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2017年10月の日記
2017年10月25日(水)

 昨日一日、プチ油断モードで考えを巡らせていたら、突然何かが降りてきて、1月10日までに越えないといけない三山のうちの1つの「インタレストの第二特集」の完成予想図が一気に組み上がった。故・桂枝雀師匠がよく言っていた「緊張と緩和」の真意のたぶん一部を体感したような気がする。今思えば、当時は「緊張と緩和」の「言葉の意味」はわかっていても「実感」として捉えられていなかったのだけれど、こういう小さな実感をちょっとずつ積み重ねながら、おそらく師匠の言葉の真意であろうレベルを10とすると、何となく4か5くらいまで到達しつつあるのではないかと自分では思っておこう(笑)。

 そういうわけで、じゃあ選挙つながりで(もうええか)、希望の党の議員たちが議員懇談会で小池さんに「比例代表の名簿リストが理不尽だ」というクレームをつけていたという話を受けて、10年ぐらい前にここで書いた私の意見を再掲。

***

 比例代表制というのは説明するまでもなく、要するに「政党支持者の一票をなるべく死に票にしないために、立候補者個人ではなく支持する政党に投票する。政党は比例代表の名簿を作り、その獲得票数に応じて名簿上位の議員から当選者を決める」という仕組みであるが、その代わり、

・党内においては、「名簿の順番」で揉め事が起きることが結構ある。
・有権者にしてみれば、「政党を支持はしたけど、あんな奴が議員になるのか。選挙区で落ちたのに、あんなもので復活当選になるのか」という不満が結構出てくる。

というデメリットがある…というのが一般的によく言われていることである。

 じゃあ、比例代表は各政党に対し、得票数に応じて「議員数」を与えるのではなく、「議決権」だけを与えればいいじゃないか、というのが私の意見である。

 例えば、比例代表で3人当選分の票を獲得した政党があれば、その政党は名簿から3人を当選させるのではなく、国会で3人分の議決権を与える。そして、国会で議決があるたびに、政党内で「その3票をどう使うか」を決めればいいじゃないかと。すると、「死に票」の多くは救われるし、「選挙区で支持されなかった候補者がゾンビのように復活する」なんてこともなくなるし。それで困るのは「選挙区で落ちても比例で救われるような議員」だけじゃないですか? もし、「それで有能な議員が議席を失うと、政党として困る」という政党があるなら、それは「議員」としてではなく、政党のお金で「ブレーン」として雇えばすむことでしょう。

 まあ、比例代表を「議員」ではなくて「議決権」の付与にするという仕組みを提案なんかすれば、いろんな反対意見(私に言わせれば反対のための言い訳)が噴出するでしょうが、それらを組み入れて多少修正したとしても、今の比例代表制よりはかなりマシなシステムになると思うのですが。

***

 などというまたいらんことを書きながら「インタレスト」の第三特集の情報収集チェックをしていたら、恐れていたことが発覚しました。学生たちが夏休みの間に手分けして集めた膨大な量のデータに、やり直しの恐れがあるレベルの不備があることが判明!(一斉に「またかい!」のツッコミよろしく・笑) そういうわけで、笠井ー(編集長)、今週の土日、どっかの図書館にカンヅメになるかもしれんぞー。
2017年10月24日(火)

 ふー、一山越えた。あと、年内に七山、そのうち11月10日頃までに三山越えないといけないが、とりあえず久しぶりの一息なので、明日の昼までプチ油断しよう。さて、何から行きますか。じゃあ、選挙つながりで「一票の格差」とやらについての雑感をひとつ。

***

 新聞によりますと(「ウィークエンダー」風に…古いなあ)、

「1票の格差」が最大1.98倍となった今回の衆院選は投票価値の平等を求める憲法に反するとして、弁護士グループが23日、全国14の高裁・高裁支部に選挙無効を求めて一斉提訴した。今回は小選挙区制が導入された1996年以降、初めて最大格差が2倍未満に縮小しており、司法の判断が注目される。

