2017年07月の日記 |
2017年7月30日(日)
前回の続きでさぬき市ネタをもう一つ。
マーケティング論の授業で、「目的の設定」や「ターゲットの設定」の基本的プロセスのレクチャーをやった後、簡単な練習でこんな問題を出したことが何度かある。
問題「津田の松原海水浴場は、毎年10万人弱の集客があるらしい。では、『これを短期的に15万人ぐらいに増やす』という目的設定した場合、最も有効だと思われるターゲットエリアはどこか?」
そこでみんなが考え始めるわけです。まず、津田の松原海水浴場の素材力を想定すると、ハワイの海水浴場や南仏海岸やタイのプーケットにはとても敵わないから、「世界」をターゲットに情報発信してもまず来てくれない。世界の人が「海外旅行で海水浴場に行こう」と思った時、その選択肢に「津田の松原」はまず上がってこないからです。同様に、「日本全国」をターゲットにしても沖縄の海には負けるし、「京阪神」ですら南紀白浜をはじめとして津田の松原より魅力的な海水浴場はいっぱいあるから、そこにいくら情報発信しても、「県外に海水浴に行こう」と思った人の選択肢の上位に「津田の松原」は上がってこないと思われる。
そうやって「素材力」と「競合」を考え合わせて絞っていくと、残った最も有効だと思われるターゲットエリアは、人口が40万人以上いてさぬき市に隣接している「高松市」ではないか、という話になるのである。そして実際、別に津田の松原海水浴場でなくても、さぬき市の観光地や施設、店等の集客を増やそうと思えば、たぶん一番有効なターゲットエリアは「高松市」だと思う。
聞き取り調査をすればたぶんすぐわかると思うが、高松市はさぬき市のすぐ隣の市なのに、「さぬき市の観光地や施設や店に毎年数回遊びに行っている高松市民」はかなり少ないはずである。すると、40万人もいる高松市民に「週末にちょっと行きたくなるような情報」をしっかり流せば、少なくとも人口3万人ぐらいしかいない愛媛県の東温市に冊子を配布するより、間違いなく集客効果は上がると思われるのである。
ただし、情報発信の大事なポイントは、繰り返すが「行きたくなる素材」をきちんと選んで、「行きたくなるような編集をして」発信することである。
加えて言えば、その情報発信の媒体は、たぶんテレビや新聞ではない。理由は、テレビや新聞は広告として情報発信するには高すぎるし、かといってパブリシティとなると、テレビや新聞は「行きたくなるような編集」をしてくれないからである。同様に、素人やビジネスライクに請け負った制作会社が作るようなホームページも、「行きたくなるような編集」はまずできない。
すると、残るのは素人の情報発信だけどそれで動く人がかなり多い「SNS」か、「行きたくなるような編集」のできる者が作った印刷媒体の配布、または折込だと思う。折込媒体は四国新聞でエリア指定をするか、たぶんもっと効率的なのは高松市に圧倒的なシェアを持つ「リビング高松」である。
次に、そうやってとにかく一人でも多くの高松市民に「行きたくなるような素材を行きたくなるように編集したツール」を届けた上で、さらに徹底的に高松市を中心に「営業活動」をやるのである。ただし、高松市民の個人個人に営業をかけるのは効率が悪いから、なるべく多くの人が集まる企業、団体、学校、グループ、イベント等々に、いろんなバーターも用意しながら営業をかける。レジャープランばかりに捕らわれず、勉強会でもいいし遠足でもいいし、会合や合宿等々、営業ツールは知恵の出しどころである。
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そういうふうに考えてみると、さぬき市に限らず東讃、中讃、西讃の各市町は、観光やレジャー等で人を呼び込むのに、「県外客を呼び込もう、海外客を呼び込もう」という「素材力と競合を無視した分不相応な“花火”」ばかり打ち上げる前に、「高松市」という「すぐそこにある40万人ものターゲット」をきちんと見るべきだと思う(逆に言えば、リビング高松もそのあたりに新たなビジネスプランがありそうな気もする)。
まあ、こんなレベルの話はマーケティングの初歩であるから、プロの賢そうなマーケティング屋とかコンサルとか、あるいは地域おこしや地域活性化とやらを机上で勉強しているような識者等はきっとバカにするのだろうが、そういうコンサルや識者の指導に乗っかって何十年も大した成果を挙げられてないのだから、一度基本に返ってみるのも一考ではないかと思うのである(本音は「一考」じゃなくて「絶対そうすべきだ」と思ってるけど・笑)。
ちなみに、さっき「さぬき市観光協会の観光ガイドホームページ」を見たら、かなりたくさんの観光情報が分野別に分類されて載っていました。ただ、ちょっと「客のニーズ」より「作り手の論理」が優先された編集になっているとお見受けしましたが。あと、地域のうどん店情報の中に「まはろ」が載ってなかったし(笑)。
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2017年7月28日(金)
