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2019年05月の日記
2019年5月29日(水)

 ちょっと開いたかな(笑)。

 いや、あれから日記を吹っ切ってみたら、仕事ははかどるわ本は読めるわ人間は穏やかになるわで(笑)、こらええ感じやと思ってこのままフェイドアウトしようかと思っていたのに、インタレスト発刊の告知をこの日記でしかやってなかったことに気がついたので一応業務連絡をせないかん。

 そういうわけで『インタレスト』27号は無事6月1日に発刊できることになりましたので、例によってご希望の方は
●手紙かハガキ…765-8505 香川県善通寺市文京町3-2-1 四国学院大学社会学部情報加工学メジャー「インタレスト編集部」宛て
●eメール…interest@sg-u.ac.jp
でお申し込みいただければと思います。今回は、

<第1特集>香川の観光素材大改造計画「妄想会議」
<第2特集>KAGAWA TORII COLLECTION

の2本立てです。 まず第1特集はインタレスト初のオバカ提案企画で、「できない理由を述べる人たちの声が大きいことが最大のできない理由だ」というメッセージを込めて、でもあまり込めすぎると人間が穏やかにならないので(笑)全体を「カッコ笑い」で包んだ新企画です。項目だけ列挙しますと、

@サンポート〜屋島山上・ロープウェイ計画
A津田の松原・本気の白砂青松計画
B栗林公園・令和の大増築計画
C飯野山・裾野大拡張計画
Dカラフル三角山・大集合計画
Eため池・絶滅危惧種テーマパーク計画
F太古の森・恐竜王国計画
G朝日山森林公園・B級オブジェの殿堂計画

 加えて番外で「うどん県でもっと遊ぼう座談会」をくっつけました。なかなか大バカヤロウなラインナップですが、少々笑えて発想のトレーニングにもなると思いますので、どうぞご期待ください。続いて第2特集の「鳥居コレクション」はおなじみのインタレスト「イナゴ軍団」の人海戦術企画ですが、こっちもかなりぶっ飛んでいますので、人生の役には立ちませんが何かのネタにはなると思います。

 ちなみに、「申し込みがめんどくさいけど読みたい」という方は、6月の第一週くらいでいつものようにインタレスト配布にご協力いただいている人気うどん店のがもう、山越、なかむら、清水屋、大島家をはじめ、たぶん県下10数軒のうどん屋さんに置いて回りますので、取りに行ってうどん一杯食って帰っていただければ幸いです(笑)。

*****

 さて、日記を止めて3週間目ぐらいからT山や和D、U原、A藤、G息、D々あたりから「どしたんですか?」というチェックが入り始めて、「忙しなってちょっと休んどったらえらい仕事がはかどり始めたんで、何かそのままにしとんや(笑)」と返事をしておいたのだが、そのうち『うどラヂ』にまで「日記が長期止まっています」というお便りが来始め、山越の奥さんから「お客さんから田尾さんの何かが止まっとるきんどしたんやいうて聞いとってくれ言われたよ」と言われ、しまいに大学のオープンキャンパスで来場した高校生に授業内容とかの説明をしていたら同席していた親御さんから「ところで、先生の日記が止まってるのは何でですか?」と言われるに至っては、経緯を簡単に説明しておかないわけにはいかない。いや、おかなくても皆さんの人生には何の影響もないとは思うが。

 実は、今年の1月下旬から3月中旬にかけて、創刊以来(ちなみに1982年の『月刊タウン情報かがわ』創刊以来)最大の苦悩を余儀なくされる原稿の締切に追い込まれていたのである。詳細は『うどラヂ』で仕方なくしゃべったが、とにかくそこで思い切って日記を止めて仕事に専念してみたら、ことのほか仕事がはかどることが判明したため(当たり前じゃ)、そのまま仕事に没頭することにしたのである。そして3月20日頃、20年にわたって苦しみ続けて来た重い重いライティングの仕事をついに完了し、この20年で最大の解放感に浸ろうと思ったら、続いて直ちに『インタレスト』の編集作業が佳境に入ってしまったのである。

 そこで、日記を書かなければ仕事がはかどることに味を占めた私はそのまま日記を止めて脇目も振らずに作業に取り組んだところ、ゴールデンウィーク明けに編集作業がほぼ終わったのであるが、そこで再び「このまま日記をやめたら、いろんなものが健康で穏やかで快適に進むのではないか?」という考えが頭をもたげてきて(笑)、しばらく惰性で日記を止めていたら冒頭の「仕事ははかどるわ本は読めるわ人間は穏やかになるわ」でいろんなものが健康で穏やかで快適に進み始めたので、このまま「身の回りの気心の知れた人たちとの誠実で建設的な対面的関係だけに専念して余生を送ろう」と思いながら今日に至っていたのであった。でも、『インタレスト』の発刊告知がたぶんあと何回かある。どうしよう(そんなちっちゃいことか!)。

 というわけで、この数ヵ月間、折に触れて一応気になるニュースや話題のチェックはしていたので、結構たまっている小ネタの中から一つ。こないだの3月、四国新聞にこんなニュースが載った(年寄りの「こないだ」はそのあたりだ。私が子供の頃、うちのじいちゃんの「こないだ」はたいてい日露戦争の話だった・笑)。