 とのことですが、この弁護士グループの方々は「選挙を無効」にして、結局、最終的に何をどうしろとおっしゃっているのでしょうか。たぶん、とどのつまりは「一票の格差をゼロにしろ」と言っているのだと思いますが(そう言っているのを確かに聞きました)、では「具体的にそれはどういう選挙になるのか?」ということをちょっと考えてみました。

***

 私の考える限り、「一票の格差をゼロにする」ためには、方法はたぶん2つしかありません。

 まず1つ目は、選挙区も比例代表も全部やめて「全国区」一本にし、得票数の多い候補者から順に当選させるという方法。これなら、全員の一票が全て同じ価値を持つことになりますから、「一票の格差」はゼロになりますね。

 ただし、それをやると有権者はおそらく全国から立候補した1000人以上の候補者の中から1人を選ぶことになりますから、どうにもまともに選びようがなくなる。また、候補者も全国に選挙活動を展開しないといけなくなるから、アホみたいに金がかかる選挙になる。さらに、知名度勝負になるとタレント議員ばっかり当選するようになる…等々、とてもまともな選挙になるとは思えません。

 次に2つ目は、議員定数を例えば「25万人に1人(それで議員総数が400人ぐらいになる)」ときっちり決めて、選挙区をきっちり25万人ごとに区切るという方法。これも文句なしに「一票の格差」はゼロになりますね。

 ただし、そうすると選挙区は都道府県単位には絶対になりません。県境周辺では必ず「隣の県の選挙区」に入ってしまう有権者が出ますし、とにかくきっちり25万人で区切っていくわけですから、「お隣さんが違う選挙区」とか、中には「同じ家族の中で選挙区が分かれる」という事態も出てくるかもしれません。聞くところによると、アメリカのどこかの州ではそれに近い方法で区割りをしているそうですが、文化の違う日本ではどうもなじめそうにないから、これもちょっと非現実的ではないかと思います。

 しかしとにかく、「一票の格差をゼロにする」方法は、たぶんこの2つしかないわけです。すると、件の弁護士グループの方々は、今回の提訴で当然「選挙を全国区一本にすべきだ」、あるいは「都道府県市町村の行政区域に関係なく、きっちり人口割りした選挙区を区切って選挙をするべきだ」という主張をセットで提案しないといけないでしょう。

 でも、私の見聞きした限り、そんなことには全く触れずに「一票の格差があるのは違憲だから、選挙を無効にしろ」と主張している。それは、極論すれば「民主主義を破壊しようとしている」と言われても仕方がないと思いますよ。だって、上記2つの方法は今の日本では現実的にほぼ不可能なのに、その不可能なことができない選挙を全部「無効にしろ」と言ったら、「全ての選挙を無効にし、有効にする方法もない」、つまり、実質的に「日本で選挙自体を否定する」ことになるんだから。

***

 結局、国政選挙は30人ぐらいで選ぶ学級委員の選挙じゃないんですから、「現実的に日本の国政選挙で一票の格差をゼロにすることは無理だ」ということを、いい加減にみんな認めないといけないと思います。

 繰り返しますが、「選挙の無効」を求めて提訴して、「じゃあどうすればいいんですか?」と問えば、無効にした後のことは一言も言わない。ということは、「あとの方法は国が考えろ」ということですか? それはある種、

「このままで済むと思うなよ」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
「誠意を見せてくれればいいんだよ」
「誠意とは、具体的にどういうことですか?」
「あんたが一番よく知ってるだろ。自分で考えな」

みたいな話とよく似たイチャモンではないか? と思った次第ですが。私にも知り合いの弁護士がいますが、あの提訴グループに入っていないことを信じてますよ(笑)。
2017年10月20日(金)

 「整合性の取れた実行計画を伴う政策を見て投票する」という私の判断基準からするとどうでもいい話なんだけど、投票のために政党や個人の「整合性の取れた実行計画を伴う政策」をいろいろ探していると(未だに野党側からはほとんど見つからないけど・笑)、新聞やテレビやネットの中でやたらと「希望の党は小池氏の『民進党左派を排除する』という発言が影響して失速している」という記事が出てくるので一言。

