が氾濫しているから近年の日本で韓国みたいな魔女裁判があちこちで起こり続けているのだと思います。森友学園とか、怖いですねえ、魔女裁判。どう見ても韓国の「民意裁判」と一緒ですよ。

 行政が握っている許認可権に対して「口利き」も交えて「根回しをする」なんてことは、そこいら中の日常で行われているのである。仕事を取るのに「ちょっとあの人から口添えしてもらおう」とか、会社の入社試験で「あの人のコネで何とか頼んでみたら」とか、「あの人に頼んだらチケットが手に入るんちゃう?」とか、私だって「○○うどんを取材したいんですけど、大将が気難しいらしいんで田尾さんから電話一本入れていただけたら助かるんですが」とかあるもの(笑)。

 で、そういうことの中であまりにひどいのを罰するために収賄罪とかの罰則があって、そこに引っかかりそうなのがあったら警察が動くことになる。そこで、収賄罪等で立件されたら司法で裁かれて、罪が確定したり無罪になったりする。罪が確定すれば、罰金とか禁固とかのしかるべき罰を受け、反省して更正する。本筋はそれだけである。

 ところが、今の日本では、そこに「叩きたい政治家」が関わっているとか、見てくれがふてぶてしい(失礼)とかいう「マスコミや野党の気に入らない要素、叩ける要素」が加わった途端、罪が確定していなくても、あるいは罪が確定してもその罪のサイズ以上に吊し上げられて、袋叩きにされて火あぶりにされて、事業を潰されて負債を負わされて、ロジカルに妥当な罪を償うだけでは済まず、人生まで潰されるんだ。

***

 まあ、籠池さんが何かの罪で立件されるのかどうか、立件されたとしても有罪になるのか無罪になるのか知らないけど、立件される以前に疑惑だけでマスコミ等にあそこまで人生を潰されたら、そら籠池さんも開き直りますよね。ちなみに、感情で非難を浴びせ倒している人たちは、自分が籠池さんと同じ目に遭ったらどうするんでしょうね。たぶん、あそこまで理不尽に感情的にやられたら誰だってキレますよ(笑)。

 あるいは、アンケートやインタビューで「納得いかない」とか答えている市民がたくさんいるそうですが、あの人たちは何がどうなったら納得するんだろう。罪が確定してなくても土下座して謝ったら納得するのかなあ。あるいは、罪が確定してなくても破産させて人生を破滅させたら納得するのかなあ。そういうのを「魔女裁判」って言うんだけど。

 ついでに言えば、もし、森友学園のいろんな経緯の中に安倍さんの名前がなかったら、ここまでの騒ぎになってのかなあ。あるいは、もし、森友学園に野党政治家の名前があったり、学校で逆に左翼教育をやってたら、野党はあそこまで追及してたかなあ。あるいは、籠池さん夫婦がイケメンと美人でとても感じのいい人だったら、マスコミはあそこまで吊し上げて火あぶりにしたのかなあ…

 とか考えると、結局マスコミは正常な事件報道ではなく、視聴率稼ぎをしているだけ。野党は日本を健全で豊かな国にしようという政治家の最優先責務ではなく、与党を攻撃のための政争の具にしてるだけでしょう。だって、罪の立件は検察の仕事だし、「ああいうことが起こらないようにするために、原因を特定して対策を考える」という視点の報道や国会質問なんか、聞いたことがないもの。

***

 もしそうなら、それは間違いなく、マスコミと野党と反射神経の感情を撒き散らす「市民」とやらによる「魔女裁判」ですよ。かつての堀江社長や小沢一郎さんや、NOVAの社長や村上ファンドの村上さんや建築士の姉歯さんや周辺のコンサルや経営者等々の例を挙げるまでもなく、「罪を問われて確定したら、そこで課された罪を償えばよい」という法治国家の基本ルールを無視して枝葉までほじくり出して袋叩きにして火あぶりにした…という例はいくらでもありますが、たぶん全く学習していない。というより、今回はかつての例よりひどいような気もします。罪が確定するまでもうちょっと冷静になって、事件をきちんと分析して「原因の特定と対策の検討」に立ち返りましょうよ。特に今のワイドショーなんか、韓国社会の「民意裁判」を蔑んでる場合じゃないと思いますけど。