ふえ〜、あと1週間。本来なら今日で前期の授業が終わるはずだったのだが、既報の通り、こないだ1週間休講にしてしまったので、授業回数の補填で、来週いっぱいフル出動だ。この歳で入院なんかすると、ガックシと体力が落ちる。この2週間、出力80%ぐらいで歩きながら、がもうのうどんは「入力100%」で食べているのだが(笑)、体、持つかな。
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さて、一本ネタを作る気力のない時は新聞から(笑)。こないだの四国新聞に載っていた記事です。
(見出し) さぬき市と愛媛・東温市 県越え情報誌共同発行 来年2月から 観光名所や施設紹介
(リード) さぬき市と愛媛県東温市は、両市の観光名所や偉人などを紹介する情報誌を共同発行する。県外での知名度向上や観光客誘致につなげるのが狙い。両市によると、異なる都道府県の市町村が一つの情報誌を発行するのは全国初という。計4万部を作成し、来年2月から両市で無料配布する。
(本文抜粋) さぬき市出身の江戸期の奇才・平賀源内を主人公にしたミュージカルが、東温市の坊ちゃん劇場で2013年度に上演されたことをきっかけに両市の交流がスタート。ともに県庁所在地に隣接しているが、観光客の呼び込みなどに苦戦していることから、昨年4月には「芸術・文化、観光連携交流協定」を締結し、互いにイベントで観光PRや特産物の販売などを行ってきた。
情報誌の編集、製本、配布などは、行政サービスや暮らしの情報を盛り込んだガイドブックを各地の自治体と共同発行している出版会社サイネックス(大阪市)が担当。同社のノウハウを活用し、両市内などの事業者の広告収入で経費を賄い、両市の負担はゼロに抑える。
情報誌はA4判、カラー刷りで約90ページ。テーマ別に両市の観光名所や文化施設などを紹介するほか、病院情報も掲載する。
両市の全世帯(さぬき市約2万1千世帯、東温市約1万5千世帯)に配り、残り約4千部は両市への転入者らに配布する予定。
情報誌の内容は、両市や同社のホームページでも公開することから、さぬき市の担当者は「東温市はもちろん、広く県外で市の知名度向上につながれば」と期待。市民には郷土の魅力を再認識するきっかけにしてほしいとしている。
26日に東温市役所で3者による業務協定の締結式があり、大山さぬき市長、加藤章東温市長、同社の塩野勝取締役常務執行役員が出席。大山市長は「両市の連携や交流をさらに深めるスタートとしたい」とあいさつ。加藤市長は「両市の新たな交流につながるものと大いに期待している」と述べた。
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ツッコミどころと疑問が満載の記事である。
まず第1、記事のリードにいきなり「県外での知名度向上や観光客誘致につなげるのが狙い」とあるが、そんな狙いの情報誌4万部を全部「自分たちの市内に配布する」のでは、どう考えても観光客誘致戦略じゃない。だって、「来てもらいたい人(市外、県外からの観光客)」に渡らないんだもの。あるいは「ホームページでも公開するから県外客にも伝わる」と言うのなら、「4万部を市内に配布する」という印刷媒体なんかやめて、ホームページだけにすればいいんだから。
また、編集面でも「両市の観光名所や文化施設、偉人などを紹介する」なんかは「大して集客力のない既存情報」に過ぎないから、そんな「差別化された付加価値」のない情報を紹介しても新たな効果はほとんどない。さらに、「病院情報」に至っては観光情報ですらないから、「県外での知名度向上や観光客誘致」に有効な情報であるわけがない。従って、もし「県外での知名度向上や観光客誘致につなげる事業会議」の席でこんなプランが出てきたら、私がトップなら「真面目に考えろ」の一言で却下である。
すると、この「観光名所や文化施設、偉人、病院情報などを掲載した情報誌を両市の全世帯に配布する」という事業は、もし事業主体者が正気であれば、「県外での知名度向上や観光客誘致につなげるのが狙い」ではないと考えるべきである。事実、記事によるとさぬき市長も東温市長も「両市の連携や交流に期待している」という内容のコメントしかしていないじゃないですか。
すると、その両市長のコメントが正しいとすれば、それを冒頭のリード文で「県外での知名度向上や観光客誘致につなげるのが狙い」と書くのは、マーケティングの基本中の基本が全くわかっていない、支離滅裂な記事になってしまう。あるいは、もし両市長が冒頭のリードにあるように本当に「県外での知名度向上や観光客誘致につなげるのが狙い」と言ったのであれば、両市長の観光戦略が支離滅裂だという話になる。ま、どっちがどうなのかこの記事では全くわからないが、その「どっちがどうなのか」がわからないから、「この事業は一体何が目的なのか?」がよくわからないのである。
次に第2、「両市の負担はゼロに抑える」とあるが、では、出版会社サイネックスとやらは、一体何の勝算があってこの事業を受けたのか? 「ボランティアだ」とはどこにも書いてないから、当然何らかのビジネスになっているはずだけど、ではどこでどうビジネスにしているのか?