 政党が政策を掲げて実行するために「志を同じくする者を集める。志の違うものは入れない」というのは、当たり前のことだと思うんですが。政党だろうが会社だろうが何だろうが、「何かの目的を持ってそれを達成しようとする組織」なら、自分たちの組織の目的に反する者は、普通、排除するのが常識ですよ。

 それなのに、「一貫してぶれずにこれまでと同じことをやり通す」と主張する立憲民主党は評価して、「一貫してぶれずに自党の政策を実行するために、根本的に目指すものが違う者は受け入れない」と主張する希望の党を非難する、というロジックが、私にはよくわからない。まあ、いろんな言い分があるんでしょうけど、「整合性の取れた実行計画を伴う政策を見て投票する」という観点からすれば、それはただの「好き嫌い」の話だと思うので、私の投票判断には全く関係ないということで。

***

 で、今日は「内部留保」の話です。今年の9月に財務省が全国3万社あまりの企業の決算書データを元に「2016年度の企業の利益剰余金が初めて400兆円を超えて過去最高となった」と発表したのを受けて、希望の党の小池さんが「企業が莫大な金を貯め込んでいる。これに課税する内部留保税を導入すべきだ」みたいなことを言っていました。

 ちなみに、10年ぐらい前にも、共同通信社が日本の上位30社だったか50社だったかの決算書の「利益剰余金」の額を合計して、「何十兆円も貯め込んでいる! 給料に回すべきだ」という記事を全国の地方紙に配信し(四国新聞にも大きく掲載されました)、それを共産党や社民党が取り上げて国会で喚いていたことがありました。そして今回も、おそらく小池さんの主張を受けて、つい数日前に産経新聞が「内部留保、成長投資に活用を」という見出しで同様の記事を載せ、注釈として「内部留保とは、貸借対照表では『利益剰余金』として計上される」と書いていたのです。

 しかし、10年ぐらい前のあの時にも指摘しましたが、決算書分析の基本知識として、企業の決算書の中にある「利益剰余金」は、「企業が貯め込んで持っている現金」とは全く違います。だから、「利益剰余金」を見て「企業がお金を貯め込んでいる」と主張するのは、零細ながら社長をやって決算書を経営的視点で見続けてきた私に言わせれば、「全く無知で、根本的に間違っている」と言わざるを得ないのです。というか、「根本的に間違っている」と断言します。

***

 面倒だけど簡単に説明すると、企業の決算書の中の「貸借対照表(バランスシート)」は大きく左右に2つに分けられた表で、表の右側が「負債の部」、左側が「資産の部」となっています。

 まず、右側の「負債の部」の主な項目は、
・借入金
・資本金
・利益剰余金
・その他(買掛金とか細かい項目がたくさん)
です。ここ、大きな分類名として「負債の部」となっているので、一瞬「何で資本金や利益剰余金が「負債」なの?」と勘違いするのですが、要するに貸借対照表の右側は「企業が使えるお金の累計」のことです(私はここの「負債の部」という名称は一般的に紛らわしいので変えた方がいいと思っていますが)。

 例えば、「借入金」は銀行から企業にお金が入ってくるわけですから、キャッシュの「イン」で「企業が使えるお金」ですね。「資本金」も株主が企業に出した(投資した)お金ですから、「企業が使えるお金」ですね。「利益剰余金」は、企業が売上から原価や販売管理費(人件費から地代家賃、法定福利費=企業が社員の年金や保険料の半分くらいを負担するお金等、福利厚生費、光熱費、広告宣伝費…等々、会社を運営していくためにかかるお金の全て)、税金(法人税等)、株主への配当などを全部引いて最後に自社に残したお金ですから、これも「企業が使えるお金」です。

 次に、左側の「資産の部」の主な項目は、
・固定資産(土地、建物、車両や工具等の大型備品など)
・投資(会社が買った有価証券など)
・その他(売掛金とか細かい項目がたくさん。その中に、今のところ何にも使われていないお金が「現金・預金」という項目で書かれている)
です。