 まあ、唯一の救いは、「勢いづいて追及している民主党の支持率が下がっている」という話を聞いたこと。サイレントマジョリティーが正常であってほしいと心から願っています。そういうわけで、「罪があればロジカルに罪を償えばいいのであって、決して魔女裁判に加担してはいけない」ということで、学生には常に原理原則に立ち返って考えることを教えようとはしてるんですけど。幸い、インタレストには魔女裁判に加担するようなやつはいないような気がします。情報収集は甘いけど(笑)。
 
2017年3月22日(水)

 あんなに早く進んでいた『インタレスト』23号(6月1日発行)の制作作業が、ビタッと止まってもう3月22日である。

 毎年6月1日号は、4月20日〜5月10日頃にデザイン発注するのであるが、今回は谷編集長以下の「かしまし娘」首脳陣がものすごく頑張ってデータ物特集2本の情報収集がどんどん進み、「3月中旬に松本君に8ページぐらい発注して度肝を抜いてやろう」という勢いで3月に入ったのである。ところが、既報の通り「特集1本分ぐらいページが余る」という大惨事が発覚して以来、慌てて新規特集に走り始めて、データ物特集2本の編集作業がビタッと止まってもう3月22日になってしまったのである。

 しかも、慌てて走り始めた第3特集が、少々見切り発車であるために、どうも「切り口と見せ方」がピシッと決まらないまま走っているというフラつき状態。そこで仕方なく、今日は御大自ら、2年の馬渕と瀬野を連れて野外取材に出かけることになったのだが、取材途中で謎の光景に出くわしてしまった。

***

 午前中に塩江の内場ダムに行き、午後12時半に高松空港の滑走路の端の、知る人ぞ知る「真上に飛行機が着陸してくる超穴場スポット」に行った。何の特集か想像できない組み合わせでしょう。私もまだ、最終的にどうまとまるのか、完成予想図が見えてない(笑)。

 で、その穴場スポットで13:00到着予定の飛行機の着陸寸前の、機長がおにぎりを食べているのもわかるくらいの接近写真を撮り、次いで13:25到着予定のやつの写真も撮って、「じゃあ、離陸写真も撮ろう」ということになったのである。着陸寸前写真が撮れる穴場スポットは滑走路の東端にあるのだが、離陸は西に飛ぶので(たまに風向きが変わると離着陸が東西逆になるが、たいてい西風が吹いているので大半の離着陸はそうなっている)、ここにいては離陸写真は撮れない。しかし、滑走路の反対側の西端には撮影場所がないので、我々3人は滑走路の西の延長線上にある小高い山の上にある「高山航空公園」に向かったのである。

 次の離陸時間は15:45である。そこで、我々は周辺取材等で時間を潰して、15:30頃に高山航空公園の展望場所に行った。この展望場所は高松空港から直線距離にして4kmくらい離れているのだが、空港全体がきれいに見下ろせて、滑走路もくっきりはっきり見える。しかも滑走路のほぼ延長線上にあるから、離陸した飛行機が真っ直ぐこっちに向かってきて頭上を通過していくという、高山航空公園の一番の見せ場スポットである。

 カメラを準備して待っていると、ちょっと遅れているのか、16:00前になってようやく飛行機が動き始めた。まず、ゲートからバックし始める。ここから見る空港は、向こうに一直線に伸びる滑走路があり、その左に平行して向こうに一直線に伸びるちょっと細めの誘導路があり、その左に空港の建物がある。その建物に先端をくっつけて止まっている飛行機が、ゲートを離れてじわじわと誘導路に向かってバックして、誘導路に入るとケツをこっちに向けて方向転換し、誘導路を向こう向きに進み始める。その後、飛行機は誘導路の向こうの突き当たりを右折して止まった。そこから合図を待って滑走路の向こうの端からこっち向きに入ってきて、こっちに向かってゴーッて離陸してくるわけだ。