私がサイネックスの社長だったとすると、
・自分たちに馴染みのない「香川県さぬき市」と「愛媛県東温市」だけの平凡な観光情報と病院情報を載せた情報誌を発行する。 ・すべて無料配布なので、販売収入はない。 ・収入は広告収入だけである。「両市の負担はゼロに抑える」ということだから、行政からの補助は見込めない。 ・「A4判90ページ、オールカラーで4万部の情報誌」を作るとなれば、まともに計算すれば印刷代だけで300万円くらい、デザインに100万円くらい、取材編集にも100万円くらい、その他諸経費を合わせた上でビジネスとして20%以上の粗利を出そうとすれば700万円レベルの広告収入を上げる必要があると思われるが、その広告のクライアントは「小さな両市内の事業者がほとんど」である。
という条件の事業計画が上がってくれば、あまりにリスキーなのでたぶん却下する。あるいは、何らかの理由で「両市の負担がゼロでも利益が出る」可能性が高いのであれば、両市の動向に関係なく、勝手に自分で事業展開する。
でも実際は、この会社はこの事業(ビジネス)を受け、さぬき市と東温市は「費用負担はしないけど、事業協定を結んで記者発表をしている」のである。うーん、事業の目的もお金等の関係性も、疑問と矛盾がいっぱいでよくわからんなあ。記者の方はわかっているのだろうか。もしわかってるんだったら、もっとわかるように書いていただきたいのだが。
あと、「異なる都道府県の市町村が一つの情報誌を発行するのは全国初という」とあるが、普通に考えたらそんなマーケティング的に意味不明なことはどこもやらないから、まともならそりゃ全国に例なんかないでしょう(笑)。
とにかく、行政やいろんな団体等のやる「地域活性化」とか「観光プロモーション」とかは今、マーケティングの基本を見失っているものがあふれている。それを、マスコミも一緒になって基本を見失って煽っているような気がしてならない。全国では森友学園や加計学園の報道で「基本を見失ったマスコミの暴走」が手に終えなくなっているが、もうマスコミに期待できないとなると、私らが気を確かに持っておかしな風潮に流されないようにするしかないのだが…。
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2017年7月22日(土)
体調が90%ぐらい回復したので、退院後初めての『うどラヂ』収録に行ったら、ごんとH谷川君から思いがけない指摘を受けた。
ごん「団長が入院したいうのを聞いて、失礼ながら、もし万が一そのまま団長がポックリ逝ったらどうなるかと思ったんですよ」 田尾「ほんまに失礼なやっちゃな」 ごん「でね、もしポックリ逝ったら、たぶんいろんなところから『うどんの食べ過ぎが原因』って言われますよ」 H谷「絶対言われます」 ごん「すると、讃岐うどん界にとってとてつもない逆風が吹き始めることは間違いない」 田尾「すると、俺は勝手に死んだらいかんということか!」 H谷「そうですよ。団長だけの話でなくなりますから」 田尾「俺はえらいもん背負っとるわけか…」 ごん「ほんまに、頼みますよ」
まいったな。しかし、私ももういつまでも中年でないからなあ…(「もういつまでも若くない」などという局面はとっくに過ぎているので・笑)
田尾「よし、じゃあこうしよう。もし俺がポックリ逝ったら、君たちは俺が死んだことを10年ぐらいひた隠しにしておく」 ごん「武田信玄の3倍ですか!」 田尾「死せる孔明、生ける仲達を走らすじゃ」 ごん「誰が走るんですか」
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しかし、人間の体というのは頑張るのである。
田尾「私が即入院を宣告された時、血液検査で白血球が通常3000とか5000のところ、2万数千になっていたらしい」 ごん「何かわからんけど、ひえ〜、ですね」 田尾「これはどういうことかというと、通常3000とか5000の白血球防衛軍が表で警備に当たっているところへ、敵のウイルスが攻撃を仕掛けてきたら、後方から2万の防衛軍が出動して敵と戦い始めたということや。その激しい戦闘が39度の熱となって出てきた」 ごん「なるほど」 田尾「そこへさらに、外部から『点滴軍』が投入されて、ついに敵のウイルス軍を撃退したと」 ごん「全く、そういうことでしょうね」 田尾「俺は改めて、2万5000の防衛軍を保持していてよかったと思ったね。さらに、外部点滴軍と軍事同盟を結んでいたので助かった。これがもし、『白血球防衛軍を保持しているから戦闘が起こったんだ。白血球軍を放棄し、敵ウイルスが攻めてきても話し合いで解決すべきだ』とかやってたら、今頃敵に占領されて一巻の終わりになってたところや」 ごん「ま、ツッコミどころ満載の例えですけど(笑)」