 つまり、経営的に見れば、

●貸借対照表の右側(負債の部)は、「企業が使えるお金」
●貸借対照表の左側(資産の部)は、「そのお金の使い途」

だというのが、貸借対照表の一番簡単な見方です。だから、「負債の部」と「資産の部」の合計はピッタリ同じになっている。つまりバランスがとれているので、貸借対照表のことを「バランスシート」と呼ぶわけです。ここまでが、前段。

***

 さて、この基本的な貸借対照表の各項目を見ると、今話題になっている「内部留保」、すなわち「会社が貯め込んでいるお金」とはどの項目を指すのか? そんなの、誰が見ても貸借対照表の左側(資産の部)の中にある「現金・預金」であることは明白ですね。これが「今のところ何にも使われていないお金」なんですから。マスコミ等で当たり前のように説明されている「利益剰余金」は、貸借対照表の右側ですから、絶対に「今のところ何にも使われていないお金」じゃありません。

 繰り返しますが、右側は「使えるお金」で、そのお金を「こう使いました」というのが左側で、その結果、「今のところ何にも使われていないお金」が左側に「現金・預金」として書かれているのです。従って、マスコミが「人件費や設備投資に使え」と言っている「企業が貯め込んでいるお金」なるものは、「現金・預金」の項目に書かれているお金です。

 なのに、みんな右側に書かれている「利益剰余金」を足して「こんなに貯め込んでいる」と騒いでいるとは…申し訳ないけど、「アホですか」としか言いようがないのですが(笑)。

***

 ちなみに、「2016年度の企業の利益剰余金が初めて400兆円を超えて過去最高となった」というのは、当たり前の話です。貸借対照表は「その年の成績」ではなくて「会社設立以来の累計」です(その年の成績は「損益計算書」で表される)。従って、会社が利益を出して存続している限り、どこの会社も「利益剰余金」は毎年累積されて増えていくのです。それに合わせて、「使い途」である左側の「資産の部」の各項目の金額も、累計だから当然増えていきます。

 ただし、「現金・預金」の項目の金額は、基本的にどんどん増えていくことはありません。なぜなら、会社は大多数の家庭と違って「貯金をすること」が目的ではなくて、「会社を継続し、発展すること」が目的なので、ここには基本的に「会社運営でキャッシュがショートして倒産しないための最低限のお金」しか置かないからです。

 従って、企業によって度合いは違うでしょうが、全国の上位3万社の「利益剰余金」の合計が400兆円なら、企業が貯め込んでいる「現金・預金」は桁違いに少ない上、どんどん増えてもいないはずです。しかも、そのお金は「貯め込んでいる」のではなくて、実質的に「最低限運営に必要なお金」です。だから、貸借対照表の「利益剰余金」の項目を見て、「こんなに増えている! 企業が貯め込んでいる!」と騒ぐのは根本的に間違っている、と断言するわけです。

 まあ、私は会計のプロではないから、細かい会計技術の知識的には微細な齟齬があるかもしれませんけど、経営者的なバランスシートの見方としては、基本的な認識は間違ってないと思います。間違ってないよな? 貸借対照表の「利益剰余金」は「今、貯め込んでいるお金ではない」…、こんな基本的なこと、絶対間違ってないわ(笑)。

 …という、また「マスコミの流す情報を鵜呑みにしてはいけない」という話をしてしまいました。近年、タウン情報時代の私を知る方々(たいてい先輩か年長者かエライ人)から「田尾は政治や経済や社会に物申すのはいかがなものかと思う。昔みたいにおもろいことばっかり書いてた方がお前らしい」と言われることがあるのですが(笑)、すんません、私もあれからちょっと大人になったので、自分の言動には自分で責任をとりますので、ちょっとだけ勘弁してください。ピーマンも2カケぐらい食べられるようになりましたので(笑)。
2017年10月19日(木)