田尾 そろそろ来るぞ。
馬渕 大丈夫です。連写の準備もできてます。
田尾 望遠にせんかったらよう見えんけど、望遠にしたらここの上空に来る頃にフレームから外れる恐れがあるからな。
馬渕 難しいですね。
田尾 まあ、うまいこといかなんだら次の16:10発で撮り直したらええ。そうやっての、細かいことも常にリスクヘッジを考えておく習慣を付けとくんぞ。
馬渕 了解しました。

 などと言いながら1分…2分…3分…

瀬野 何か、横向きに止まったままで全然動く気配がないですよ。
田尾 ほんまやの。
馬渕 なんかトラブルでもあったんですかね?
田尾 中で「今日、ほんまに飛ぶんか?」とか言いよんちゃうか?
馬渕 機長と副操縦士が譲り合ってたりして。
田尾 「どや、今日は天気もええからお前が飛ばしてみるか」「いえ、ここはやっぱり機長が…」とかやってるんか。

 などと「ない話」を展開していると、あ! 滑走路の先の誘導灯の上空にまばゆい光が見えた!

田尾 あれ見てみ! 一機、着陸して来よるぞ!
瀬野 え?!
田尾 ほら、あの光、飛行機やんか。
馬渕 ほんとですね! だんだん低くなって、あ、もうすぐ着陸しますよ。
田尾 なるほど、あれを待ってたんか。

***

 というわけで、離陸前の飛行機が滑走路手前でしばらく動かなかった理由がわかった我々は、今来た飛行機が着陸するのを遠くから見ながら待っていた。ところがその時、謎の事件が起こったのである。

 着陸態勢に入ったその飛行機が、まさに滑走路にランディングしようかと思った瞬間、ゴオーーーッ! という轟音を上げてタッチアンドゴー!(タッチしたかどうかわからんが) そのまま急上昇し、我々の目前の上空で右旋回(こっちから見て左旋回)して、雲の彼方に飛び去った! 再着陸を試みるのならあんなに遠く高く飛んでいくはずがないのに、まるでハワイに向かったかのように雲の彼方にまで飛び去ってしまったのである。

 ヤツはそのまま、我々が高山航空公園を去るまで30分以上経っても帰ってきませんでした。

田尾 何や、さっきの。
瀬野 とうとう帰ってきませんでしたね。
田尾 まず考えられるのは、下りる駅を間違った。
馬渕 何ですかそれ。
田尾 松山空港で下りるつもりが、うっかり高松に下りかけて、着陸直前で「あれ? あ、あかんあかん! まだ高松や!」いうて慌てて浮上した。
馬渕 それはないですね(笑)。
田尾 そうか。じゃあ、次に考えられるのは、どこかへ向かってた便が上空で故障が発生して高松空港に緊急着陸しようとしたら、着陸寸前に「あ、故障が直った!」いうて飛んでいった。
瀬野 あそこまで下りてたら、直ってもとりあえず下りますよ(笑)。
田尾 わかった。じゃあ、あの飛行機は定期便ではなくて、「高松空港タッチアンドゴー体験ツアー」の飛行機だった。
馬渕 なるほど! ツアーのアトラクションだったんですね!
田尾 自分で言うてて絶対違うわ。

 という謎の場面を目撃しました。あれ、何だったんでしょう。3月22日16時頃の高松空港での出来事です。その後、何事もなかったように定期便の2機が離陸していきましたけど、たぶんあのタッチアンドゴー(タッチしたかどうかわからんが)はニュースにもなってない。でも、確かに我々3人は、その謎の一部始終を目撃したのです。まあ、あんまり言い続けるとメキシコでUFOを見たと言い張るおっさん扱いされたらいかんのでこれぐらいにしときますけど。

***

馬渕 先輩から「田尾先生と取材に行くと必ず何かが起こる」って聞いてたんですけど、ほんとに何かが起こりますね。
田尾 まあ、「何かを持っとる」とは言われることがあるな(笑)

 などという話をしながら、16:10発の飛行機の離陸写真も押さえて、我々は四国学院大学に向かって帰路についた。車で山を下り、山越のそばを通り、旧宮武うどんの横を通って国道に突き当たる手前で、赤いランプの点滅が見えた。