などという冗談も出るほどの今日この頃です。退院後の初うどんは「がもう」でした。いつもは「大と天ぷら2つ」食べているのだが、
田尾「病み上がりやけん、小と天ぷら1つにするわ。けど、先週入院で来てなかったから、2週分ということで、その倍で」 ガモ「いつもと一緒ですやん!」
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2017年7月16日(日)
先週の日曜日、朝からちょっと体調が悪くなったのである。素人診断で何となく「結石」絡みのような気がしたので、「早よ流してしまおう」と思って水やお茶をいつも以上に飲んでいたのだが、翌日月曜になっても状況はちっとも好転しない。そこで、月曜の午前中に入っていた用事を一つ済ませて、午後1時半頃、病院(以前、結石で緊急処置をしてくれた病院)に行ったのである。
そしたら、玄関が閉まっていた。表の診療日時の表示を見ると、「午後の診療は午後2時30分から」とある。そうか、昼休みか。
そこで改めて2時半に出直して行ったら、あれ? やっぱり玄関が閉まっとるでないか。ん? 貼り紙があるぞ。近寄って読んでみると…なになに?…「(昨日と今日だけ)院長が出張で診察できない」って、病院まで臨時休業に当たるんかい!
***
私は翌日から授業ラッシュなので、何とか今日中に病院で見てもらおうと思って、すぐさまそこから一番近い大きい病院に行った。受付で体調を詳細に伝えたら、「内科か、結石だったら泌尿器科ですけど、どっちも午後は手術やら何やらでびっしり埋まっていて、今から診察を受けるのは難しいかもしれません。手術の合間に診てもらえるかどうか、ちょっと調べてみます」と言われた。
それから20分ぐらい待たされた後、看護士か何かのおばさんがやってきて、「診られるとしても1時間後になるか2時間後になるかわからないので、急ぎなら近くの○○病院に行った方がいいと思います」と言われた。何としても今日中に診てもらいたいと思っていた私は、すぐさま紹介されたその病院に行った。
その病院で内科の診察室に入った時には、もう午後4時前になっていた。ところが、出てきた内科の医者に私が「熱がある、頭痛がだんだん激しくなってきた、排尿時に以前結石が下りてきた時とよく似た痛みがあるが、素人の印象だからよくわからない」等々の状況を説明すると、医者がニベもなく「うちには泌尿器科がないから診察できない」と言ったのである。
診てくれないのなら仕方がない。私はそのままその病院を出て、ダメモトで「インシュリン分泌不全」で3ヵ月に1回ぐらい通い続けているなじみの病院に突撃した。
***
午後4時30分、なじみの病院に行くと、もう午後の診察受付時間は終わっていたが、親切な受付の人や看護士さんが手の空いている医者をいろいろ捜してくれた。でも、内科の先生も泌尿器科の先生も誰も空いている人がいないという。
そうこうしているうちに、もう5時20分ぐらいになってしまった。私は、「もう迷惑掛かるから帰ります」と言った。それでも、看護士のおばさんが「もうちょっと待って」と言って私を引き留めて、それから10分くらい経って「5時半の脳外科の先生が当直で来るんやけど、頭痛だけでも診てもらう?」と言ってきた。私はワラにもすがりたい思いだったので、待つことにした。
そしてようやく午後5時半、脳外科の先生の診察室に入りました。先生は私の状況説明を聞いた後、「とりあえず、血液検査しましょう。あと、もし時間が大丈夫なら、脳のMRIとレントゲンとCTも撮って調べてみますか?」と言ってきたので、どうせならこの際全部調べとこうと思って、全部やってもらった。それから、検査結果が出るまで、診察台に横になって点滴を受けていたのである。
30分ぐらい点滴をしていると、どうやらカーテンの向こうの方に先生がやってきたらしくて、看護士に何かを説明した後、誰かと電話を始めた。内容はほとんど聴き取れないのだが、途中で「田尾さん」という言葉が聞こえ、「2万…」云々の数字が聞こえ、何やらイヤな予感がし始めたと思ったら、先生がこっちにやって来て言った。