 もう投票日直前だというのに、何かと話題の野党から「整合性の取れた実行計画を伴う政策」が全然出てこんなあ。私は「日本の民主主義が成熟していくためには、健全な政権交代が何度も繰り返されていく方がいい」と思っているから、しっかりした野党が出てくることはいつも期待しているんだけど、今日の時点では、まだ私が投票を検討するような野党が一つもない。

 例えば、希望の党は政策を決めて実行するべき首脳陣(会社で言えば社長と役員)すら固まってないから(社長的立場の小池さんは党の議員ですらないし)「役員会」すら機能してなくて、とても政策を立案して実行計画書を作って実行するという組織(政党)になってない。だから、いろいろ調べても「スローガン」のような政策もどき(合理的な実行計画書がついていない政策なんか「ただ言っているだけ」に等しいから、そんなものには私は騙されないぞ・笑)と与党批判しか出てこないので、「あの政党はもし政権を獲ったら何をどうやって実現するのか? それは合理的に可能なのか? それをやって国民の生命と財産がどう守られるのか?」の検討のしようがない。

 あるいは、立憲民主党は「一貫してぶれない政党だ」というのを旗頭に掲げて人気を集めているようだけど、枝野さんをはじめとする首脳陣が「一貫してぶれない」ということは、普通に考えれば、政権を獲ったら「あの惨憺たる民主党政権時の政策や国民の支持をどんどん失い続けた民進党の体たらくと同じことを一貫してやり続ける」ということですよね。

 もしそうじゃないんだったら、「民主党時代の失敗の原因は、これとこれとこれだった。民進党時代の体たらくの原因は、これとこれだった。従って、同じ轍を踏まないように、新生立憲民主党はかつての民主党、民進党時代のこういうところを改め、今度は失敗しないようにこういう実行戦略でやる」という「整合性の取れた政策実行計画」を提示してくれればいいのだけど、未だにそれが全然出てこんということは、立憲民主党は、かつての民主党の「原理主義政党」だと言わざるを得ないと思う。まあ、かつての民主党政治を支持するなら、政策も実行計画もはっきりしてわかりやすいからいいんだけど。

 あと、維新の会は他の野党より「役員会」がちょっと機能しているように見えるから政策らしきものも少しは読み取れるような気もするけど、やっぱり「整合性の取れた実行計画書」が私には今ひとつ見えない。あとの共産党とか社民党は「目指している国の姿」が根本的に違うと思うので、私には怖すぎて投票できない。加えて、「現行憲法を一字一句たりとも変えない、死守する」なんて、「日本国民の生命と財産」より「憲法」を守ることを優先しているとしか思えないし、大体、憲法には「憲法改正の手続き」が書かれているのに「変えてはならない、発議することも検討することも許さない(つまり、国民に投票させてはならない)」ということこそ憲法に反すると思うんだけど。

 でも、与党の自民党も公明党も今の政策と実行計画書と実行実績はとてもベストだとは思えないから、正攻法で「整合性の取れた実行計画を伴う政策」を打ち出す野党が出てくれば、私は本当に期待するんですけどねえ。まあ、投票に行くまであと1日ぐらい、野党から何か検討に値するプレゼンテーションが出てくるのを待つことにします(出てくる気がしないけど)。

***

 それにしても、民進党から希望の党に移った人は「ぶれるやつは信用できない」とかいってずいぶん非難されていますね。あれ、どういう例えをしたらいいのかな。日産の社員が「うちの会社では先が見えない」と言ってトヨタに再就職するみたいなもの? でも、日産の役員クラスがトヨタに行ったら「裏切り者」とか言われるかも知れないけど、社員は打算で動いてもあんまり非難されないような。でも、国会議員だけは「ヒラだろうが若かろうが、一旦入った政党からヨソに移るのはけしからん」となるみたいで、何というか、お気の毒さまです(笑)。なんか、例えがずれているような気もするけど、ずれてないところもあるような気もする…。どうでしょう。私は特に経験の浅い人やヒラの人が「考えを改めて違う職場で何かを目指す」というのは、そこに打算があろうがなかろうが、「100%問題なし」とは言わないけど、「100%非難されるもの」でもない、少なくとも投票判断の最優先項目ではない、と思っていますけど。