田尾 何や? 事故か?
馬渕 パトカーとか、すごくいっぱいいますよ!
瀬野 大事故ですかね。

 近づいていくと、目の前の交差点でおまわりさんが通行車を誘導している。周辺は軽い渋滞だ。そのすぐ先の踏切の周りに10台近くのパトカーが集結して、若い警官が走っているのも見える。

田尾 さっきの飛行機か?
馬渕 違うと思います。

 あとで聞くと、16時48分頃、まさにそこの踏切で列車と乗用車の衝突事故があり、25本が運休して、3時間に渡ってダイヤが乱れたそうだ。

瀬野 田尾先生、絶対何か持ってますよ。

 事故だから瀬野のセリフに(笑)もつけられんが…
2017年3月18日(土)

 今週は忙しい仕事の合間を縫って、今やマニアすらも見放していると思われるようなうどん店に行って小ネタをいくつも拾ってきたのだが、ここで明かすと『うどラヂ』の収録時にテンションが下がるので黙っとこう(笑)。

 もう550回を迎えようというFM香川『続・麺通団のうどラヂ』は、私とごんとH谷川君と見習いの谷本ねえさんの4人でやっているのだが、収録は毎回、台本も打ち合わせもないどころか、全員がこうやって自分の持ちネタをひた隠しにしたまま本番で突然出す、という「緊張感あふれる録音」でお送りしているのである…というネタすらも、ここで書いたら次の収録で「こないだの日記、どこの店ですか?」とか言われて、私が「マニアも見放しているようなうどん店に行った」という情報がバレてしまうので本当は書きたくないんだけど(笑)。

 さて、最近個人的に日記沙汰になるような大ネタがないので、また新聞から一ネタです。

 今朝の新聞の一面に大きく、原発事故の裁判のニュースが出ていました。今回は産経新聞の記事を引きますと、

(見出し)
原発事故 国・東電に責任
「津波 予見できた」
避難者訴訟 初の賠償命令
前橋地裁判決

(リード)
 東京電力福島第一原発事故の影響で福島県から群馬県に避難した45世帯137人が国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、前橋地裁であり、原道子裁判長は「巨大津波の到来は予見可能で、対策をすれば事故は回避できた」として、国と東電の責任を認め、計3855万円の賠償を命じた。

(本文)
長いので略。

***

 で、「この判決が全国で行われている28の同種集団訴訟の判断に影響を与えることは必至だ」という内容の解説記事が延々と載っていたのだが、私が注目したのは今後の裁判の行方ではない。判決文に「非常用電源の高所設置などの対策をとれば事故は発生しなかった」と明記されていることである。

 以前、この日記で私は、イデオロギー抜きにシンプルに考えて、

(1)福島の原発事故は、水素爆発が起きたから過酷事故になった。
(2)水素爆発は、電源が水に浸かって停止し、そのせいで冷却水が回らなくなったために起こった。
(3)すると、電源さえ確保できていれば、100年に1回の東北大震災級の地震が来ようが大津波を被ろうが水素爆発は起こらなかったという話になる。
(4)もしそうなら、他の原発も全て「東北大震災級の天変地異が起きても電源は確保できるかどうか」という1点が最大の関心事となるのに、マスコミはそれを一切報道せず、規制委員会の細かい審査の話ばかりしているとはどういうことか。

という話を書いたが、まだ地裁段階とは言え、たぶん今回初めて、公式に「電源を確保さえすればあの事故は起こらなかった」という判断が出たのである。まあ、イデオロギー抜きにロジカルに考えれば、当然そういう話になるでしょう。

 すると、この判決は「責任の所在」については国と東電に不利な判決であり、まあ水素爆発はたぶんに人災の側面があるから国と東電の責任は免れないと思うけど、もう一点、「原発の安全対策」については、「電源確保の対策さえきちんと行えば、地震や津波で水素爆発は起こらない」という判決だから、「地震大国日本ではいつでも原発で水素爆発が起こる危険性がある。だから何が何でも原発は廃止すべきだ」という人にとっても不利な判決になっている。なぜなら、この内容の判決が最終確定すれば、原発反対派は「地震や津波以外で水素爆発が起こる可能性」を感情でなくてロジカルに説明しなければならなくなるからである。