***

(見出し)
瀬戸芸を機に地域再発見
四国学院大でシンポ
北川さん、平田さんが対談

(リード)
 善通寺市文京町の四国学院大(末吉高明学長)で17日、瀬戸内国際芸術祭総合ディレクターの北川フラムさん、劇作家で同大客員教授の平田オリザさんをパネリストに迎えたシンポジウムが開かれた。参加した市民ら約70人に対し、2人は4月26日に開幕する瀬戸内国際芸術祭やアートが地域に与える影響などについて語った。

(本文)
 シンポジウムは、同大のアートマネジメント公開講座として開催。「地域の未来、アートの可能性」と題して行われた。北川さんは瀬戸芸に関して講演し、過去の芸術祭で取り組んできたことなどを説明。「日本は海の国。歴史的にもアジア各国とつながってきた」とした上で、2016年に開かれたアジア各国の美術関係者や行政の担当者らが集う「瀬戸内アジアフォーラム」では10の国と地域、26団体が参加したことなどを紹介した。

 続いて2人の対談があり、北川さんは瀬戸芸の影響で「小豆島は人口が増えてきた」と報告。平田さんは「瀬戸内の多島海にアートが関わり、地域の魅力の再発見につながっているのではないか」と話した。また、日本とアジアとの関わりについて、平田さんは「韓国の7人に1人は日本に来たことがある。若い世代にとって国境はないに等しい」と述べ、北川さんは「日本のアート市場は没落し、若いアーティストがアジア各国で活動することも増えてきた。ただ、芸術祭というブランドイメージはまだ保たれているので、面白い企画を展開していきたい」と意欲的に語った。

***

 新聞は出来事や人のコメントを抜粋要約して載せるので全てを信じるわけにはいかないが、もしこの記事が全て本当なら、北川フラムさんの「瀬戸芸の影響で小豆島の人口が増えてきた」という報告はあまりにも明らかな間違いである。こんな数字は県の基本データを見ればすぐにわかることであるが、念のために数字を上げておく。

<瀬戸芸が始まった平成22年と直近の平成31年の市町別人口の増減ランキング>

順位  市町名  (22年1月) → (31年1月)(増減率)
 1位 宇多津町   18192 →  18990  104.4%
 2位 高松市   419361 → 419844  100.1%
 3位 丸亀市   110787 → 109514   98.9%
 4位 多度津町   23517 →  23027   97.9%
 5位 三木町    28456 →  27373   96.2%
 6位 善通寺市   34790 →  32432   93.2%
 7位 綾川町    24965 →  23111   92.6%
 8位 坂出市    56002 →  51517   92.0%
 9位 三豊市    68968 →  63252   91.7%
10位 まんのう町  19301 →  17640   91.4%
11位 観音寺市   63196 →  57720   91.3%
12位 直島町     3377 →   3063   90.7%
13位 さぬき市   53774 →  48078   89.4%
14位 琴平町     9992 →   8720   87.3%
15位 小豆島町   16196 →  14104   87.1%
16位 東かがわ市  33869 →  29405   86.8%
17位 土庄町    15284 →  13258   86.7%

 こんな数字を見るまでもなく、小豆島は瀬戸芸以降で最も人口を減らしている地域なのである。さらに、瀬戸芸の主会場とも言える直島も10%近く人口を減らしている。従って、誰が見ても「瀬戸芸の影響で小豆島の人口が増えてきた」という報告は間違っている。

 そこで考えられるのは、

@北川さんともあろうお方がそんな明らかに事実に反するような発言をするはずがないので、新聞記者が発言を間違って要約したのかもしれない。けど、もしそうなら北川さんが記事に対して抗議しているはずだけど、新聞に訂正記事が載ったのは私は見ていない(見落としたのかもしれないが)。
Aもし北川さんが本当にそんな発言をしたのであれば、記者もこんなあからさまな間違いには気付いているはずだから、何かの意図を持ってわざとこの発言部分を切り取って掲載したのかもしれない(笑)。
Bあるいは記者もこの間違いに気付いてなくてそのまま載せたのかもしれない(泣)。

の3つくらいですが、どれですかね(笑)。

 ちなみに、私は一部の人たちから「瀬戸芸反対論者」のように言われているらしいが、私は瀬戸芸に反対しているのではない。みんなが希望して正当な手続きを踏んで議会が予算措置を承認してやるのなら、やることには何の問題もないと思っている。そして、ビジネスだろうがイベントだろうがやってみないとわからない部分が必ずあるのだから、やった結果についてファクトベースで正しく分析し、それをあるがままに報告し、その結果を見て「では次にどうするか?」を決めればいい。それを、さもいい結果が出たように取り繕うのがよろしくない、と言っているのである。「よろしくない」と思う理由は、

@取り繕った報告をベースにすると、「では次にどうするか?」の戦略を間違ってしまう。
A取り繕った報告をすると、ロジカルな指摘に対して取り繕いの連鎖をせざるを得なくなり、どんどん苦しくなる。正直にあるがままを報告し、「この結果を踏まえて次にどうするか?」をファクトベースで考える方がはるかに健全であり、不要な葛藤を抱えなくて済むから精神的に楽でもある。

の2点である。とにかく、瀬戸芸は来場者数の発表の仕方をはじめ「大成功している」という発表や報道が特に目につくので、「地域活性化の起爆剤になるみたいに大風呂敷を広げずに、レクリエーションのお祭りだと割り切って、ファクトベースで正直にやりましょうよ。その方が絶対健全で楽ですよ」と申し上げているだけなのである…って書いてたら、また仕事がはかどらなくなって本も読めなくなって人間が穏やかにならんでないか(笑)。というわけで、とりあえず『インタレスト』出ますのでよろしく。
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