 ちなみにこないだ、ある奥様方から「学校の体育館とかが投票所になってると、駐車場が運動場だから、雨が降ったらドロンコになって靴が汚れるし、そのまま車に乗るから車の床も泥だらけになるの。だから、投票日に雨が降りそうだったら、市役所とかのドロンコにならない所に期日前投票に行くの」という話を聞きました(笑)。なるほどなあ、期日前投票をする人の数が増えた、減った、という話の裏にはそんな理由もあるんだ。まあ、そんな人がどれくらいいるのか知らないけど…などと書いていたら、仕事が全然終わらんのにまた日付が変わろうとしている。どうしよう。
2017年10月16日(月)

 「インタレスト」の締切前作業に苦しんでいるというのに、夕方から選挙カーがうるさい。ほんとにいつも思うんですが、あの「候補者名の連呼」を聞いて「おお、あの人に入れよう」と思う人っているんですかねえ。ちなみに私は「連呼で心を動かされる有権者」じゃないので、私には連呼は全く効果がないぞ(笑)。

***

 まあ、思い起こせば20代の頃は「政治家はみんな自分の利益だけを考えて悪いことをするから、私は悪事に加担したくない」と言って投票に行かないという、今思えば有権者としてあまりに考え不足だった時代もあったし、40代になっても「うるさい連呼を聞いた候補者には絶対入れない」という情けないことを言っていたこともありましたが、50代になってようやく「政治は政党がやるんだ」という真っ当なロジックに到達して、ようやく自分なりに「雑音に流されない投票行動」ができるようになりました。

 つまり、どこかの政党が政権を獲ったら、その政党は当然「党の掲げる政策」を実行に移すわけですね。その時、たいていの場合、党の首脳陣が中心になって具体的な政策を戦略に落とし込んでいき、一方、党内の経験の浅い議員や能力のない議員は戦略立案にはあまり大きく関われず、しかし「裁決の時の頭数(あたまかず)」という役割は果たすことになる…というのが私の大ざっぱな認識です。

 そう考えると、自分の投票判断の材料としては「その政党の掲げる政策」と「政策実行のための戦略」がロジカルに掲げられているかどうかだけを見ればいいので、自分の中で「主張」と「雑音」の区別がつくようになって、新聞やテレビやネットの中の選挙解説や識者のコメントなんかに全然影響されなくなるわけです。

 例えば、「我が党は一貫してぶれない政治をやる」という主張も、「傲慢な安倍一強政治を打倒する!」「安倍政権を許さない!」等の政権攻撃も、「野党は節操がない! あんな政党に政権が任せられますか?」といった野党攻撃も、私には全部ただの雑音になる。すなわち、問題(判断基準)は「一貫してぶれずに何をやるのか?」「政権を打倒して自分たちは何をやるのか?」「野党を潰して自分たちは何をやるのか?」という一点だから、そんなスローガンや主張は「政策」でも「その実行戦略」でもないので全く意味がないからです。

 そもそも、一貫してぶれずに「おかしなこと」をやられたのではたまらないし、政権を打倒して、あるいは野党を潰して「とんでもないこと」をやるような政党にも投票するわけにはいかんでしょう。

 あと、「厳しい戦いの中、命をかけて頑張っております!」とか「どうか、○○をご支援ください!」などという訴えなんか、「そうですか。で、何をやるの?」の一言ですから、「雑音中の雑音」(笑)。

***

 …とかいうふうに区別していると、「党の政策とその実行戦略で判断する」という投票行動をとる者にとっては、選挙演説も選挙カーもポスターもチラシも候補者の握手うんぬんも、つまり今行われている「選挙運動(活動)」なるものはいずれも「実行戦略書を伴わない政策のただの目次のようなもの」なので、ほとんど全てが「雑音」に分類されてしまうことになります。さらに、新聞やテレビの選挙報道等もほとんど「雑音」組になるから、見る必要もなくなる。