 さあ、ここからどうなっていくのかな? 特に、判決文の「非常用電源の高所設置などの対策をとれば事故は発生しなかった」という部分が、今後上級裁判所に行ったとしたらどうなっていくのかに私は注目である。そのままなら、上記のように原発反対派は非常に困難なロジカルな根拠を見つけないといけなくなるし、逆にどこかでひっくり返って「非常用電源の高所設置などの対策をとっても事故は防げなかった」となると、人災ではなく不可避の自然災害が主原因であるということになるから、国と東電の責任はほとんど追求できなくなってしまうぞ。原発反対派にとって見ればどっちになっても悩ましいことになるが、まさかそれに気付いてないなんてことはないでしょうね。

***

 ちなみに、もうほとんどの人が忘れてしまって話題にも上らないが、日本に原発がどんどん増えていた頃、原発で事故を想定した訓練をしようとすると、反対派の団体やマスコミが「事故を想定した訓練をするということは、やっぱり危険なんじゃないか!」と騒いで原発の安全対策を妨害していたのである。

 私はタウン誌をやっていた頃(1980年代〜1990年代)、反原発団体の方々から直接そういう主張を何度か聞いたことがある。社会派でも何でもなく、ビジネスとオバカ企画を考えるのに一杯一杯だった当時の私がなぜそういう団体の方とお話をしたのかというと、オバカ企画のバケモノに成長していた『笑いの文化人講座』に読者からの回文投稿で、

「伊方が洩れたら誰もが他界」(イカタガモレタラタレモガタカイ)

という作品が来て、「おー、うまいことできとる」と思って掲載したら、それを見た反原発団体の方から「活動のキャッチフレーズにぜひ使わせてほしい」というオファーが来たからである(「伊方」は四国電力の伊方原子力発電所のことね)。

 ま、そんな私の体験だけでなく、当時の新聞をくまなくサルベージしたら、「事故を想定した訓練をするとは何事か」みたいな記事や論説は必ず見つかると思います。それで、原発側は事故対策の研究も訓練も大っぴらにできなくなり、仕方なく「原発は安全です」というアナウンスを出さざるを得なくなり(ああいう巨大プラントが100%安全なわけがないやん)、悪名高い「安全神話」なるものが次第に形成されていった…と私は認識している。

 すると、先の福島原発の水素爆発事故は、当時の反対派のマスコミや団体にも「安全対策を妨害した」という責任があるんじゃないですか? 当時、もし彼らが「原発は未来の夢のエネルギーであるが、大きな危険性を伴っているので、ありとあらゆる事故の可能性を研究し、非常事態を想定した訓練を徹底的に行うべきだ」と主張していれば、原発は海際にある施設なんだから、それこそ今回の判決分にあるように「巨大津波の到来は予見可能」になって、電源が水を被らないように高台に設置するくらいのことは絶対にやっていたはずですよ。

***

 しかし、そういう人たちの責任はなぜか問われないのである。「北朝鮮は地上の楽園だ」と煽って北朝鮮への帰国事業に加担し、大量の“北朝鮮日本人妻”を生み出した朝日新聞をはじめとする日本の新聞社も、彼ら、彼女らに対する責任はとらないし、「軍事的研究は行わない」という声明を出した日本学術会議の大学教授をはじめとする面々も、もしどこかで日本が軍事的被害に遭ってもたぶん責任はとらないのである。

 考えれば考えるほどやりきれんなあ。けど、私はたぶん何もできないまま死んでいくから、とりあえず意見だけ残しとく。合理主義というのはとかく非難されるが、感情を排除した理屈というのは、正しいことの方が多いと思うぞ。
2017年3月12日(日)

 ごんに「アマゾンで『ジェイソン・ボーン』のブルーレイを予約した」言うたら、「そんなことができるようになったんですか!」いうて驚天動地の如きリアクションをされたが、失礼なやっちゃ。言うとくけどな、今や俺はアマゾンどころか、iTunesで音楽まで買えるんぞ(言うてて情けないレベルの話であることは重々承知・笑)。

 去年、ボーンシリーズの最新作『ジェイソン・ボーン』が公開されたので観に行こうと思ったら、イオンシネマの近くの高松ではなくて遠くの綾川でしかやってなかったのでとうとう観に行かないまま映画が終わってしまった…という話をしていたら、ごんに「3月にDVDが出ますよ。予約しといたらどうです?」と言われたのである。あ、ごんが「予約せえ」言うたんやないか!