先生「田尾さん、今から入院できる?」 田尾「へ?」
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というわけで、まあ何やかんやありまして、この週は四国学院に来て初めて「1週間の授業、全部休講」にして、入院しておりました。途中、「ダート1800mで2ケタ着順の馬の上がりタイム」ぐらいの体温が3日ぐらい続き、何度も「子供は自立しとるから何とかなるだろう。家内は、あんな額の貯金じゃ厳しいのは明白であるが、まあどないかするだろう(笑)。あと、私の身の回りに残してマズイものは………よし、何もないから大丈夫(笑)」とか考えたりしましたけど(笑)、金曜日の朝から奇跡の回復を見せ、何とか帰還してしまいました。
入院中の小ネタもちゃんと採集してありますが、いずれ機会があれば小出しにするとして、今日は一つだけ。
ある日の朝、病院で朝食を摂った後、食事を下げに来た真面目そうでおとなしそうでちょっとおどおどした感じの若い兄ちゃんが、こう言いました。
「失礼します。ご飯の方、お下げになってもよろしいでしょうか」
私はすぐさま笑いを交えながら「日本語の文法と敬語」のレクチャーをしてやろうと思ったけど、何せ熱がダート1800mの上がりタイムだからその気力もなく、
「あ、お願いします」
と言って帰してしまったのが悔やまれる。誰か、ちゃんと教えてやってください(笑)。
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2017年7月6日(木)
火曜日の「さぬき文化論」の授業で「うどん」の映像を見せたら、辛抱たまらなくなった学生が2人、「うどん食べに連れて行ってください」と懇願してきたのである。1人は青森から来た1年生O田、もう一人は青森よりは近いが三木町に住んでいた1年生F川(近いわ)。
そこで昨日の水曜日、11時から1時くらいまでの2時間だけ時間が空いたので、「行くぞ」ということになったのである。しかし、O田もF川も一応女子なので、女子2人だけを連れて行くというのは例え行き先がうどん屋であろうと私的には御法度なので、教育の一環としてのうどん屋体験の教育補助ということでチンペイ君に同行してもらって、教育の一環なので道中の車内で「讃岐うどんの何たるか、がもうの何たるか」をレクチャーしながら、4人で雨の中をがもうへ行った。
で、ガモムス兄弟に「教育の一環で学生を連れてきた」旨を伝えて、いずれも「がもうは初めて」という3人があまりの旨さに感激するのを見ながら私もかけ+あげを食べて、今日は教育の一環なので(もうええっちゅうに)「時間いっぱいまで、あと2軒行くぞ」言うてただちに「山とも」へ行ってひやひやを食べ、
田尾「よし、最後は釜あげのつけダシの最高峰の店へ行く。腹一杯でもう食えん、言うてたやつがお代わりまでしたというぐらいの釜あげじゃ」
いうて車内で全員テンションMAXになって「香の香」に行ったら定休日だったという、チンペイに「田尾先生、ほんとに定休日に当たるんですね」と感動させた昼休みであった。
***
で、午後にインタレストの授業をやって、夕方、予約を入れてあった歯医者に行ったのだが、待合席に座った時、直前の歯磨きをしてないことに気付いた。もちろん朝はちゃんと歯磨きをしているのだが、もう夕方だし、途中でうどん食ってるし…と思いながら待っていると、名前を呼ばれて治療室に案内されてしまった。そこで助手のお姉さんから「痛みはどうですか?」と聞かれたので、私は歯磨きをしていないことをちょっとひねってジョークで伝えようとして、
田尾「痛みは治まりました。治まったんですけど、昼にうどん食ったまま来たんで、歯にネギが挟まってるかもしれん…」
と言って、その場が軽い笑いに包まれるのを待っていたら、お姉さんは表情一つ変えずに、
姉さん「口をゆすいでください」
と言いました。私はジョークをスルーされた痛手を癒すために、「こういうお姉さんこそが信頼できる人だ」と自分に言い聞かせました。昨日はそういう一日でした。
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