 では、「党の政策とその実行戦略」は何を見ればいいのでしょうか? 常識で考えれば、各政党が有権者に「政策と実行計画書」を配布(あるいはネットで公開)してくれればいいのですが、恐るべきことに、今の公職選挙法では「政策の目次」程度しか認められておらず、本気で「政策と実行計画書」を有権者に届けようとすると選挙違反になる! 政党が相手を攻撃する時によく「有権者をバカにしている」と言いますが、私に言わせれば、一番有権者をバカにしているのは「公職選挙法」じゃないかと思いますが(笑)。

 そういうわけで、とにかく誰も有権者に「各政党の実行計画書のついた政策」を見せてくれないので、私はそれぞれの政党の首脳陣の顔ぶれ(政権を獲ればその人たちが中心になって政策を実行するわけですから)と、それぞれの政党の過去の実績(政策実行能力)から判断するしかない。日本人は過去の出来事をすぐに忘れると言われる上、何かと物忘れをする年頃にもなってきたので、私はとりあえず、選挙のたびに「各政党が過去に何をやってきたか」と「今の首脳陣のメンタリティが変わってきているのか、あるいは変わってないのか」だけはきちんとチェックするようにしています。

***

 しかしまあ、わかったふうに(讃岐弁で言えば「りこげに」・笑)言うておりますが、冒頭で白状したように、浅はかながらこういう考え(正しいかどうか、異論も出るでしょうけど)に至るまでに何十年もかかっちゃって(笑)。そういう自分の過去を見る限り、一般論としては「やっぱり20代や30代の考えは浅はかやなあ」と思う次第です。私なんか、40代の頃の言動すら、今思えばちょっと恥ずかしいもの。

 でも、今回も選挙権は18歳からなんですよね。前回の選挙前、どこかの高校で先生がレクチャーした後で生徒に各政党の主張を選ばせたら「社民党の主張が一番の支持を集めた」という話を何かの記事で読んだ気がしますが、「政策」というものは「ロジカルに実行可能な戦略」とセットで考える習慣を付けた方がいいと思います…と、こんなことを書いている場合ではないのに、もう午前1時45分(泣)。
2017年10月7日(土)

 金曜日の夜から土曜日の昼前まで、久しぶりに目が腐るほど寝たのに、どうも寝過ぎて今日は一日中体調が悪かったという、「どないやっちゅうねん」という一日であった。ちなみに今日は、

7:30 起床。顔を洗って歯を磨いて新聞読んで…
8:30 二度寝。
11:20 再起床。
12:00 「泉屋」で肉うどんと赤飯おにぎりを食べる。
12:40 「くつわDo」でパソコン開けて仕事。
14:00 家に帰って仕事の続きをして、「讃岐うどん未来遺産プロジェクト」の原稿10本ほどの整理を完了して、ご担当者方々にメールで送る。
19:00 FM香川にごんとH谷川君と谷本ねえさんとK米ディレクターが集合して、『うどラヂ』の収録を3本。
21:10 家内とアップタウンに行ったら牛乳屋さんとクマさんとナベが来てて、あれやこれやと話してたらそのうち牛乳屋さんとクマさんとナベが帰って、そしたら久しぶりにしんちゃんが来て、引き続き11:30まで話をする。
23:40 帰宅。
24:30 風呂から出て再び仕事開始。

という一日であった。しばらく『インタレスト』の編集作業が止まっているが、日曜日中にあと2〜3本他の仕事を片付けて、月曜日から驚くべき集中力を発揮して『インタレスト』に取りかかるという計画だ。長年の私を知る数人のS原とか和DとかS々木とかGとかG乳屋さんとかは「計画だ」というところに大きな不安を感じるであろうが、私は変わった。今や「有言実行」の男である。事実、2日前に「目が腐るほど寝たい」と公言して、わずか2日後の今日、見事に実行したばかりだ。

 自分で言うてて虚しくなってきたので、今日はここまで。
2017年10月5日(木)