 それでアマゾンのサイトに入っていったら、最新作と今までのボーンシリーズがセットになった5枚組があったので予約した。それがこないだ届いたので、忙しい合間を縫って、もう3本も観てしまいました。しかも、併せて1ヵ月ぐらい前から「ジェフリー・ディーヴァー再読シーズン」に入っていて、もう忙しくて大変(笑)。

 ジェフリー・ディーヴァーのミステリーはA藤のお勧めで去年の正月にはまってしまって、以来20作、文庫で上下巻合わせて30冊以上を一気に読んでしまったのだが、30冊も一気に読むと、ええ具合に忘れていくんだ(笑)。

 この1ヵ月くらいで再読(といってもたいてい寝る前のふとんの中だけど)した『ウォッチメイカー』『コフィンダンサー』『ボーンコレクター』『石の猿』『バーニングワイヤー』『エンプティーチェア』『スリーピングドール』『悪魔の涙』『12番目のカード』は全て、ふとんに入って30分ぐらい読んでいるうちに止まらなくなり、「もう寝んかったら明日の仕事が…」と思いながら時には1時間経ち、2時間経ち、断腸の思いで本を閉じてまた次の夜の寝る前に…というのを繰り返しながらやっと上巻が終わって、「よし、いよいよ下巻で事件が解決だ!」と思って読み始めると、300ページのうちまだ100ページも行かないのに犯人が捕まってしまって「ええーっ! このあと何があるん?!」と思ったらどんでん返しが3連発ぐらいあって、「ひえー! すげえ!」って、初めて読んだ時と全く同じ感想やないか! というぐらい、たった1年でうまいこと忘れるお年頃となってしまったのだなあ(笑)。ただし、「それ、もうエンドレスに楽しめるんちゃいますか?」というご指摘には、「いやいや、さすがに3周目は覚えてしまってダメやろ」と答えておくが、「ほんまやな」と念を押されれば、「さほどの自信はない」と答えざるを得ない(笑)。

 まあ、『007』とか『ジェイソン・ボーン』とか「ジェフリー・ディーヴァー」とか、そういう類の趣味である。私は、「ファクト」を扱う社会科学の本は別にして、映画も本も仕事の合間の全くの娯楽アイテムだから、スリルとサスペンスとエンターテインメントとハッピーエンドが「上質」で揃っているものが好きなだけである。あと、愛と青春と感動ものはとても苦手。だから、『愛と青春の007』なんかが出てきたら、私はもう映画界に不信感さえ抱くのではないかと恐れているのである。ただし、「ほんまやな」と念を押されれば、「ま、恐れるほどではないです」と言わざるを得ないが。

***

 というわけで、ジェイソン・ボーンが「自分探し」の毎日を送っております。あれは、ついちょっと前まで築き上げてきた「自分」があって、そいつを記憶喪失してしまったので探しに行っているという、ほんまの「自分探し」であって、「築き上げてきた自分」すらないのに「自分探し」の旅に出かけて何の自分を探すのだ、という話とはわけが違います。

 「自分」は「探す」んじゃなくて「作る」もんで、必死でやってたらだんだん自分が「できてくる」んだから、「自分探しの旅」じゃなくて「自分作りの旅」と言った方が、やる者にも目的意識とか手段がもうちょっと絞れてくるんじゃないかと思います…というしょうもないオチぐらいつけとかんと、4日休んだ日記の格好がつかん。大して格好もついてないが。
2017年3月8日(水)

 毎回毎回締切直前になって「こんなになるまで何をしよったんや…」というのを数限りなく繰り返してくると、私も学習する。ま、「20年前に学習しとけよ」という話であるが、『インタレスト』6月1日号の「こんなになるまでにやるべき時期」が今、この3月中であることは、今の学生には全く通じないが「とっくの昔に近江敏郎」なのである。25年ほど前、観音寺に『青春デンデケデケデ家』の映画のロケで南野陽子と尾美としのりが来た時、地元のおっちゃんおばちゃんの間で「南田洋子と近江敏郎が来とるらしいで!」という噂が飛び交って大騒ぎになったことがあったが、その近江敏郎である。

 ちなみに、南田洋子の旦那さんは長門裕之であるが、長門と言えば私の中では長門勇である。槍を持たせたら日本一の殺陣を見せる、「おえりゃあせんのう」のおじさんである。ちなみに、殺陣と言えば、私の中で「刀の重量感を感じる殺陣を見せる時代劇俳優」は近衛十四郎である。などとダラダラのチェーン思い出しをするようになったら、疲れている証拠だ。

 しかしとりあえずそういうことで、今回の『インタレスト』はかなり早めに進んでいたのである。4年が抜けて3年主体の編集部になって最初の号であるが、谷(編集長)、溝淵(副編集長)、笠井(特集リーダー)のかしまし娘(例えが古い)が予想以上の働きを見せ、大量に入ってきて大量に脱落しつつある2年(笑)の中からも、10人近くがよく食いついてきていて、2本の大特集の大量の情報収集が2月末の時点ですでにほぼ終わりつつあったのである。

 ○○○○、

問1 上記○○○○に平仮名4文字を入れよ。

 ま、誰が考えても、この文脈から言えば「ところが」ですわな(笑)。

 で、ところが、先週の水曜日、とんでもない事態が発覚した。

 春休みとは言え『インタレスト』は毎週水曜日の編集会議&作業を欠かさずやっているのだが、先週の水曜日、順調以上に進む編集作業に満足しながら余裕でミーティング時間を終え、「ほな、あとは適当に解散」と言って研究室に帰って仕事をしていたら、隣の『インタレスト』編集室でいつまでも誰かが残っている様子がある。そこで、まあ何かしゃべりながら時間を潰してるんだろうと思って、コーヒーを持ってちょっと覗いてみたのである。そしたら、谷と溝淵と笠井のかしまし3人娘が、何やら真面目な顔をしてこっちを向いた。

田尾 どしたんや。まだ残っとんか。
谷  いや、あのですね…
田尾 バレンタインのチョコレートはいらんぞ。
谷  いや、それはもとからあげるつもりはないんですけど、そうでなくて…
笠井 何か相談したんですけどー、ページが余るんじゃないかって。
溝淵 たぶん余る。
田尾 ほんまか? 大特集2本で、めちゃめちゃ情報収集しとるやんか。
谷  全部で24ページで、表紙と表4を除いたら22ページで、第一特集がたぶん8ページか、行って10ページ。
田尾 そうやな。データ中心のページやから、なんぼ大特集いうても10ページ続いたら読むのがちょっとしんどいわな。
笠井 でー、第二特集も文字が中心になるから、たぶん6ページか、頑張って8ページぐらいですよね。
谷  そしたら、あと4ぺージか、もしかしたら8ページも余るんです。
溝淵 絶対余ります。
田尾 なるほど。すると、文字中心のページを伸ばすのはよろしくない。しかし、伸ばさないとなるとページが余る。そこから導き出される解は?
谷 特集を1本増やす。
田尾 はい正解! あちゃー!

 「常に完成予想図を頭に描いて、そこに向かって最善の方法を考える!」とあれほど口を酸っぱくして言い続けてきたのに、あまりに情報収集に熱心すぎて、全体が全く見えてなかった! 

***

 というわけで、今日は前号でお蔵入りになったもう一本の企画を急遽復活させて、三人娘が朝から取材に走ることになりました。私も朝からがもうでうどん食いながらガモムスに「何か、坂出あたりで怪しい公園とかないか?」などと、今頃になって情報収集をする有様。好事魔多し。工事、間多し。スペインに行った時、サグラダファミリアで工事してたおっちゃんらがみんなシエスタや言うて昼間ずーっと工事に間が空いてるのを見て、「君ら、シエスタせんかったら10年ぐらい前に完成しとんちゃうか?」とか思ったのを今思い出したわ。あかん、またチェーン思い出し。どうも私、やっぱり疲れてるみたいです。
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