 9月30日から数日間にわたって塗炭の苦しみを続けていた案件が今日ようやく片付いたことは、A藤とごんだけが知っている。しかし、その詳細は公表すべきものではないと判断したので伏せておこう。なら、この書き出しすら伏せておけばよいというものだが、この数日間の私の苦しみの状況を見たA藤の「田尾さん、一生立ち泳ぎやなあ」という名言を、A藤が「日記のネタにして」と言うので(笑)、一応ここに記して歴史に残しておくことにする。

 このあたり、「最低限伝えておくべきものは伝えるが、どんなに人に言いたいことがあっても伏せるべき所はグッと我慢して抑える」という、「反射神経だけで情報発信をしている素人さん」とは違うところを見せておかないと、やせてもプロ(我が家は夫婦で痩せてないが)として失格だから(笑)。

***

 というわけで、後期の授業が始まったある日の出来事である。大学の事務から「田尾先生の指導担当学生の一人が後期の履修登録をまだやってないので、必ず登録するように伝えてください」という連絡が来た。

 その学生は専攻が私のメジャー(分野)ではないので、普段は授業でも滅多に会うこともない学生で(大学もそんな学生を私の指導担当に割り振るなよ)、メールで連絡してもほとんど返事も返ってこないやつである。しかし、事は急を要するので、私は一計を案じて、その学生が専攻しているメジャーの学生がよく集まっている事務室に行って、そこにいた事務担当の子に「○○と連絡取れるか?」と尋ねた。すると、事務の子が「あ、LINEですぐ連絡つくと思いますよ」と言うので、私は「すまんけど、コモンズ(うちの大学の学生課みたいな部署)からこういう連絡が来たから、急いで伝えてくれるか?」と頼んだのである。

 そしたら、隣の部屋で私と事務の子のやり取りを聞いていたらしい別の男子学生が、帽子を被って大きなマスクをしたままわざわざこっちにやって来て、いきなり私に「それ(まだ履修登録してないこと)、あいつ知ってますよ」と言ってきた。

 私は、「だから?」とノドまで出かかって、言葉を飲み込んだ。

 目上の人に帽子とマスクをしたまま話しかけるという失礼さと、「面倒くさいことを事務に頼むなよ」みたいなニオイがちょっとする物言いのせいもあったが、それより、「だから?」である。「知っているから、念のための連絡もしないでいい」と言うのか? あるいは、「俺は『あいつが自分で登録していないことを知っている』ということを知っている」と言いたいだけなのか? 

 まあどういうメンタリティから出た発言なのかよくわからないが、とりあえず私はそいつではなくて事務の子に「知っとっても期限までに登録してないんでは意味がないんじゃ。あいつは去年も別の課題で締切が近いのに出してこんから連絡したら、『わかりました』言うたのに、結局出さずに単位を落としたんや。まあ、すまんけど念のために連絡しといてくれ」と言って、事務の子が「わかりました。すぐ連絡しておきます」と言ったので「よろしくね」と言ってその場を去った。

 それから約30分後、事務の子が「連絡取れました」と報告してきたので、「ありがとう」とお礼を言って、とりあえず「連絡する」という使命は果たしたのである。

 それにしてもあの男子学生の反応、あれも「反射神経」なんやろなあ。何かあるとすぐに、「だから?」も「するとどうなる?」も何も考えずにすぐに反応して言葉に出してしまうという…。ツイッターやLINEでやってるのと同じような反応を口にも出してしまうような子が増えてるんやろか。ようわからんけど、私が会社の社長だったら、ああいう子を自分の会社の名前を背負ってユーザーやクライアントの前に出すのは怖すぎて、とても採用できんわ(笑)。まあ、才能があって、教育したら直る見込みがある子だったらいいんだけど。

 いずれにしろ、タウン誌時代からかれこれ35年ぐらい継続して若い子たちを見てきた私には、彼らの思考や言動の習慣がどんどん変わってきているのがかなり鮮明に感じられるのであるが、さてどうしたものか…と無責任な一言でお茶を濁して今日はもう寝る私。あー、塗炭の苦しみを抜けた今、目が腐るぐらい寝たいのに、頭の中のちっちゃいチンペイが文句言うので夜中になっても日記書きよる(笑)。
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